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第百三十六章 佳子、援助者の正体に気付く

佳子は手術後、目を覚ますと陽子に、「これ以上、どこの誰だか解らない人の世話にはなれません。今直ぐに退院します。」とベッドから降りようとしていました。

陽子は、「佳子さん、その足でどうやって退院するのですか?それに今動けば手術で切開した傷口が開きます。少なくとも、・・」と説得していました。

佳子は、「やくざの幹部に指示される覚えはないわ!」と陽子の説明を聞こうともせずに、退院しようとして起き上がろうとした瞬間腹部が痛み、動きが止まりました。

陽子は、「ほら、見なさい。言わんこっちゃない。今はベッドから降りるのは無理です。足はギブスで、腹部も切開した傷が治っていません。今下手に動くと傷口が開きます。」と説明しました。

佳子は、「今は急に動いたからよ。今度はゆっくりと起きますから。」と起き上がろうとしていました。

その様子を見て修が、「そんなに意地を張らなくても良いじゃないか。以前も言ったように怪我をした時には外科医の忠告を素直に聞けよ。死にかけたのに未だ懲りないのか?」と忠告しました。

佳子は、「修は黙ってなさい。」と修の忠告に耳を傾ける様子はありませんでした。

陽子は、「無理しないで下さい。解りましたから。足長おじさんに連絡しますので待って下さい。」と佳子を宥めて修に佳子が無茶しないように説得を頼み、病室を出て行こうとしました。

修が、「ここから、電話すれば良いじゃないか。」と携帯を取り出しました。

陽子は、「駄目!病院内では携帯禁止です。電源を切って。医療機器が誤動作する可能性があり、最悪の場合には、患者の生死に関わる可能性もあります。修ちゃんの携帯が原因で患者が死亡した事が判明すれば、過失致死罪になるのじゃないの?法律の事は、私よりも修ちゃんの方が良く知っているでしょう?」と携帯の電源を切るように忠告しました。

修は、「先程は陽子も電話していたじゃないか!」と何故陽子だけ許されるのか理解に苦しみました。

陽子は、「これは医療用PHSで、病院内専用です。電波は弱い為に大丈夫です。」と伝えて病室を出て行きました。

佳子は、“私の芝居も捨てたものじゃないわね。これで援助者に会えそうだわ。“と期待していました。

陽子は援助者に電話して、現状を説明の上、「佳子さんは優秀な刑事ですので、会えばあなたが誰なのか解るかも知れませんが、どうされますか?」と確認しました。

援助者は、「佳子の為なら、それでも良いので会いに行きます。」と返答しました。

陽子は病室に戻り、「足長おじさんが明日の夕方、病院に見舞いに来るそうです。」と伝えると佳子は、それまでは大人しく入院する事を約束しました。

当日、陽子が足長おじさんを紹介すると、女性でしたので、修・博は驚き、佳子は、“矢張りそうか”と思いました。

修が陽子に、「おじさんって言ったじゃないか!」と不満そうでした。

陽子は、「足長おばさんって聞いた事がなかったので、つい・・・」と苦笑いしました。

更に、博が、「あっ!社長!?今の派遣も社長が私を指名されたと聞きました。チャージも高いので助かっていますが、今回もお金を用意して頂いたのですか?何故ですか?」とその理由が理解できませんでした。

援助者は、「梅沢さんが、お姉さまが重傷を負ったと社員に伝えて会社を早退したので、心配して東城先生に確認すると、入院費の事で揉めていると聞いた為に、梅沢さんが仕事に集中できなくなると困る為に、お金を用意させて頂きました。」と説明しました。

佳子が、「何故、東城先生の事を、ご存知だったのですか?」と質問しました。

援助者は、「梅沢さんから先日、弟が東城先生と結婚すると聞いたので、何かご存知かと判断して連絡させて頂きました。」と返答しました。

修が、「何故、陽子の携帯番号を知っていたのだ?以前から陽子と知合いだったのか?」と二人の関係を知ろうとしました。

博は、社長が東城先生に偽診断書の件を依頼したので、知り合いだと思いましたが、刑事の佳子の前で偽診断書の件を喋るのもどうかと思い黙っていました。

援助者は、「情報の入手経路は企業秘密なので、ご勘弁願います。」と返答しました。

佳子は、“それはそうよね。情報の入手経路が丸東組だとは言えないでしょうね。”と思い、「それにしても、こんな大金を何故用意して頂いたのですか?」と援助者の正体を暴こうとしました。

援助者は、「梅沢さんには、それだけの価値があるからですよ。」と返答しました。

佳子は、「本当にそれだけですか?博にそれだけの価値があるとは思えないわ。」と指摘しました。

博は、「姉ちゃん、それはどういう意味?丸で僕が役立たずみたいじゃないか!」と不満そうでした。

佳子は、「いいえ、そういう意味ではなくて、従業員としては充分役に立っていると思いますが、そんな大金を払うほどの価値はないと言っているのです。」と補足説明しました。

援助者は、「お姉さまですから、弟の事を厳しく見ているのではないですか?梅沢さんには、それだけの価値は充分ありますよ。」と説明しました。

佳子は、「百歩譲ってもし、そうであっても、借用証書もなしにこんな大金を用意して頂けたのは、何か他に理由があるのではないですか?」と問い詰めました。

援助者は、「東城先生の説明によると、お姉さまは危険な状態で、書類を用意している時間はないと判断したので、先にお金を用意させて頂きました。」と返答しました。

佳子は、「何故そんなに遠い所から話をされるのですか?私は今、大きい声を出し辛いので、もっと近くに来て下さい。」と援助者と話をして、その正体に確信が持てたようで、決定的な証拠を確認しようとしました。

援助者が佳子に近付くと、佳子は突然援助者の右腕を捕まえて、肘まで袖をめくりました。

博が援助者の右腕にあった火傷の痕を見て、「その火傷の痕は見覚えがある。」とどこで見たのか考えていました。

修は、「えっ?兄さん、何か知っているの?」と兄の知り合いだから認められたのかと感じました。

佳子は、「修!何を他人事みたいな事を言っているのよ!修が火傷させたんじゃないの!」と佳子は援助者の正体が解ったようでした。

修は、「えっ?それはどういう事?」と不思議そうに確認しました。

援助者は佳子の手を確りと握り、「佳子、お父さんに負けないぐらい立派な刑事になったわね。少し話をしただけですのに、私が誰であるのか解ったのね。」と一筋の涙が頬をつたいました。

佳子は、「町ですれ違ったり、話を聞いたりしただけでは、解りませんでしたよ。東城先生の関係者で大金を用意して頂ける人物は、一人しかいないと思っていたので、解ったのよ。」と泣き出しました。

その様子を見て修達は驚き、「姉ちゃん、この人は誰なの?」と聞きました。

佳子は、「修は、まだ小さかったので解らないかもしれないけれども、博、職場の社長だという事は、毎日会っているのよね。解らないの?お母さんよ。」と教えました。

博は驚き、「えっ!?何故解ったの?」と不思議そうに聞きました。

佳子は、「イントネーションや雰囲気は、お母さんそのものよ。それを確認する為に今まで話をしていたのよ。整形手術をしているようですので、博は解らなかったみたいですが面影は残っています。でも、火傷の跡は何故そのままにしていたの?」と確認しました。

母は、「火傷の跡を消してしまうと、あなた方と縁がきれそうな気がして消せませんでした。寂しい時はこの火傷の痕をさすりながら修の事を思い出していました。」と返答しました。

佳子は、「だったら、何故私達の所へ帰ってきてくれなかったの?大富豪になり私達の事を捨てたの?」と何故母が帰って来なかったのか知ろうとしていました。

母は、「丸東組から抜けて一番にあなた方の所へ戻ったわ。でも引っ越ししていて、捜したけれども所在がつかめなかったのよ。」と決して捨てた訳ではなく、帰ろうとした事を伝えました。

佳子は、「陽子さん、いつ母を見付けたの?何故黙っていたの。」と私達も母を捜している事を知っているにも関わらず何故黙っていたのか聞きました。

陽子は、「私を誰だと思っているのよ。丸東組の次期組長で、人身売買グループの黒幕よ!修ちゃんからプロポーズされた翌日見付けたわよ。でもあなた方のお母さんから口止めされていた為に黙っていました。ですから、先日やくざ姿であなた方にお会いした時には、“私が捜します。”と伝えて機会をみて引き合わせようとしたのよ。これで、援助者はお母さんなので、何の魂胆もなく純粋に佳子さんを助けたいだけだと解って頂けたと思うので、大人しく入院して頂けますよね?佳子さん、こんな時ぐらいは遠慮せずに、お母さんに甘えなさいね。」と退院しないように説得しました。

佳子は、「最初から退院するつもりはなかったわよ。どうしても母に会いたかったので、芝居しただけよ。」と説明しました。

佳子は心の中で、“陽子さん、御免なさいね。本当はもう既にあなたの事は許しています。でもどうしても素直になれずに意地を張ってしまいます。”と思っていました。

修が、「という事は、会う前から、援助者は、お母さんだと解っていたの?」と驚いていました。

佳子は、「東城先生の関係者で大金を用意して頂ける人物は他にいる?だから修は刑事として駄目なのよ。」と刑事だったら周囲をもっとよく見るように忠告しました。

陽子が、「私は罠に填まったの?でも、私の事が嫌いでしたら、転院か主治医を変更しても良いですよ。急ぎませんので、ゆっくりと考えて返事して下さい。後は親子水入らずでゆっくりして下さい。」と指示しました。

佳子は、「いいえ陽子さん、主治医はあなたにお願いします。それと母を見付けたという事は、父も見付けたのですか?」と父の行方も知りたくて期待しながら確認しました。

陽子は、「あなた方の父親は、残念ですけれども既に亡くなっていました。あれは私がまだ小学生になる前に、私が父と一緒にいる所へ、あなた方の父親が来られて、私の父を連行しようとした為に、近くにいた組員が、“子供の前で何するのや!”と銃で撃ったと記憶しています。私も小さかったので、どの組員が撃ったのかは覚えていません。私があの時、あの場にいなければ、あなた方の父親は亡くなる事はなかったと思います。遺骨は、あなた方のお母さんに渡しています。それと主治医の件は、解りました。」と伝えて病室を出て行きました。

佳子は手術後、目を覚ますと陽子に、「これ以上、どこの誰だか解らない人の世話にはなれません。今直ぐに退院します。」とベッドから降りようとしていました。

陽子は、「佳子さん、その足でどうやって退院するのですか?それに今動けば手術で切開した傷口が開きます。少なくとも、・・」と説得していました。

佳子は、「やくざの幹部に指示される覚えはないわ!」と陽子の説明を聞こうともせずに、退院しようとして起き上がろうとした瞬間腹部が痛み、動きが止まりました。

陽子は、「ほら、見なさい。言わんこっちゃない。今はベッドから降りるのは無理です。足はギブスで、腹部も切開した傷が治っていません。今下手に動くと傷口が開きます。」と説明しました。

佳子は、「今は急に動いたからよ。今度はゆっくりと起きますから。」と起き上がろうとしていました。

その様子を見て修が、「そんなに意地を張らなくても良いじゃないか。以前も言ったように怪我をした時には外科医の忠告を素直に聞けよ。死にかけたのに未だ懲りないのか?」と忠告しました。

佳子は、「修は黙ってなさい。」と修の忠告に耳を傾ける様子はありませんでした。

陽子は、「無理しないで下さい。解りましたから。足長おじさんに連絡しますので待って下さい。」と佳子を宥めて修に佳子が無茶しないように説得を頼み、病室を出て行こうとしました。

修が、「ここから、電話すれば良いじゃないか。」と携帯を取り出しました。

陽子は、「駄目!病院内では携帯禁止です。電源を切って。医療機器が誤動作する可能性があり、最悪の場合には、患者の生死に関わる可能性もあります。修ちゃんの携帯が原因で患者が死亡した事が判明すれば、過失致死罪になるのじゃないの?法律の事は、私よりも修ちゃんの方が良く知っているでしょう?」と携帯の電源を切るように忠告しました。

修は、「先程は陽子も電話していたじゃないか!」と何故陽子だけ許されるのか理解に苦しみました。

陽子は、「これは医療用PHSで、病院内専用です。電波は弱い為に大丈夫です。」と伝えて病室を出て行きました。

佳子は、“私の芝居も捨てたものじゃないわね。これで援助者に会えそうだわ。“と期待していました。

陽子は援助者に電話して、現状を説明の上、「佳子さんは優秀な刑事ですので、会えばあなたが誰なのか解るかも知れませんが、どうされますか?」と確認しました。

援助者は、「佳子の為なら、それでも良いので会いに行きます。」と返答しました。

陽子は病室に戻り、「足長おじさんが明日の夕方、病院に見舞いに来るそうです。」と伝えると佳子は、それまでは大人しく入院する事を約束しました。

当日、陽子が足長おじさんを紹介すると、女性でしたので、修・博は驚き、佳子は、“矢張りそうか”と思いました。

修が陽子に、「おじさんって言ったじゃないか!」と不満そうでした。

陽子は、「足長おばさんって聞いた事がなかったので、つい・・・」と苦笑いしました。

更に、博が、「あっ!社長!?今の派遣も社長が私を指名されたと聞きました。チャージも高いので助かっていますが、今回もお金を用意して頂いたのですか?何故ですか?」とその理由が理解できませんでした。

援助者は、「梅沢さんが、お姉さまが重傷を負ったと社員に伝えて会社を早退したので、心配して東城先生に確認すると、入院費の事で揉めていると聞いた為に、梅沢さんが仕事に集中できなくなると困る為に、お金を用意させて頂きました。」と説明しました。

佳子が、「何故、東城先生の事を、ご存知だったのですか?」と質問しました。

援助者は、「梅沢さんから先日、弟が東城先生と結婚すると聞いたので、何かご存知かと判断して連絡させて頂きました。」と返答しました。

修が、「何故、陽子の携帯番号を知っていたのだ?以前から陽子と知合いだったのか?」と二人の関係を知ろうとしました。

博は、社長が東城先生に偽診断書の件を依頼したので、知り合いだと思いましたが、刑事の佳子の前で偽診断書の件を喋るのもどうかと思い黙っていました。

援助者は、「情報の入手経路は企業秘密なので、ご勘弁願います。」と返答しました。

佳子は、“それはそうよね。情報の入手経路が丸東組だとは言えないでしょうね。”と思い、「それにしても、こんな大金を何故用意して頂いたのですか?」と援助者の正体を暴こうとしました。

援助者は、「梅沢さんには、それだけの価値があるからですよ。」と返答しました。

佳子は、「本当にそれだけですか?博にそれだけの価値があるとは思えないわ。」と指摘しました。

博は、「姉ちゃん、それはどういう意味?丸で僕が役立たずみたいじゃないか!」と不満そうでした。

佳子は、「いいえ、そういう意味ではなくて、従業員としては充分役に立っていると思いますが、そんな大金を払うほどの価値はないと言っているのです。」と補足説明しました。

援助者は、「お姉さまですから、弟の事を厳しく見ているのではないですか?梅沢さんには、それだけの価値は充分ありますよ。」と説明しました。

佳子は、「百歩譲ってもし、そうであっても、借用証書もなしにこんな大金を用意して頂けたのは、何か他に理由があるのではないですか?」と問い詰めました。

援助者は、「東城先生の説明によると、お姉さまは危険な状態で、書類を用意している時間はないと判断したので、先にお金を用意させて頂きました。」と返答しました。

佳子は、「何故そんなに遠い所から話をされるのですか?私は今、大きい声を出し辛いので、もっと近くに来て下さい。」と援助者と話をして、その正体に確信が持てたようで、決定的な証拠を確認しようとしました。

援助者が佳子に近付くと、佳子は突然援助者の右腕を捕まえて、肘まで袖をめくりました。

博が援助者の右腕にあった火傷の痕を見て、「その火傷の痕は見覚えがある。」とどこで見たのか考えていました。

修は、「えっ?兄さん、何か知っているの?」と兄の知り合いだから認められたのかと感じました。

佳子は、「修!何を他人事みたいな事を言っているのよ!修が火傷させたんじゃないの!」と佳子は援助者の正体が解ったようでした。

修は、「えっ?それはどういう事?」と不思議そうに確認しました。

援助者は佳子の手を確りと握り、「佳子、お父さんに負けないぐらい立派な刑事になったわね。少し話をしただけですのに、私が誰であるのか解ったのね。」と一筋の涙が頬をつたいました。

佳子は、「町ですれ違ったり、話を聞いたりしただけでは、解りませんでしたよ。東城先生の関係者で大金を用意して頂ける人物は、一人しかいないと思っていたので、解ったのよ。」と泣き出しました。

その様子を見て修達は驚き、「姉ちゃん、この人は誰なの?」と聞きました。

佳子は、「修は、まだ小さかったので解らないかもしれないけれども、博、職場の社長だという事は、毎日会っているのよね。解らないの?お母さんよ。」と教えました。

博は驚き、「えっ!?何故解ったの?」と不思議そうに聞きました。

佳子は、「イントネーションや雰囲気は、お母さんそのものよ。それを確認する為に今まで話をしていたのよ。整形手術をしているようですので、博は解らなかったみたいですが面影は残っています。でも、火傷の跡は何故そのままにしていたの?」と確認しました。

母は、「火傷の跡を消してしまうと、あなた方と縁がきれそうな気がして消せませんでした。寂しい時はこの火傷の痕をさすりながら修の事を思い出していました。」と返答しました。

佳子は、「だったら、何故私達の所へ帰ってきてくれなかったの?大富豪になり私達の事を捨てたの?」と何故母が帰って来なかったのか知ろうとしていました。

母は、「丸東組から抜けて一番にあなた方の所へ戻ったわ。でも引っ越ししていて、捜したけれども所在がつかめなかったのよ。」と決して捨てた訳ではなく、帰ろうとした事を伝えました。

佳子は、「陽子さん、いつ母を見付けたの?何故黙っていたの。」と私達も母を捜している事を知っているにも関わらず何故黙っていたのか聞きました。

陽子は、「私を誰だと思っているのよ。丸東組の次期組長で、人身売買グループの黒幕よ!修ちゃんからプロポーズされた翌日見付けたわよ。でもあなた方のお母さんから口止めされていた為に黙っていました。ですから、先日やくざ姿であなた方にお会いした時には、“私が捜します。”と伝えて機会をみて引き合わせようとしたのよ。これで、援助者はお母さんなので、何の魂胆もなく純粋に佳子さんを助けたいだけだと解って頂けたと思うので、大人しく入院して頂けますよね?佳子さん、こんな時ぐらいは遠慮せずに、お母さんに甘えなさいね。」と退院しないように説得しました。

佳子は、「最初から退院するつもりはなかったわよ。どうしても母に会いたかったので、芝居しただけよ。」と説明しました。

佳子は心の中で、“陽子さん、御免なさいね。本当はもう既にあなたの事は許しています。でもどうしても素直になれずに意地を張ってしまいます。”と思っていました。

修が、「という事は、会う前から、援助者は、お母さんだと解っていたの?」と驚いていました。

佳子は、「東城先生の関係者で大金を用意して頂ける人物は他にいる?だから修は刑事として駄目なのよ。」と刑事だったら周囲をもっとよく見るように忠告しました。

陽子が、「私は罠に填まったの?でも、私の事が嫌いでしたら、転院か主治医を変更しても良いですよ。急ぎませんので、ゆっくりと考えて返事して下さい。後は親子水入らずでゆっくりして下さい。」と指示しました。

佳子は、「いいえ陽子さん、主治医はあなたにお願いします。それと母を見付けたという事は、父も見付けたのですか?」と父の行方も知りたくて期待しながら確認しました。

陽子は、「あなた方の父親は、残念ですけれども既に亡くなっていました。あれは私がまだ小学生になる前に、私が父と一緒にいる所へ、あなた方の父親が来られて、私の父を連行しようとした為に、近くにいた組員が、“子供の前で何するのや!”と銃で撃ったと記憶しています。私も小さかったので、どの組員が撃ったのかは覚えていません。私があの時、あの場にいなければ、あなた方の父親は亡くなる事はなかったと思います。遺骨は、あなた方のお母さんに渡しています。それと主治医の件は、解りました。」と伝えて病室を出て行きました。


次回投稿予定日は、10月16日です。

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