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5月19日(木)放課後10

5月19日(木曜日)放課後10


「クシャン! ……まひろ?」


思わずナギは聞き返した。


「ああ、マリジョの『裏サイト』のことよ。

ナギ、知らなかったの?」


 アミの説明によると、「まひろ」とは正式名称「まりじょひろば」。

インターネットの掲示板だ。

匿名だが、マリジョの生徒しか入れないよう秘密のパスワードが掛けられている。

運営は、これもまた秘密なのだが歩川さんが主催する新聞クラブだ。

今のところ、マリジョ唯一の「裏サイト」として密かな交流の場となっている。


歩川さんがそばに寄ってきて、アミの後を引き継いだ。


「『三瓶さん』に関する名前も『サル』に関しても、それらしき書き込みはないわねぇ。

3年生とおぼしき書き込みも受験に関することばかりよ。」


「クシャン!」

「それよりも、新開さん、あなたの話題の方がずっと盛り上がっているわ。

応援団、引き受けるのか、とか、リレーの練習のこととか……あなた本当に人気があるのね。

今や1年生の一部の生徒だけじゃないわ。2年も3年も話題にしている。

どうしてかしら、みんなあなたのことがよっぽど気になって仕方がないみたい。

 ところで、風邪でも引いたの? さっきからくしゃみばかりしているじゃない。

体育祭前なんだから、体壊さないでよ。

当日休みなんてことになったら、せっかくの特ダネが飛んじゃうもんね。」


「クシャン! ……ハ、ハックション!」


 くしゃみで返事をしながら、ナギはただただ驚いていた。

それもそのはず、今の今まで「まひろ」の存在すら知らなかったのだ。


(同じマルジョの生徒とはいえ、私のことを直接知らないような人達でしょ。

それなのに私をネタにしたり噂をしたりしている……? 

なぜ? なぜ、そんな無神経なことが出来るの?!)


 裏で勝手に噂されたり、挙げ句の果てにネタにされていると知って気分の良い人間はいないだろう。

底知れぬ不安と、得体の知れない気持ちの悪さが入り交じって、ナギはここの所心にわだかまっているいらだちが、急速に激しい怒りに変わってゆくのを感じていた。


 歩川さんが立ち上がりアミに声を掛けた。


「そういえば、アミ、この匂い、この間『報酬』として渡したあの香水でしょ。ほら、レモン何とかという……。」


「そう、『レモントレイン』!」


「早速、使っているのね。ツテをたどってやっと手に入れたんだから、大事にしてね。」


「! ……クシャン!」


(やっぱり! アミったら、今度は私がリレー選手になったことをネタにして、報酬を、つまりこの香水を手に入れたのね!!)


 ナギはカッとなって、カバンをつかむと足早に新聞クラブを後にした。


「あ、ナギ、待って!」


 今度は、アミの声がすがるように追いかけてきた。


(つづく)

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