5月19日(木)放課後7
5月19日(木曜日)放課後7
「ねえ! アミってば!!」
体育館を出て、またしても廊下をずんずん歩いていくアミに、ナギは疑問をぶつけた。
「今のは何だったの? 演劇クラブなんて、全然『三瓶さん』と関係ないじゃない。
しかも舞台に立つなんて勝手に決めて。
しかも亡霊の役だなんて……訳が分からないわ!
それにあの報酬とか、どういうこと?
そういえば、さっき文芸クラブの時も、写真集をもらっていたよね。クマの!」
「クマじゃない! パンダの、よ!」
「ああ、パンダの、ね。
で、それが三瓶さんと何の関係があるの?」
「え、ああ、最近あたし、実はと〜っても、パンダが気になっていて……。
ほら、あの、パンダの柄って黒い所があるから白い所が引き立つのか、それとも、白い所があるから黒い所がかわいく見えるのかってね。……考えていたらハマっちゃってさ。ねえ、ナギはどう思う?」
「?? ……なにそれ。パンダはパンダでしょう。それよりも!」
「あ、『それよりも』ね。
こののぬいぐるみ、実は携帯ホルダーになっているんだよ。
あの大きさなら絶対に失くさないよね!
ねぇ、便利でしょ? 私、ずっと欲しかったんだ。」
「え、そんなに大きな携帯ホルダーてあり?
……っていうか、アミ、さっきから話そらしている!」
アミはもごもごと早口にまくしたて、立ちふさがるナギをよけるようにして先に進もうとする。
ナギが睨みつけるとキョロキョロと目が泳いでいる。
(もしかして、アミ、私に隠れて後ろめたいことをしている……? )
ナギは先ほどから胸をよぎる疑念をついに口にした。
「もしかして! アミってば、……もしかして、『三瓶さん』を探すっていうのは口実なのね?
実は私のことを単なる『取り引き』のダシにしていたんじゃないの?」
一瞬の沈黙、そして突然、急に何かを思いついたらしく、アミは大声を出した。
「あ!! 」
(つづく)




