5月13日(金)放課後4
5月13日金曜日 放課後4
コツコツコツ……
牛尾先生とマルちゃんの声が次第に大きくなってくる。
アミはあちこちを見回しナギの背中もバンバンたたく。
「ほらナギも! 返却図書!」
(あ、そうだった、私は「書架整理している最中」のはずだったんだっけ!)
と、ナギもあわてて書架に走り込む。
返却図書をカウンターに置き忘れて来たと、気がついた時にはもう遅かった!
がらり。
図書館の戸が開いた。
先生とマルちゃんが話しながら図書館に入ってくる。
マルちゃん、先生の気をひこうと一生懸命だ。不自然なくらい声が大きい。
「だからぁ、春のうちに、蜂の巣、撤去した方がいいとおもうんですよぉ!!」
「そうね、まず用務員さんに相談してみましょう。
でもあのサイズじゃ、用務員さんの手には負えないかもしれませんね。……。」
ナギは書架の入り口からそっとカウンターの方を伺い見る。
プリンターの音は止んでいた。
うやらプリントアウトは無事終わったらしい。
アミもいつもどおりカウンターに立っている。
(ああ、……なんとか間に合ったのかな?)
しかし、カウンターには、明らかに不自然な点が2つあった。
(アミ、姿勢が良すぎる。後ろ手になにか、そう、なにか紙のような物を持っているのがまる分かりだわ。)
少なくともナギにはそう見えた。それにカウンターに置かれた返却図書の山!
なぜそこにあるのかというと、ここにないからだ。
ナギは自分の空っぽな両手を恨めしくもみしだく。
(ああ、どうしよう。先生が気づきませんように!)
牛尾先生はあら、といった顔をしてカウンターに置かれた本の山に目を向けた。
ナギの口から心臓が飛び出しそうになった。
(つづく)




