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俺だけ異世界転移していないらしい 〜異世界で俺と結婚した三人の嫁が、転移前の俺を必死に攻略してくる  作者: nayaminotake


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第44話 球技大会初日後③

 ―――薄っすらと明かりが見えた・・・


「あっ!?タクミンが目を開けた!」

「ふぅ――――マジこれ大変じゃん」


 左右から黄瀬さんと保住さんが俺の事を覗き込んでいる


「えっ・・・と・・・ここは・・・」


 順を追って記憶をたどる―――


 サッカーの試合が終わって

 水筒を教室に忘れていたのを思い出して

 次の試合までの間に取りに戻って


 ―――途中で、例の3年のサッカー部の先輩に言い寄られてる中学生の子を見かけて・・・


「っ!?中学生の女の子は!?」


 起き上がり黄瀬さんの両腕を掴んで確認する


「え?え?な、なにタクミン?!中学生!?女の子!?知らないよ!?」

「でも、女子のが囲まれて――――って・・・あぁそうか無事逃げられたのか・・・」


 クッ!


 力が抜けると急に胸の奥が痛み出した


「た、タクミン!?まだ痛むの!?」

「エミリ!巧っちに支援を!!――――「ヒール」」


 保住さんが何か口にすると、ジンワリと身体が熱くなる・・・


「はぁはぁはぁはぁ・・・少し楽になった・・・え?何だこれ・・」


 息苦しいのでシャツを引っ張り自分の胸を見つめる

 胸の心臓の上あたりに変な赤い模様が薄っすらと浮かび上がっていた


「―――これ・・・」


 黄瀬さんは俺の胸の模様を見ると何かを言おうとして口を閉じる


「リンちょっと・・・」

「え?何?ウチ、巧っちの傍にいないと、それにあの胸の痣・・・」

「いいから来て!」


 黄瀬さんの口調がキツクなり、保住さんは俺にことわりを告げ黄瀬さんについて部屋を出て行った


 ――――保健室


 見慣れた保健室・・・よく大田君と一緒にクラスの連中から逃げるために使った・・・ヒーリングスポット

 でも今は隣に大田君は居ない


『今度この雷電の擬人化美少女がフィギア化されるのでゴザルよ!』

『おぉぉ凄い抽選勝ち取ってるじゃない、やったね!大田君!』

『大勝利でゴザル!手に入れたら真っ先に巧殿へ写真を送るでゴザル!』


 大田君が隣のベッドに腰かけスマホを俺に見せ予約が取れたと、すごく喜んでいた・・・


「――――あの夢・・・何だったんだろ?」


 さっきまで見ていた夢の断片・・・もう殆ど思い出せないが異世界で2-Aの皆が怪物と戦っていた

 大田君も景浦さんも戦っていた・・・


 おれは、荷物持ち・・・


 でも、最後の方・・・

「結構男らしかった・・・よな」


 今の自分と対比した願望が夢となって俺に見せてくれたのかもしれない

 同じ陰キャ派閥のクラスのつまはじきであった、大田君と景浦さんも最後にメチャメチャカッコよく殿を務めていた


 自分の両手を見つめる

 少し震えている・・・


 先輩らに蹴られてる最中・・・

 怖くて、情けなくて、痛くて、悲しくて・・・


 ―――本当の自分じゃないような感覚


 ガチャ


 保健室のドアが開く

 黄瀬さんと保住さんが戻って来た


 気のせいか少し保住さん表情が強張っているように見えた・・・

 次いで、水原さんと麗華さんも入って来た


 その時、サッカーの試合の事を思い出した

 俺が居なくなって人数が足りなくなってるはずだ


 皆きっと怒ってる―――

 部屋に張って来た水原さんと麗華さんの表情も暗い


「―――巧」「巧君」

「あ、あの・・・すいません・・・僕がこんなんで・・サッカーの試合・・・本当にごめんなさい」


 黄瀬さんらと入れ替わる形で、水原さんと麗華さんが左右へ座る


「サッカーの事は心配しなくても・・・それより、巧君の―――」

「ちょっと御免」

「え?ちょっ!?何を!?」


 水原さんが俺のシャツを捲る


「消えてる――――」

 俺も自分の胸を見る

 確かに胸の変な模様が消えていた


「ねぇ麗華・・・」

「えぇ今は落ち着いているみたいですね・・・」


「な、何の話ですか?」


 ガチャ


「御神巧・・・怪我の具合はどうだ?」


 現れたのは生徒会長の花菱桜先輩だった


「―――桜さん・・・巧君の事、本当に有難うございます」

 麗華さんに続いて、水原さんや黄瀬さん保住さんも深々と頭を下げた


「別に礼を言われる事じゃない・・・むしろ私の方が彼に詫びねばならんところだ」

「・・・・何を言ってるんですか?」


 花菱会長は俺の寝てるベッド脇に立つと深々と頭を下げ


「―――御神巧、すまなかった・・・そして有難う、君が男子生徒に襲われてる女性を助けてくれたのは知っている」

「「「「!?」」」」」


 皆は花菱会長の話に驚く


「だけど、女性を襲おうとして君に暴力を振るった男子生徒が未だ誰だか分からないんだ・・・」

「――――君は知ってるな?犯人が誰か・・・教えてくれないか?」



 ※雷電は戦時中の日本の戦闘機です


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