表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

*Ⅰ*




 中学生のウィルは反戦デモに参加していた、しかし偉い政治家先生はそれをごっこ遊びだと言ったそうである。だがそれが反戦だろうが軍拡だろうがこの国の政治というものがごっこ遊び以上の瞬間だったことなど、どれくらいあるというのか彼は疑っていた。政治家先生一人一人はとても立派な人であろうはずなのに、どうしてみんなで集まると衆愚ともいえる状態になってしまうのか。要するにデモでも政治でも、その内部に確固たる実体、というものをウィルは感じることができなかったのだ。それなら、自分のクラスで行われる学級活動の話し合いの方が彼にとってははるかに実体の伴ったものだった。無論、これはまだ彼が世間知らずであり、成熟した見識を持っていないための生意気と言えたかもしれないが、SNSに代表される言論の空間というもので、大人の未熟な、あまりに未熟な振る舞いというもの、そしてそれを制御できず野放しにしている大人というものに、失望というか、あきれ、のようなものをティーンエイジャーが感じずにいられる方が難しいだろう。その、大人の未熟なSNSに、一緒になって踊るか、踊らないか。ウィルは後者になった。そんな彼の厳しい目には、反戦デモも大人の未熟なごっこ遊びだし、偉い政治も未熟なごっこ遊びだし、軍拡も未熟なごっこ遊びだし、SNSも未熟なごっこ遊びであった。ウィルは叫んだ。では実体はどこにある! 揺らぐことのない、真に最善たる実体はどこにある! しかし彼はそれを感じ取れる程、成熟しているかどうかも怪しい。彼はまだ中学生だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ