第22話 宿屋 森の木漏れ日
次の翌朝、俺はカザトさんに相談する。
「カザトさん、話があります」
「改まって、どうかしましたか?」
俺が真剣な顔で話すので、カザトさんは空気を察する。
「実は明日からここを出て、一人で暮らそうと考えています」
「そうですか、何となくそんな気がしていました」
「お父様、ノワールさんはここに来て未だ一週間と経っていません。私は未だ早すぎると思います」
ソアラちゃんは、俺が出ていくことを止めようとしている。
「ソアラ、ノワールさんを止めることはできません。なぜなら、既にノワールさんは冒険者として独り立ちしています」
なんと!! シェリーさんが制止した。
「そうですが……」
「良いですかソアラ。ノワールさんはその内にこの町さえも出て行くでしょう。それは誰にも止められません。貴方ができることは、ノワールさんがここへ帰って来たいと思うような女性になることです」
「お母様、わかりました。私はきっとノワールさんを振り向かせる良い女性になってみせます」
「その意気ですよ」
がっちりと手を取り合うソアラちゃんとシェリーさん、何だか勝手に二人で盛り上がっているな。
俺はそんな二人を置いて、スキル隠密を発動させ、この場から離脱した。
◇
さてと、冒険者ギルドへ行こう。
「シャルアさん、今日はお願いがあって」
「はい、何でも言ってください」
シャルアさんは笑顔で答えてくれた。
「実は、カザトさんの所を出て一人暮らしをするので、冒険者用の良い宿を紹介してください」
「それなら私の所で一緒に住みましょうか? ノワールさんの面倒は、全て私がお世話しますよ」
「無理だ!!」
「ふふふ、冗談よ」
シャルアさんは笑っているが、目が笑ってないよ……
「そうね、ノワールさんなら隠れ屋的な宿で、森の木漏れ日って言う宿がお勧めね。料理は美味しい、部屋も清潔で過ごしやすいわよ」
「ありがとう、行ってみます。あっ、それから薬草採取と討伐のクエストを受けますのでお願いします」
「はい、わかりました」
◇
俺はシャルアさんに教えてもらった宿に向い中へ入る。
「すみません、この宿に泊まりたいのですが……」
「あいよ、あんた冒険者かい? 宿代は朝夕食付きで一日銀貨5枚だよ」
恰幅の良い女性がカウンター越しに対応したが、まさに肝っ玉かあちゃんって感じだ。
「女将さん、それなら6か月分で頼む」
俺は金貨9枚を渡した。
「いいね、あんた気に入ったよ。金払いの良い冒険者は大歓迎だよ。おーい、ルカ。お客さんを部屋に案内してやっておくれ」
ルカちゃんは猫耳の獣人で、なんとも尻尾が可愛らしくて良い。
「お客さん、お名前は?」
「ノワールだ」
「ノワールさんね。私はルカよ。よろしく。部屋中はベッドと机とトイレにシャワー室もあるよ。長期に出かけるときは、必ずカギを預けていってね」
惜しい。ここは、語尾を敢えて『ニャー』って言ってほしかったな。どうも、異世界漫画と現実は違うらしくて残念だ。
俺はルカちゃんに銀貨1枚のチップを渡す。
「これから世話になるがよろしく」
「ありがとう、何か御用があれば呼んでくださいね」
尻尾をフリフリさせながら、上機嫌で部屋から出て行くルカちゃんであった。
さてと、拠点も決まったことだし、今日はさっき受けたクエストで薬草採取と討伐をやろう。取り敢えず街道沿いに出て、俺はマッピングと鑑定を使って薬草採取と魔獣を探す。
クエストの内容は具体的には書かれていなく、薬草や魔獣の種類も決められてなく、出来高払いのようなクエストだ。
こんな時はマッピングと鑑定は最強である。広域サーチと鑑定の組み合わせで、薬草や魔獣の位置が全てわかるので、見つけることが非常に簡単だ。
さてと、今日の成果はこんな感じだ。
ウルフ3匹、ボア3匹、ゴブリン2匹
いやし草30本、薬膳茸8本、月下草6本、毒消し草17本
う――ん、初めてなので多いのか少ないのかわからいな。
まぁ、ギルドに持っていけばわかるでしょっと、簡単に考えていたのが間違いでした……
「シャルアさん、良い宿を紹介してくれてありがとう。それに、今日のクエスト分を受け取ってください」
「はい、では、こちらの受け取りカウンターまでどうぞ」
俺は収納袋をダミー代わりにしてアイテムボックスから薬草と魔獣を取り出す。
次々と魔獣と薬草を取り出す俺を見て、シャルアさんの顔色が変わる。
「ちょっと、待ってください。量が多いので一度整理しますね。あと、どれくらいあるのですか?」
多すぎたか? 不味いな。
「これで全部だ」
「そうですよね。それ以上にあったら絶対変ですからね!!」
何故か半ギレ状態のシャルアさん、きっと報酬を計算するのが大変なのだろう。
さっきから紙に書いて一所懸命に計算している。
う――ん、俺から見れば暗算レベルなのだが、この世界では魔法がある分、化学や数学等の理系は遅れているようだ。
実際、小学生レベルの計算にシャルアさんが懸命に計算している。
「はい、報酬は大銀貨3、銀貨8枚です」
ここは合っている間違っていると言うことは無しにして、素直に受け取ろう。
「どうも」
前世の日本だと3万8千円か。一日の稼ぎとしては十分だ。
俺は宿に戻るとルカちゃんが尻をフリフリして言う。
「ノワールさん、お帰りなさい。夕食の準備ができているのでいつでも食べに来てね」
「ああ、わかった」
少し部屋で休憩した後に夕食を食べたが、これが凄く美味かった。なんと言うか、味付けが俺好みで最高だ。
その後一週間、俺は薬草採取と討伐のクエストを繰り返し受けた。当然、初日の経験を活かして半分までに量を減らした。そうしないと、量が多すぎると計算に苦労するシャルアさんが、またキレてしまうかもしれないからだ。
さて、久しぶりにレベルを確認してみる。
レベルは32に上がっており、強さはCランク相当になっていた。
第一 魔法戦士 レベル 32
第二 戦士 レベル 32
第三 狩人 レベル 32
スキル
鑑定、マッピング、全言語理解、アイテムボックス、ステータス隠蔽
剣技C(連撃、重撃、真空刃)、拳技C(連撃、重撃、真空刃)
弓技C(乱れ撃ち、一点集中、砲射)
全属性攻撃魔法C、回復魔法C
挑発C、身体強化C、ためるC、気功回復C、集中C、隠密C、威圧C
気配察知A、調理C、裁縫D、木工D、痛覚耐性A、恐怖耐性A、再生A
MP再生A、限界突破、根性、状態異常耐性、全属性耐性
無詠唱、多重詠唱、複合魔法、魔力操作、魔法消費半減
マジックキャンセラー
ここからは、ウルフ、ボア、ゴブリンだとレベルが上がらなくなってきたぞ。
そろそろダンジョンでレベル上げしてみるか。
もしよろしければブックマークへの登録、評価をよろしくお願いします。
評価は下にある『☆☆☆☆☆』より押すことで可能です。
簡単ですので、面白くなければ☆1、面白ければ☆5等を是非とも
よろしくお願いします。
ブックマークも頂けると本当に嬉しいです。
作者のモチベーションになりますのでよろしくお願いします。




