第十一話 麻雀
放課後になって、私は部活に向かった。
部活と言っても、前にも言ったように、私はどの部活にも所属していない。その代わりに1日だけ日替わりで入ることがある。いわゆる助っ人だね。報酬は1回につき自販機のジュース2本で受け付けています。ご利用は計画的に。
それで、今日はソフトボール部の助っ人だ。ウォーミングが終わり、ノックや守備練習が始まると私の出番。
「もうちょっと早い方が芯を捉えやすいよ」
「もう少し右腕をあげて」
「そうそこ! そのタイミングだよ!」
自前の恐るべき動体視力で部員一人ひとりのフォームや動きを見てアドバイスする。自分で恐るべきというのはどうかと思うけれど、でも事実なので普通に使ってます。
最近はもうほとんど直すところがなくなってきて、正直に言って暇になってきている。これはどの部活の人にも言えることで、1年生が入ってきてからが勝負どころかな。明日からは毎年恒例の新入部員勧誘戦線が始まるから、実はまともに練習しているのはソフトボール部と野球部の二部のみだったりする。他の部活は新入部員勧誘の準備で忙しいけれど、この二部は毎年必ず20人程度来るから勧誘する必要がないらしい。そう言われて数えてみると、ソフトボール部は2年生が18人、3年生が23人いる。確かに20人前後だ。今年の新入部員の数を見てみないことには判らないけれど、これくらい入るのなら確かに勧誘する必要は無いかもしれない。
そして模擬試合が始まる。私は当然見学だ。部員でもないのに参加していること自体が本来おかしいのだから。模擬なので3回までの試合で、1回表は満塁ホームランで4点、3回表で2点入り、3回裏は0点と、6-0で表側が勝った。ちなみにここ10試合の合計点が33-4なのは偶然だ。決して阪神は関係ありません。副キャプテンの日永先輩の投球が冴え、今回も無失点で終わった。
◇ ◆ ◇
――放課後。
「ロン! タンヤオドラ1で2600!」
なぜか私の家にて桜・永木・真木・私の4人で麻雀をしている。部活が終わった後に永木、真木と帰ろうとして、真木がたまには麻雀をやりたいと言い出して、昨日の騒動のせいで道場が修繕することになって暇だったらしい桜も巻き込んで今に至る。ちなみに今上がったのは真木。現在東三局だ。
「うわ~、真木、すごい悪待ちじゃん。残り一枚って、なんで久みたいな待ちをしたのかな?」
「久さんの力を借りる気でした!」
「お前はマホか!」
三四五2344556 ロン5 鳴き四五六
萬萬萬索索索筒筒筒筒 筒 萬萬萬
上のようなパーソウ単騎の地獄待ち(上がり牌が残り1枚)という悪待ちで上がった真木。ちなみに久、マホというのはとある麻雀漫画の登場人物のこと。
「ねぇ、私もう10000点切ったんだけど……」
桜に三局連続ロンが入ったせいで既に桜の点が9500点にまで減少している。桜は涙目になってしまっている。ちなみに私は焼き鳥で24000点。後、永木は28200点、真木は38300点もある。
「まあ、こういう日もあるよ。次行こ!」
自分たちで牌を積み上げ、東四局に突入。親は真木だ。サイコロの目は6、下家の永木から王牌が取られ、ドラが開示される。表示牌は西、つまり北がドラか。
牌が取られ、私の手元には13枚の牌がある。牌はこうなっている。
一六七八122399南北北
萬萬萬萬索索筒筒筒筒
うん、北が2枚ある。自風だから、積極的に鳴いて高得点を狙っていこうか――
「リーチ!」
真木から声が上がる。その声の内容に驚いて、全員真木の方を見た。
「嘘でしょ!? ダブルリーチ!?」
「運良すぎだろ……」
「うわぁ……」
もはや私は何も言えない。今日の真木は鬼がかっています。
「チー」
永木、桜はともに真木が今出したイーピンを捨て、私は桜のイーピンを鳴く。ついでに一発も消しておく。
そして問題の捨て牌。安牌はイーピンしかないけれど、そのイーピンを私は持っていない。おそらく当たることはないだろうと、南を捨てる。どうやら当たらなかったようだ。
それから11巡後。
私もテンパイした。牌はこうだ。
一一11999北北北 鳴き123
萬萬索索筒筒筒 筒筒筒
北がもう一枚来たので警戒させることなく、チャンタと役牌、ドラ3が確定した。
「うーん、なかなか来ないね」
真木がツモってきた牌を見てつぶやいた。
「ダブリーなんてなかなか当たらないからな……」
「でも私、真木の当りっぽい奴を三つ持ってるんだよね。捨てないけど」
どうやら桜は危険牌を三枚も持っているようだ。
そして桜がパーソウ、永木が西を捨てる。
6回目の私の番。引いてきた牌は……
「カン!」
北だった。カンでドラが一つ増える。表示牌は……撥だ。ということは、ドラは中。
そして嶺上牌は……キュウピン。
「カン!」
今のキュウピンでもう一回カン。次のドラ表示牌はパーピン。つまり……ドラはキュウピン! ドラ8が確定した。そして嶺上牌は……。
「ツモ!」
イーソウだ。まさかの嶺上開花!
「嘘でしょ!?」
「おいおい、今日は二人とも運がよすぎるだろ……」
「うわ~! 流されちゃったよぅ! せっかくドラ3だったのに!」
「いやちょっと待て、ダブリーでドラ3とか真木も大概だからな!?」
全員が一様に驚いた声をあげている。真木に関しては永木からツッコミが入っているけど。
一一11999北北北 リンシャンツモ 1 鳴き123
萬萬索索筒筒筒 索 筒筒筒
「リンシャン、チャンタ役牌ドラ8、三倍満で6000・12000!」
「すごいよお姉ちゃん! 流石は私のお姉ちゃん!」
いつの間にかティアが部屋の中に来ていた。私は驚いたけど、ほかのみんなは驚いた様子がなかったので気付いていたみたい。それにしても、本当にいつの間に……。
「お姉ちゃん、私もやっていいかな?」
見ててやりたくなったのか、ティアもやりたいと言い出した。
「わかった。3人とも、今のは東風戦ということでいい?」
「もうこの点差じゃ絶望的だし、諦めるわ……」
「いいぜ。ティアの打ち方もかなり面白いしな」
「いいよ!」
3人ともいいと言ってくれたので、私とティアが交代。
そのあと、2時間くらい打ち続けたのであった。
どうも、四季冬潤とかいう者です。
大幅に時間が空いてしまい、申し訳ありません……!
12月の中旬まで投稿ペースが遅い状態が続くと思います。
また、分岐は次回になりそうです。
では、また読んでいただけることを願いつつ。




