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039「宇龍会の切り札と救世の勇者【その1】」

「この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません」



――次の日



 昨日、麗香の家ですべてのことを告白された拓海は戸惑いながらも受け入れ、そして、また、いつもの日常である学校が始まった。今はちょうど昼休みということで、いつもの4人で教室を離れ………………あ、いや……三人で屋上に上がった。俺たちの最近の『お気に入りプレイス』である。


「それにしても静流が『体術』をあんなにこなせるなんてビックリだよ……」

「シ、シーーーーーっ!? タ、タクミ氏…………学校では……あからさまにその話をするのは……やめてくれ……」


 静流はそう言って拓海に割とマジ顔で詰め寄る。


「わ、わかってるよ?! そ、そんなに、マジになんなよっ! それに屋上に人は誰もいないから大丈夫だってっ!!」

「い~や! タクミ氏はわかってない! これまでの努力を無駄にしないでいただきたいっ!!」

「わ、わかったよ、ごめん、ごめん……」


 かなりマジな様子だったので、俺は平謝りをした。


「まあ~、しょうがないわよね……静流はずっと隠し通してきたんだから。私の場合は隠していたといえば隠していたけど、ただ、『実際の力』を隠してただけだから私は静流とは違うわっ!」


 そう言って、麗香は静流にドヤ顔をした…………が、


「いやいやいやいや! 麗香は俺に雄士郎おじさんが『雨宮ネオインダストリー』の社長だなんて一言も言ってなかったじゃん! ある意味、あれが一番驚いたわっ!!」

「えっ?! そ、そうなの………………………………ご、ごめんなさい」


 ドヤ顔をした麗香がすぐにシュンと小さくなった。


「ま、まあ、とは言え……いろいろと気を遣ってくれてたんだなってことは伝わっているから」

「タクミ氏……」

「拓海……」

「それはそうと…………今日、光也は休みだったみたいだけど二人とも何か聞いている?」

「いや、何も……」

「私も……」

「そうか……」


 光也は今日学校を休んでいた。まあ、昨日の今日ということで光也的には『巻き込まれた形』だから精神的に疲れていたんだな……と三人は納得していた。


「そういや、タクミ氏。昨日、襲ってきたチンピラだがあれが何者かタクミ氏は知っているか?」

「え? い、いや、知らない……けど……?」

「あれは…………ヤクザだぞ」

「ええっ?! ヤ、ヤクザぁ~~~~!?」

「そうよ……拓海。今回あなたにすべてを打ち明けることになったのも、このヤクザ…………『宇龍会』に目を付けられていることを知ったからよ」

「れ、麗香……」


 どうやら静流と麗香の二人は俺以上に俺の今の状況を察しているようだった。


「悪いが調べさせてもらったぞ、タクミ氏。お主…………S県最大の愚連隊『黄龍』を潰しただろ?」

「え? あ、まあ、そのぉ~……あ、あいつらが妹を誘拐してケガさせたもんだからついカッとなって……な……はは」

「タクミ氏……別に吾輩は怒っているわけじゃない。問題なのは『派手にやっつけたこと』を言っているんだ!」

「あ、ああ………………やっぱり?」

「「あ・た・り・ま・え・だ!!!!」」


 静流と麗香が激おこ気味に詰め寄ってくる。


「ていうか、私も拓海が『黄龍』をやっつけたビデオを見たけど、はっきり言って私たちとはレベルがあまりにも違い過ぎて………………終始、唖然だったわ」


 聞くと、あの『黄龍』襲撃のとき『民の鉄槌』の者が戦闘をビデオで撮っていたとのこと。


「同じく……。吾輩もレイカ嬢もそれなりに『力』を手に入れたと自負していたが、タクミ氏がもはやそこまでとは…………しかも、見た感じ、本気も出していないみたいだったし………………………………この異世界チート野郎っ!!!」


 麗香が、静流が、思い思いに俺が『黄龍』をやっつけた時の光景について、『あり得ないっ!』『人間やめ過ぎっ!』と興奮しながら半ば『説教』に近いレベルでやいのやいの言われた。


「しょうがねーじゃんよ! 頭に血が回っちゃったんだからっ!!」


 などと、強い言葉など言うことができようか…………いやできまい。


 それから二人が落ち着くまで俺はずーーーーーーっと理不尽な説教にさらされた。




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