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パラレルコネクト・オンライン  作者: yuto*
パラレルコネクト・オンライン標準時:6月
114/118

Act113-囚われの景色

「なんなの……これ……」

 周囲に広がる、凄惨な光景。

 何人ものプレイヤーが、自らの武器を投げ出して倒れ込んでいる。

 こんな森の中で遊んでいるわけでもなかろう。一目見ただけで、皆死んでいることがわかった。


 ーーこれを、私が……? ありえない。


 プレイヤーの数は軽く十、いや二十は超えている。中には屈強な筋肉に加えて重そうな鎧を身につけている人もいて、到底私一人でどうにかしたとは思えない。

 いや、それ以前に。


 ーーなんで私は、戦っていたの?


 無論、彼らには恨みどころか面識すらない。そもそも私はログインしたばかりだし、これが仮想世界で初めて見る景色なのだから。

「あっ……」

 次の瞬間。

 周りに転がっていたプレイヤーたちがほぼ同時に眩く輝き、赤いポリゴン片に変わって四散していった。


 ーー皆、死んだの?


 これが、この世界での”死”。一片の欠片も残らず、何も無かったことにされてしまう。

 HPという視覚化された命。それがゼロに変わる瞬間の恐怖。彼らは死に際に、何を考えたのだろうか。

「……そういえば」

 景色にばかり気を取られ、自分の姿を認識するのが遅れていた。

 白一色の……これはパーカーだろうか? 私があまり着たことのないタイプの上着に、下は普通のジーンズという、仮想世界の服装というよりは、ただ森に遊びにきた私服姿の女の子のようだった。

 ただ一つ、腰に巻かれた一対の短剣だけが異彩を放っていたが。

「きれい……」

 なんの変哲もない、よくファンタジー物のゲームで見かける普通の短剣なのに……何だろうか、吸い寄せられる魔力のようなものを感じる。


 そしてそのまま、短剣の柄を握ったーー。



 ◇◆◇◆◇◆



「そこからまた記憶が途切れた、と?」

「はい。触ってはいけないと頭ではわかっていても、なん度も同じことを繰り返してしまって……」

「じゃあ、その短剣が狂化の原因だったのね」

 ようやく納得のいく答えを導けたのか、ミユが満足そうに何度も頷く。


 そこで、俺とミユがほぼ同時に、あることに気づく。


「あれ、ってことは……」

「武器を破壊された時点で、香澄は正気に戻ってた……?」

「え!? あ、まぁ、うん。はい」

「なんで言わなかったんだよ」

 あの時点でもう自我を取り戻していたのならば、わざわざ香澄と二人きりになって剣を交わす必要は無かった。

「だって、知らない人たちと戦った後でしょ? いきなり『もう大丈夫です』って言っても、受け入れてもらえるかが怖くて……」

 確かに、事情を知っていたミユたちではなく、他のプレイヤーと同じ事態に陥っていたら、間違いなく香澄は殺されていただろう。

 俺だって、正気を失った見知らぬプレイヤーと全力で戦った後に、いきなり「操られていただけなんです」と言われて、すぐ信じられるかどうか問われると怪しいところだ。



「まぁ、とりあえずあいつらには謝ろうな」

「うん」

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