第3話~目指すは王都2(スーパー解説タイム)~
みなさんこんにちは。お気に入り登録してくださった方々ありがとうございます!
今回はこの世界の説明回です。イマイチ地の文が安定してませんが気にしてはいけませんよ?
「あの、姫様?」
いざユミエル姫が話し始めようとした時、審判の人がやや遠慮がちに声をかけた。
「どうしました?何か問題でも?」
出鼻を挫かれたのがお気に召さなかったのか、眉を少し吊り上げるユミエル姫。本人は怒っているつもりのようだが、傍からみると可愛らしいだけである。
「問題というわけではなくてですね。私はまだ彼に自己紹介もしていませんから、先にそれだけでもと思いまして」
「あらそうだったの?てっきり済んでると思っていたわ。そういうことならそれが先ね」
ユミエル姫の許可を得た審判の人はこっちに向き直ると自己紹介をしてきた。
「あらためて初めまして。私は ミア・ホークトリフ と申します。アリネシア王国近衛騎士団第2部隊隊長などをしています。以後よろしくお願いします」
そう言ってペコリって擬音が似合いそうなお辞儀をしてきた。さっきまで涙目でオロオロしていた人と同一人物とは思えないくらいしっかりした印象を受ける。出来る社長秘書って感じだな。
「こちらこそよろしくお願いします。騎士ホークトリフ」
「ミアで結構です。それでは姫様?」
自己紹介を済ませると審判の人改めミアさんはユミエル姫に視線を向けた。それを受けてユミエル姫は今度こそといった具合で語り始めた。
「カイト殿は先ほど先生に「ただ戦っただけでなぜ自分を信用するのか?」といった趣旨の質問をされましたね?その質問にお答えするにはまず、この世界について話さねばなりません」
ユミエル姫は結構時間をかけて丁寧にこの世界のことを話してくれた。丁寧な分とても長かったのでここではそれを要約してみる。
この世界のは大陸と呼べるほどの大きさの土地は3つあり大陸によって住む種族が異なる。3つの大陸はそれぞれが三角形の頂点になるようにならんでおり、それぞれの大陸の周辺に大小様々な島がある。(聞いた感じ日本の様な文化を持つ島国もあるんだとか)
南東のセリア大陸には主に人間が暮らしている。今俺たちがいるのもこのセリア大陸で、この大陸の北側半分が「アリネシア王国」である。南側半分は「ゼラル連邦国」という国家で、この世界で最も技術力が発達しているのだそうだ。ただその技術力はもっぱら市民生活に向けられていて、武器を開発したりはほとんどしていないそうだ。つまりは技術者の国である。(ちなみにアリネシア王国は伝統と文化を重んじる国でゼラル連邦国とは逆の立ち位置のようだ)
南西のカトラ大陸には主に妖精族が暮らしている。エルフとかドワーフとかウンディーネとか聞いたことあるような名前の種族が住んでいるらしい。妖精族は全体で「フェアリーアライエンス」という1つの国家を形成している。国家が1つしかないためカトラ大陸全土がフェアリーアライエンスの領土である。
妖精族の特徴として仲間意識が強いこと。自然を愛し重んじること。そして自分の属性の魔法にやたら長けていること。これは逆に自分の属性から離れた魔法程うまく扱えないということでもある。(例えばウンディーネは火系の魔法はまるで使えない。)
北のロスマニア大陸には主に獣人族が暮らしている。一口に獣人と言っても犬や猫の獣人に始まり、オオカミやトラ、果てはクマやらウサギの獣人なんてのもいるらしい。彼らは国家を形成しているわけではなく、種別ごとに大規模な集落を形成していて、個々の集団を「部族」という。獣人の最高意思決定機関は各部族の代表たちで作られる部族会議であり、ここでの決定が獣人族の総意とされる。人間や妖精族が彼らと交渉する場合は、この部族会議と交渉することになる。
彼らの最大の特徴は言わずもがな。獣耳と尻尾である。その他には身体能力が極めて高いこと。魔力はあまり高くなく、魔法は個人差はあれど得意な者は少数派であること。また自分と同タイプの獣(トラの獣人ならトラといった具合)を一時的に飼うことが出来る。その場の戦闘を手助けしてもらったり、馬の代わりに乗せてもらったりできるんだそうだ。なかにはそのまま相棒としてずっと行動を共にするようになる者達もいる。
と、ここまで主要国家と種族について説明してきた。ちなみに大陸周辺の島国などは大陸国家の属国とみなされている。もっとも、大陸国家が島国に直接干渉することはほとんどないので、島国国家では各々独自の文化が発達しやすい傾向にある。
3つの大陸すべてに共通することとしてまず、一般的な動植物とは別に魔獣や魔物がいることがあげられる。魔獣は獣の姿をしているもの。魔物はそれ以外(主に植物系のもの 例:歩く人食い花とか)を指すが、そこまで厳密に分けるラインがあるわけではないので、人によって好きな方で呼んでいる。全ての魔物(魔獣)に共通することとして、種を問わず魔に属していない者に対して好戦的であることが挙げられる。次にその体から発する闇属性の魔力(魔法については後ほど説明するので詳細は省く)。これは魔に属さない者に対しては毒のようなもので、不用意に触れたりした場合、触れた箇所が壊死するなど極めて危険である。魔物(魔獣)が森を歩くとそいつらが通った場所の草木は枯れ、大地は汚染されてしまう。よってどの大陸でも魔物や魔獣の殲滅にはかなり力を注いでいる。しかし魔物も魔獣もいくら倒しても1月もすればまた湧いているのだそうだ。魔物や魔獣の発生のプロセスは未だにわかっていない。
最後に説明するのは「センター・オブ・ザ・シー」と呼ばれる海域についてだ。先に説明した通りこの世界の大陸はそれぞれを頂点とした三角形になっている。CoS(Center of the sea)は三角形の中心に位置しており、その海域は常に荒れている。近づく者すべてを飲み込むその海の中心には、神話に出てくる大精霊がいる島があるとされており、たどり着けた者は何者にも屈することのない強大な力を得られるといわれている。
しかし実際問題として近づけないのでその真偽は定かではない。この海域のせいで大陸間での船の往来にはもっぱら三角形の辺にあたる部分を使うことになっている。
ここまで要約してもとんでもない長さになった説明を長々としてきたわけだが、おかげでこの世界の概要はつかむことができたと思う。頭ん中で整理しとくのは大切だな。
「この世界についてはだいたい分かった。で、それは俺の疑問と何の関係があるんだ?」
この世界のことは理解できたが、神の使い云々はさっぱり分からないままだ。
「それはこれからお話しすることが質問の答えであり、今から話すことは世界のことを知ってからの方が飲み込みやすいと思ったからです」
なるほど。つまり導入部分だったってわけだ。ありがたいが、えらく長い導入だったなおい。
「先ほどCoSの中心には大精霊の住まう島があるという話しををしましたね?」
「あぁ。だがそれは神話であって事実かどうかは確認できてないんだろ?」
「大精霊に関してはそうなのです。ですが精霊なら存在しているのですよ」
また長い説明が来たので、脳内整理もかねてまとめてみる。
曰く、アリネシア王国、ゼラル連邦国、フェアリーアライエンス、獣人会議。この4大国家(後ろ二つは厳密には国家ではないが実質似たようなものなのでこう呼ぶらしい)はそれぞれ「守護精霊」と呼ばれる精霊によって守られている。守護精霊は自分のテリトリー内にいる魔物や魔獣の力を弱めるといったことで自分のテリトリーの中で暮らす者たちを見守っている。伝承によれば、かつて魔王が存在していたころには、魔王軍の侵攻を食い止めたり(あるいはマシにしたり)、大気中に蔓延する闇属性の魔力を浄化をしたりしていたらしい。
さて、伝統を重んじる国家であるアリネシア王国は、精霊神殿を中心に守護精霊を崇める「精霊真教」が国教である。アリネシア王国の王族は伝承の時代から今の地を治めてきた一族であり、それゆえに、その年の最優秀機構士を代表にそえるゼラル連邦国や、選挙によって統治者を選出するフェアリーアライエンス、力の強さによって決まる代表者からなる獣人会議とくらべて、血筋によって現在まで来ているアリネシア家は守護精霊との繋がりが極めて強い。他の3国の守護精霊が土地と繋がっているのに対して、アリネシア王国の守護精霊だけは、王族そのものと繋がっていると言っていい。もちろん精霊との親和性には個人差がでるので王族の全てが精霊と交感出来るかというとそうでもない。ただ、聡明な王ほど親和性が高い傾向にあることから、守護精霊がある程度王の器に足る者を選んで親和性に富ませている。というが現在の定説だそうだ。
今回重要になってくるのはこの守護精霊の存在である。ユミエル姫は歴代でもトップクラスの親和性を持っており、度々守護精霊と交感しているそうだ。
「1月くらい前の話しです。守護精霊がいつものように交感で私に話しかけてきたんです。いつもはもっと無邪気な感じなんですけど、その日はいつもと様子が違ってひどく静かな感じでした。何かしら?と思ってたら唐突に言うんです」
《カミサマ ヒトヲ オクッテクル カミノツカイクル トテモツヨイヒト クロイメ クロイカミ キミノチカラニナル》
「守護精霊は確かにアドバイスをくれることはありますが、あのように未来の事象を言いきるのは極めて珍しいのです。だから最初は戸惑ってしまって。結局は父様と母様、それに近衛で信頼できるこの二人に相談しました。結局どうするか決まらないうちに貴方が私達の前に現れたのです」
どう考えても普通じゃない登場の仕方をした俺を見て直感したのだそうだ。
《この人が精霊の言っていた人物に違いない》
「んで、念のため精霊が言ってた通りお前が強いのかどうか試したわけだ」
と結論を言ったのはカイザ。
「この世界では黒髪はともかく黒眼は存在しませんから。実質決まっていたも同然だったんですけどね」
補足したのはミアさん。そうか黒眼は存在しないのか……。
「だから多少疑いはしたが、すぐに納得もできた。蹴り入れられたのなんざ何年ぶりか」
少し悔しさを滲ませつつカイザはそう言った。
「そうなのか?あ、普通は剣使うもんな」
するとユミエル姫が可笑しそうにクスクス笑いながら言った。
「ふふふ。そうではないんですよ。カイト殿はあっという間に1撃入れてしまいましたけど、先生はこれでも我が国最強の騎士ですから。相手の攻撃を受けること事態が久しぶりなんです」
「王国最強!?マジかよ……。カイザお前やべぇな。最強とか響きからしてもうやばい」
「そのヤバい人に一瞬で勝ったのはカイトさんですよ?」
やわらかなツッコミがミアさんから入る。うん、俺ってば人外に片足突っ込んでたりすんのかな?
俺とカイザの頭より少し上の位置にある小窓がノックの後に開いて、御者が顔をのぞかせた。
「姫様。間もなく王都に到着いたします」
「分かりました。城に客人を迎える用意をするように伝えてください」
「畏まりました」
いよいよ王都か。思っていた以上にことがすんなり進んで良かったケド。これからどうすんだろうか……?
最後まで読んで頂きありがとうございます。
話しがちっとも前に進んでいませんが次回は進みたい(願望)
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