表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第二部完結】ヒロインは早々にシナリオから離脱したい  作者: 朔島 涼
第二部 オルディア編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/113

98.ノエル皇帝の誕生

「ヴィアがなかなかテントに戻ってこないと思ったら、あんな所で何してるんですかね。」

心配して様子を見にきたナディアが土壁の中からこっそりヴィアの姿を覗く。


「さあ。何だか叫び声がしたから見にきたんだけど、ずっとあの状態で……。」

エミリオもナディアの上にひょっこりと顔を出す。


「明日から毎日キスをしてくれる約束をしたんだ。興奮して眠れないんじゃないかな。」

そこに湯浴みを終えたアーノルドが通りかかった。


「ああ……後悔して眠れないのか。」

エミリオがシルヴィアに同情の眼差しを向ける。


「これ以上一緒にいると私が我慢できなくなりそうで逃げてきたんだ。せっかく約束を取り付けたのに、怖がらせてしまっては元も子もないからね。」

なおもご機嫌なアーノルドはそう言ってふふふっと笑う。


「ヴィアは照れているだけだから心配いらないよ。二人も早く休んだ方がいい。じゃあね、お休み。」

アーノルドは手をひらひらとさせながらテントの中に入っていった。エミリオとナディアは外のシルヴィアに視線を戻す。


「照れてるんですかね?」

ナディアは首を傾げる。


「いや、ヴィアの場合は絶対にないね。今でも全力で逃げるタイミング探してるから……。」

そうでなければ、婚約誓約書が提出されていない事にあんなに喜ぶはずはないとエミリオは思う。


「うーん……たぶん無理なんじゃないですか。」

「いや、普通に無理だよ。」

「……ですよね。」

ナディアは苦笑いを浮かべた。一人佇むシルヴィアを心配しながらも、二人は明日に備えてそれぞれのテントに戻って行った。




その後も順調に討伐を進めたシルヴィアたちは予定通り二日後に王都に到着した。オウディアに入った時にすでに魔物を討伐していたエリアでは再度魔物が増えるているような事もなかった。今回は短期間の調査結果しか判らないため、今後も定期的な巡回は必要となるだろう。


「そうか……エンペラードラゴンが五体も。」

「それじゃあオルディアが壊滅したのも頷ける。」

皇帝とノエルが硬い表情のまま頷く。


「皆さん、危険を顧みず本当にありがとうございました。」

皇妃は全員無事で帰ってきたことに泣いて喜んでくれていた。


「シルヴィアがいるからそれは大丈夫だって何度も言ったんだけど、ずっとこの調子で心配していたんだ。」

ノエルが苦笑いを浮かべる。


「厚い信頼を裏切るようで申し訳ないんですが、結構ピンチでしたよ。アーノルドがあのタイミングで帰ってこなければ。」

シルヴィアは眉を下げながらアーノルドを見上げる。それに対してアーノルドも優しく微笑む。


「ヴィアのピンチに間に合って本当に良かった。」

ふたりを取り巻く空気がロゼフィアーレにいた頃と全く違うことに気がつき、ノエルが目を見開く。


「無事にアーノルドの気持ちが通じたみたいで……ロゼフィアーレの危機は一旦回避したようだ。」

エミリオは情けないような何とも言えない複雑な笑顔で言う。


「そっか。」

ノエルは少しだけ目線を下げて微笑んだ。


「エミリオ?ロゼフィアーレの危機とは一体何のことかな?」

アーノルドが笑顔のままぴくりと眉を動かす。


「まあまあ、アーノルド。細かいことは気にするな。」

「そうだ。オルディアは一旦落ち着いたことだし、そろそろロゼフィアーレに戻るぞ。」

左右からランドルフとオズワルドがアーノルドをやんわりと抑える。


「皆さん、オルディアのためにご尽力いただき本当にありがとうございました。」

混沌とし始めた空気の中、ナディアの明るい声が場を浄化する。


「私たちもナディアと一緒に過ごせてとても嬉しかったよ。これからもノエルとオルディアのことをよろしくね。」

エミリオがふわりと微笑む。


「はい、お任せください。」

ナディアは胸の前で両手を握り締め、大きく頷く。


「お元気で。」

シルヴィアはナディアに向かって優しく微笑む。もうあんなに悲しそうな顔はしてほしくないとシルヴィアは思う。


「はい。また、遊びにきてください。」

「オルディアはきっと建て直してみせる。その姿をまた見にきてほしい。」

ノエルがナディアの隣に並ぶ。ノエルはこれから皇帝としてこの国を再建して行かなければいけないのだ。今のノエルは浄化の旅を始めたことの彼とはまるで別人のようだ。その成長にシルヴィアは胸が熱くなる。


「頑張ってください。ロゼフィアーレから応援しています。」

シルヴィアは涙ぐみながらノエルと握手を交わす。


「これからも支援は続けていく。ともに頑張ろう。」

「……またな。」

「元気でな!」

「私もヴィアとともに遊びに来るよ。」

他の皆もノエルと握手を交わし、五人は皇城を後にした。


去り際にエミリオは継続的な騎士団の派遣と、無利子での資金の貸し付け、資源の提供も約束していた。彼はまだ王太子だが、かなりの権限を持っているようでシルヴィアも含めて全員が驚いていた。帰り道にそのことを指摘すると、エミリオは笑いながら首を横に振った。


「そんな権限、まだ私にあるわけがない。」

「え!そうなんですか?!」

「しかしロゼフィアーレ滅亡の危機を救ったのは私たちだ。そのメンバーにはノエル……オルディアの新皇帝も含まれている。必ず、首を縦に動かしてみせるさ。」

ロゼフィアーレの未来の国王もかなり頼もしい存在であるとシルヴィアたちは確信した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ