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【第二部完結】ヒロインは早々にシナリオから離脱したい  作者: 朔島 涼
第二部 オルディア編

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96/108

96.システムとシナリオ

「ヴィアちょっといい?」

「はい、何でしょうか?」

楽しい夕食の時間が終わり、皆で後片付けをしている時にアーノルドに声をかけられた。ちなみに料理を作った人以外が手分けして片付けを行う事になっている。


「ヴィア、行ってきていいぞ。」

「え、いいんですか。」

まさかのオズワルドから許可が出た。


「一日中俺たちを引っ張ってるんだ。ちょっとくらい休んだって誰も文句は言わんだろう。」

「オ、オズワルドー。」

「おい、くっつくな。やめろ。殺す気か。」

両手に皿と布を持っているため、肘だけで器用にシルヴィアを追い払う。アーノルドは意外にも苦笑いを浮かべていて、怒っている様子はない。


「ヴィア、オズワルドが困っているよ。行こう。」

「はい、分かりました。」

アーノルドに連れられてシルヴィアは土壁の家の外に出て行った。


「両想いになった余裕ですかねー。」

一連の流れを眺めていたナディアがオズワルドに声をかける。ちなみにアーノルドの執着の酷さはすでに他のメンバーから散々聞かされていた。


「オズワルドだからじゃないかな?イレーネという婚約者もいるし。」

エミリオは隣で首を傾げる。


「じゃあエミリオが試してみろよ。どっちの仮説が正しいか。」

「何で私なんだ。」

エミリオが半眼でランドルフを見る。


「俺だと、オズワルドと同じ反応な気がするから。」

ニッと笑うランドルフ。


「……絶対にやらないよ。」

ランドルフに悪気がないのは分かっているため、エミリオは優しく反抗した。




アーノルドとヴィアは焚き火の前に二人並んで座っている。何か話があると思ったのだが、アーノルドはずっと黙ったままだ。不思議に思ったシルヴィアが声をかける。

「アーノルド?」

「ヴィア……。」

いつになく不安げなアーノルド。


「はい。」

シルヴィアは安心させるように優しく微笑む。


「…………私は眠っている間に変わった夢を見た。」

「夢ですか?」

シルヴィアは目をぱちくりとさせて聞き返す。思っても見なかった単語が出てきた。


「夢の中に『この世界のシステム』と名乗る者が出てきた。彼女がシルヴィアたちがドラゴンの巣に向かっている事を教えてくれた。」

「そ、そうなんですね。」

突然アーノルドの口からヤバい話が語られ始めたため、シルヴィアは顔を引き攣らせた。もちろん100%信じている。本当にいるのだろう。


「そして彼女は言っていた。シルヴィアに対する好感度が一番高い相手にあの闇魔術がかけられるシナリオだったと。そしてその解除方法は二段階あると。」

「二段階目は何だったのですか?!」

シルヴィアは驚きの真実に食いついてしまった。それがアーノルドの罠だとも知らずに。


「……。」

「どうしたんですか?」

話を中断して考え込むアーノルドに、シルヴィアはコテリと首を傾ける。


「ヴィアはそこに驚くんだね。『この世界のシステム』という存在にも、『シナリオ』にも驚かないのに。」

いつも笑顔を絶やさないアーノルドが真剣な表情でヴィアを見つめる。何と答えていいか分からず、今度はシルヴィアが黙り込む。


「ヴィアは何を知っているの?ヴィアはどういう存在なの?」

シルヴィアは全力で頭を回転させていた。何をどこまで話していいのか。それによってこの世界に何か不利益は生じないのかと。


「ヴィア……?」

アーノルドの瞳が不安がに揺れる。その表情を見たシルヴィアは、複雑な思考を全て放り投げ、知っている事を正直に話す事を決めた。


自分には前世の記憶がある事。別の世界で生きていた事。この世界は前世の自分が読んでいた物語に似ているという事。そのシナリオに反抗するためにメーティス学園に入学せずに独立してアトリエを開いたという事。そして、その物語は学園を卒業する所で終わっていたという事。


「それで魔人に関しての知識は無かったんだね。」

アーノルドの的確な指摘にシルヴィアは頷く。


既にシルヴィアの知らない事ばかり起こっており、これからの事は何も分からない事。卒業後に起こる事で唯一明記されていた事は、『メーティス学園を卒業したノエルはオルディアに帰国し、幼馴染の聖女ナディアと共に崩壊寸前であったオルディアを立て直した。その後、聖女と結婚したノエルはオルディアの皇帝となった。』という一文。ナディアを見た瞬間に思い出したシナリオであったが、もっと早く思い出していれば、何か自分が行動していればオルディアの今は変わっていたのかも知れない。全てを話し終えたシルヴィアは目に涙を溜めていた。


「……っ。」

その顔を隠すために……それからアーノルドの反応を見るのか怖くてシルヴィアは下を向く。するとふわりと肩を抱き寄せられた。


「頑張ったね、ヴィア。」

何の迷いも戸惑いもなく、アーノルドはそう言ってシルヴィアを抱きしめる。それだけでシルヴィアの涙腺は崩壊した。


「うっ……うぅ………。」

アーノルドの優しさに包まれながら、シルヴィアはその後しばらく泣き続けた。オルディアに入ってからシルヴィアはずっと泣いている。

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