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【第三部再開】ヒロインは早々にシナリオから離脱したい  作者: 朔島 涼
七章.新たな展開、伏線回収

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61.シルヴィア絶賛、騎士団の連絡網の秘密

時を遡る事、数週間。舞台は王都、シルヴィアのアトリエ。


「アトリエを長期間空けるとなると、何か連絡手段があった方が良いわよね。」

浄化の旅への帯同が決まったシルヴィアは頭を悩ませていた。


「携帯電話のような物があれば便利なんだけど、電波塔みたいなのが各地にないと遠くまで電気信号を届けられないし……。」


ああでもない、こうでもないと一晩中考えた結果、雷魔術の応用で作ったボイスレコーダーで録音した音声のデータ(小さな電気玉)を、風魔術で遠くまで運ぶと言う苦肉の策を思いついた。メールの様に手紙を運ぶと言う手もあるのだが、『文字だと上手く伝わらない』と言う事もあるので、どちらも可能なように設計図を作る。そうして、大きめの携帯電話とファックスのような機能を併せ持つ通信機器を作り上げた。


「何かあったらコレで相談してくれる?」

「分かりました。」

「でも、コレは量産してしまうと通信障害が起こるかもしれないから、お客さんにはバレないよう隠れて使ってね。」

「了解です。」

ビアンカとリヴィオに使い方を説明し、白魔術師たちに設計図と原理を伝えておいた。壊れたら直してもらわないといけない。


そう思って教えたのだが、『コレが騎士団にあれば情報伝達スムーズなのでは……。』と考えた白魔術師たちが、一応ビアンカの許可を取って王宮に持ち込んだ。すぐに受注が入り、王国中の駐屯地に配置する分だけを作り、出来上がった分から馬で各地に届けられた。


「まあ、お客さんにはバレてないから良いですよね。」

「決して量産はしていないから大丈夫ですよ。」

「この非常事態、情報は大切ですからね。」

「うん、きっとヴィア様も分かってくれます。」


こうして、ロゼフィアーレ王国では情報伝達能力も格段に上がる事になった。もはやシルヴィアは何者だと言う話になるのだが、彼女は薬師でありながら研究者でもあった。街の薬局で働くのではなく、卒業後も大学に残り研究を続けていたのだ。睡眠も取らず研究とゲームに明け暮れていたところ、おそらく身体を壊して倒れたのだと自身で分析している。





「さあ、無事に通信機器を納品し終えましたし、アトリエを開店しましょう。今日も稼ぐぞー!」

「「「はい!」」」


何を隠そう王都のアトリエはシルヴィアがいた頃よりも、大幅な売り上げアップをしている。素材をシルヴィアが集めてこられず冒険者からの買取のため原価が上がっているにも関わらず、利益は鰻登りである。


カラン。


そして今日もお客さんがやってくる。

「ビアちゃん、ちょっと相談があるんだけど。」

最近ではこうして、ビアンカに相談に来るお客さんも増えている。


「リタさん、おはようございます。今日はどうしましたか?」

「この頃お通じが悪くてね。他のところで便秘薬をもらったんだけど、お腹が痛くなっちゃって。」

「それなら良いのがありますよ!ヴィア様特製便秘薬。」

「今飲んでるのとどう違うんだい?」

「リタさんの持ってるのは、お腹の中を刺激して便を出すお薬なんです。でもコレは、便の中に水分を引き込んで、便を出しやすくするんです。」

「何だか難しいね。」

「とにかく、コレだとお腹が痛くなりにくいんです。ああ、こまめな水分補給も忘れないでくださいね。」

「そうかい、じゃあ試してみるね。いくらだい?」

「ありがとうございます、1200ソルです。」

「ありがとうね。」

「便秘を繰り返すと脳が排泄欲を無くしてクセになってしまうので、気をつけてください。毎日出るようにお薬の量調節するので、まだ出にくかったら相談に来て下さいね。」

「それは大変だね。気をつけるよ。また来るね。」

リタは満足そうに薬の袋を抱えて店を出て行った。


「そういえば最近、ヴィア様からの連絡がないですね。」

「忙しいんだろう。」

「お元気にされていますかね。」

「王宮に入っている情報では、順調に浄化して回っているとのことでした。」


シルヴィアが開発した通信機器は当初の目的は果たされず、騎士団と王宮にて大活躍のようである。ビアンカはいい判断をしたと嬉しく思う。


「……連絡が入る時は、多分怒られる時だ。」

にやにやとしているビアンカの後ろでリヴィオがポツリと呟く。

「ちょっと、リヴィオ!怖いこと言わないで!」


カラン。


「いらっしゃいませー。」

「あ、いらっしゃい!」

「よお、ビアンカ。今日も大繁盛だな!」

そしてまたひとりお客さんが入ってくる。今日もビアンカのアトリエはとても賑やかである。

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