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ヒロインは早々にシナリオから離脱したい  作者: 朔島 涼
六章.ゲームの強制力、最大のピンチ

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57.イレーネの矜持

浄化の旅にヴィアが帯同してくれる事が決まってすごく嬉しかった。自分以外は男の人ばかりだと思っていたので、仲間ができた気分だった。そして、実際に目の前で彼女を見て一瞬で大好きになった。見た目もすごく可愛いし、お兄様曰くとても強いらしい。


「早く馬車に乗れ。」


オズワルドが出発前にひどい事をしたけど、彼女は一瞬だけ悲しそうな顔をしただけで怒りもしなかった。自分ならばなら怒鳴りつけてしまうかもしれない。実際、オズワルドにはすぐにお説教をしておいた。ついでにヴィアの事をきちんと説明しておいた。彼もわたくしのために警戒心が強くなっているだけで、心根は優しい人だ。きっと、すぐに仲良くなれると思う。



旅が始まると本物のヴィアはお兄様から聞いていた話よりも、更にすごくて、本当にすごくて、自分の語彙力では言い表せないくらいすごかった。ミーティングではお兄様が偉そうに喋っているが、浄化の現場では完全に彼女がリーダーだ。彼女が1番強いし、常に皆んなを引っ張っている。女の子なのに本当にすごい。オズワルドも一瞬にして警戒を解いたのが分かった。


「お前はバケモノだ。いや、いい意味で。」

「いい意味のバケモノって何ですか!聞いた事ないですよ。」


ちょっと言葉は悪いが、彼女も嬉しそうなので良かったのだと思う。



しかし旅が進むにつれ、自分が守られてばかりいる事に申し訳ない気持ちになる時も少なくなかった。そんな事を考えていた頃、ペルソの樹海でヴィアは自分に言ってくれた。「イレーネの魔力がなくなってなくて本当によかった!」と。本当は彼女の魔力が残っていた方が何十倍もいいに決まっている。しかし、彼女はその言葉を優しさで発したのではない。心の底から思っている事を口にしただけなのだ。それが分かっているから、なお嬉しかった。そして、皆がその言葉に頷いてくれた。聖女としての矜持を、認められていると実感させてくれた。わたくしは彼女の事がもっともっと大好きになった。



大好きな彼女が家族になればいいな、と思ってお兄様に結婚を提案してみた事もある。しかしプロポーズはすでに失敗しているらしい。それに彼女とお兄様が結婚でもしようものなら、アーノルドが国を滅ぼすかもしれないそうだ。


「それでもお義姉様にヴィアが欲しい?」


お兄様は苦笑いで首を傾けた。わたくしは全力で首を横に振る。絶対にやめてもらおう。我が国にとっての厄災はもはやアーノルドだと思う。とても怖い。怖すぎる。


まあ、アーノルドとお兄様は仲が良いから、アーノルドと彼女が結婚してもきっと頻繁に会えるだろう。しかし最近はアーノルドがしつこ過ぎてヴィアが若干引いている。大好きな彼女には幸せになってもらいたいが、国が滅びるのも困る。どちらを応援すべきかは難しいところだ。お兄様は完全にアーノルドを応援している。嫌がる彼女を無視してアーノルドと無理矢理ふたりきりにさせていたし。


「また迎えを寄越すから、2人でゆっくり話すといい!」

「ええっ、冗談ですよね?!それって何分後ですか!もしかして何十分後とか、何時間後とかですか?!」


わたくしの可愛い可愛いヴィア、厄災の生贄にされて可哀想。



兎にも角にも、浄化をとっとと終わらせて、オズワルドと結婚したい。彼女も幸せにしたい。もちろん国も守りたい。


「よし、明日も頑張って浄化するぞ!」


聖女の矜持を取り戻したイレーネはとても元気だった。次の街に到着した途端とんでもない報告を受け、過去最大のハードな1日を過ごすまでは……。

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