一人のあs…前言撤回二人の朝
ふぅ、朝だ。
無事に済んだな。
「おはよう、お兄ちゃん」
………いつの間にか交代してるよ。
(「おう!よく眠れたか?」)
「うん!」
まぁでも、よかったよかった。………さて。
(「とりあえず、共有してくれ」)
「もちろん!」
そうして視界が広がる。
「ふぅ」
音が響く。土の匂いがある。風の味がする。上にかけていたコートの感触がする。
(「しかし、野性味の強い都市だな」)
夜は何も思わなかったが、決して小さくはない都市なのに、どこもあって石造りの家である。あって二階建てである。
「わかんないけど、朝ご飯食べる」
(「そうな、表へ出よう」)
(「おーけーおーけー!」)
可愛げとは違う感じになってきた。悲しみ。
はぁ、やっぱりなんかずれてるなぁ。このくらいならそのうち埋まる、と信じておこう。
「ご、は、ん!ご、は、ん!」
前言撤回。やっぱりかあいい。
さて、どこかいい処はないかなぁ?
「お嬢ちゃん、一人でどうした?」
「うーん、家出?」
だから隠せよぉ!?………ん?
はっ!!!そういえば俺!
一度も隠せって忠告してないぞ!!!
「そ、そうか……お金、あるか?」
(「どのくらい持ってるかはとりあえず言うなよ」)
(「え、あ、うん」)
言わないといけないな、と言うことが分かってきたので言う。
「あるよ!」
「そうか、いくらだ?」
(「たくさん」)
(「いやいやw」)
草はやしただろ!今!明らかに!!
あれ、こんなネットスラング言った覚えないなぁ。
いや、そういう風に聞こえたのをこっちが勝手に解釈しただけか。今は日本語じゃあないし、な。
「たくさん!」
「………まぁいいか」
「なにが?」
「朝ご飯食べさせてやるよ」
「やったー!ありがとー!」
「おうよー」
ふぅ。なんとか金額をごまかせた。多分大金だからな。
「さぁて、ほい。マルト玄米の粥だ。あとはエレーンシード入りの炒め物くらいかな」
お粥と豆入りの炒め物。エレーンって感じだけど。何となくalienって感じ。エイリアン的な。なんかそんな顔みたく見える。異質です。
これ。食レポして見てって無茶ぶりしたくなる。
「いただきますね」
「はいはい、遠慮せず食え」
「はむ、おいひい」
そういえば食べ始めの定型的な挨拶は特にないけど、挨拶をする人は結構居る、という感じのイメージ。だから日本伝統の挨拶もノープロ。
「~♪」
うん、おいしい。そういえば、味覚共有があったわ。あれだ、赤実玄米のときはめっちゃ嫌だった共有。
1歳児の舌にはきつめだろ、あれは。
そういえば。何でこの子は何も隠そうとしないのか今分かった。俺のせいか。一番関わりのある俺が思考をいちいち読んだから、隠す意味が理解できてないのか。
うわぁ。これはやばい。隠す意味を学ばせなければ。……なんでだろ、卑猥にしか聞こえない。そういう面は大丈夫なんで。多分。
「ふぅ」
「旨かったか?」
「うん!」
「家で、っていうか、捨てられたみたいなもんか……(あのおばさんなら預かってくれそうだが、どこに居るやらな?子供たちだけでいる時に人を任せるわけにもいかんし)」
む?なんか考え込んでるな?
(「あー、ちょいまち」)
今容赦なく口を開こうとしたシャリアはたしなめるべきかな?
(「うん」)
聞き分けはいいな。
「お代は?」
オイ。前言撤回。そんなことはなかった。大丈夫だろうか?