アンリ、シャルル嬢と再会する
「久しぶりですね」
「手紙でのやり取りはしていたけど、会うのは一年ぶり、かな?」
久しぶりにあるシャルル嬢にちょっと笑みがこぼれる。
前に見た時は痩せすぎと思っていたが、大分普通の体型に戻っている。他にも姿勢が良くなっている気がした。表情も明るく、憑き物が取れたような雰囲気だ。
シャルル嬢は興味津々に話し出す。
「というか、今まで何していたの? アンリ」
「監獄の医師見習いに戻りましたね」
「え? 意外。もっと別の病院に就職するかと思ったのに」
「それが半年前で、監獄にいる医師の推薦資格をもらって、三か月後に医師免許の試験に挑みました。それに合格したので見習いは卒業しました」
僕の報告にシャルル嬢は目を輝かせて「すごい!」と自分のことのように喜んでくれた。その姿を見て、僕は幸せに思った。
就職するための推薦状をもらうためだけに付き人になったけど、結果として自分の冤罪を晴らすことが出来た。
「シャルル嬢、何をしていますか」
「色々な活動を」
「冤罪の被害者の方の活動?」
「そう。多分、私達だけじゃないと思う。もしかしたら冤罪の人もいるかもしれないと思って」
シャルル嬢は聖女と発表された。そのインタビューで冤罪を訴える被害者の助けになるような活動をしたいとシャルル嬢は語っていた。
「意外ですね。写本の工房に行くのかと思っていました」
「今まで私は母を殺した罪を償うためとか自分の冤罪を訴えるために写本をしてきた。でも本来は読む人間のために書くものなんだなって、思えてきたの」
「自分を許せたって事?」
僕がそう聞くとシャルル嬢は「そうだね」とほほ笑みながら答えた。
「それにこの経験や肩書を生かして冤罪で苦しんでいる人を救いたいなって思って」
シャルル嬢は眩しい笑顔でそう言い、俺はちょっと嬉しくなった。そして考えていたセリフを口にする。
「実はお願いがあって、シャルル嬢とお会いしました」
かしこまった感じで僕が言うと、シャルル嬢はキョトンとした表情になった。
「僕をあなたの付き人にしてください」
「え?」
「僕、結構役立ちますよ。医師免許を取った後、検死のやり方も教えてもらったので、医学的にも事件の解明や冤罪の証明にもなります」
僕は軽く笑ってもう一度「付き人にしてください」と言った。するとシャルル嬢はほほ笑みながら口を開く。
「分かったわ。それじゃ、これから付き人としてよろしく」
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