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◇50 ギルド会館で絡まれちゃった!?

割り込んで来る迷惑客をバシッとする話。

「まさかこんなことになるなんて……」


 周囲からの視線が痛い。

 私は、いや私達は、変なプレイヤー達に絡まれてしまった。

 まさか割り込みを喰らった挙句に、一方的な暴力で、喧嘩にまで発展しかけている。

 こんなの予定には無いよ。私はあまりにも不運過ぎて、やれやれだった。


「おい、ガキが。その顔と態度はなんだ?」

「舐めてんな。完全に舐めてるだろ!」

「いや、えっと、そんなこと無いけど……」


 今度は私が的にされた。

 全身が硬直するけど、すぐに意識を切り替える。

 できるだけ穏便解決が図れるように計算するも、やっぱりちょっと許せない。


「ハッ! 顔が言ってんだろうがよ!」

「喧嘩も暴力も良くないよ!」


 男性の一人が先に手を出す。

 さっきも私に拳を突き出して来た少し細身の人だ。


「はっ!? うわぁっと、な、なんだ!?」


 だけど私は拳が飛んできた瞬間、上手い具合に拳に合わせる。

 手のひらで軽やかに掴むと、威力と衝撃を殺してしまう。

 流石に私みたいな子共に拳を止められたからか、男性は驚いてしまう。


「よっ、出た! アキラの体術」

「お前、喧嘩が得意なのか?」

「得意とかじゃないけど……体術とか受け身とかは昔からやらされてきたから」


 お母さんに小さい時から教わっていた。むしろ叩き込まれてきた。

 本当はこんな所で活躍も披露もしたくなかった。

 だけどこうなった以上、私は被害者。

 たくさんの人が見ているんだ。私は最小限の動きで、あしらえるように努力する。


「割り込みなんてしなくても、いいんじゃないですか!?」

「うるさいな。俺達の方が偉いんだよ!」

「そんなの無いと思います。だから、ちゃんと順番守ってください!」


 そう言うと、男性は苛立った。

 プチンと堪忍袋の緒なんて最初から切れているけど、余計に切れてしまう。

 そのせいか、残りの二人も参戦し、私のことを襲う。


「「「死ねっ!」」」

「うわぁ!」


 私は武器を手にしたプレイヤー達に襲われる。

 その瞬間、脳が警告を流したから、体が勝手に動く。

 後ろに思いっきり飛ぼうとすると、その瞬間、間に割る様に声がした。


「そこまでです!」


 その声にはインパクトがあった。

 おまけに全身が固まってしまった。

 怖くて動けない。委縮してしまうと、私達は立ち止まる。


「えっと、ミーNaさん?」


 そこに居たのはNPCの女性、ミーNaさん。

 腰に手を当てて、お母さんみたいに叱られた。

 私達は瞬きをしつつも、いち早く私は武器なんて持ってないけど、武装解除をして無抵抗になる。


「は、はい!」

「貴女は大丈夫ですよ。問題は、貴方達です」


 そう言うと、ミーNaさんは男性プレイヤー達を睨んだ。

 警戒するだけじゃない。形相が怖い。

 鬼とかじゃない。なんだろう、可愛い顔なのに、もう直視できない。


「な、なんだお前は!」

「NPCの癖に楯突くのか!?」

「ギルドの受付嬢如きがすっこんでろよ!」


 完全に逆ギレ。にもかかわらず、横暴で往生な態度を取る。

 けれどミーNaさんは一切退かない。

 むしろ好戦的で、距離を詰めてさえいる。


「いくら皆さんがプレイヤーだからとは言え、ここはギルド会館です。私達、ギルド職員の指示の下、ルールを守っていただかなければ困ります」

「「「はっ!?」」」

「それができなければ、即刻出て行っていただきますので、ご了承くださいね」


 ミーNaさん、怒ってる。完全にブチギレている。

 怒られていない私達でさえ、ビビってしまったけど、多分この人達は、もっとビビッてる。

 だって、ミーNaさんの顔を、もう直視できないから。


「はっ、はぁ!? ふざけんじゃねぇ」

「こっちはギルドに来てやってるんだ。NPCの癖にプレイヤーに楯突いてんじゃねぇぞ!」

「痛い目を見たいみたいだな! 沈め!」


 男性の一人が喧嘩っ早くて、素早く前に出る。

 手刀を繰り出そうとするも、ミーNaさんは動かない。

 このままじゃミーNaさんが危ない。私はそう思ったから、ミーNaさんに叫んだ。


「ミーNaさん!」

「よっと」

「えっ? ……あばばばばばばばばばばばばばばば……」


 今、何が起きたの?

 私達はみんな目を疑った。ちゃんと見ていた筈なのに、何が起こったのか分からなかった。

 ただ一つ、ミーNaさんが強すぎて、手刀に合わせて背負い投げをしたんだ。

 そうしたら、男性プレイヤーは背中を強打して、白目になって、口から泡を吐いていた。


「な、なにが起きた!? なにが起きやがったんだ!?」

「嘘だろ。信じられねぇ」

「ふぅ。暴力は止めていただけますか? 私の攻撃は、皆さんの精神にも影響をきたすので、できればこのような真似はしたくないのです」


 サラッと怖いことを言った。

 私達はビビるというより顔色が悪くなる。

 絶対に怒らせないようにしようと無言の誓いが立てられると、男性プレイヤー二人は、ミーNaさんの顔を見られなくなった。だって、次は自分達の番だからだ。


「さて、どうしますか?」

「「あっ、その、えっと……」」

「ギルドからのペナルティは、三日間ギルドへの出入り禁止とさせていただきます。それでよろしいですね?」

「「は、はい……」

「分かっていただけたら結構です。くれぐれも、今後はこのようなことが無いよう、努めていただきますね。皆さんもですよ」

「「「分かりました!!」」」


 とんでもないことになってしまった。

 ギルド会館の雰囲気を、完全にミーNaさんに奪われてしまった。

 そのせいだろうか。もはや誰も頭が上がらない。

 下手な真似をしたら締め出されるだけじゃなくて、白目を剥かされる。


(あんなに可愛い人なのに、怒らせるともの凄く怖いんだ。覚えておこう)


 私は肝に銘じることにした。

 そうこうしているうちに、男性プレイヤー達は、気絶した仲間を連れてギルドから強制退去させられる。

 その背中は何処か寂しそうで、本当にギルドを作りに来ただけなんだなと思うと、悪いことをした気になってしまった。

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