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鉄の世界に咲く花は  作者: イロハ
一年生
31/247

始業式の過ち

新年が始まり、早くも1週間を迎える今日。

高校一年生3学期の始業式の朝。

毎朝布団の中から出ざるを得ない生活への回帰に気持ちは既に下り坂。


「ほらー朝ご飯できたよー。新年最初の登校から遅刻なんて、みっともないことはダメだよー」


階下からお母さんが起きよ起きよと私を呼ぶ。

これまでも登校時間はギリギリではあるものの、遅刻は一度もしたことがない。

起きなければと頭ではわかってはいるが、布団の方が私をひっ捕らえて離そうとしないのだ。

だが私はとりあえずそれに抗おうとはしない。

布団のなかは遅刻をさせてくる最強の監獄だが、それと同時に最高の幸せをもたらす楽園でもあるのだ。


私の経験によれば、あと2分は布団のなかでぬくぬくできる。

私をとり囲むぬいぐるみの集団に抱きつきながらぬいぐるみと共に寝返りをうつ。

あと2分だけよろしくね、お布団(マイフレンド)




「こーーら!いつまで寝てるの!?間に合うの!?」


再度階下から私を呼ぶ声が聞こえる。

なにさ、あと2分は大丈夫なんだってば。

そう心の中で文句をたれながら枕元にある時計で現在時刻を確認。

あと2分は大丈夫と、幸せの二度寝にふけってから7分後の時刻を時計は示している。

つまり、安全範囲内時刻から5分オーバー。


………いやいやそんなバカな。

いくら寝起きで頭がボヤーっとしているとはいえ、時計を見間違えるなんて相当だな。


自分にそう言い聞かせながら、無意識のうちに冷や汗をかきながら時計に視線を向ける。

しかし時計の表示時刻が戻ることは当然ない。


「………遅刻だ」




自転車を漕ぐ。全力で。

毎朝一緒に登校している葉菜は日直。

2学期終業式時点で葉菜の1人前が日直だったのだ。


髪を整えている時間など当然ある訳もなく、あれに荒れた髪をなびかせながら風をきって進む。

朝食は食パンを袋ごと持ってきた。

1時間目終わりの放課にでも食べよう。


途中、運良く信号に捕まることもなく学校が見えてきた。

学校の外には大きな時計が付いているが、秒針はないため残り時間はイマイチ分からない。

日頃はあまり意識しない秒針だが、その秒針の不在が一層不安をかき立てる。

残り25秒ほどあれば遅刻は回避できる。

制限時間が残っていることを願い、ひたすら漕―――



[キーーンコーーンカーーンコーーン]




「せんせー、紗愛はー?」


門限を知らせる鐘が鳴ったが、未だ席が1つ空いていることに気づいた幸が先生に尋ねる。


「欠席の連絡は聞いていないけど……遅刻、かしら」


「うわっ!おい聞いたか葉菜、紗愛遅刻だって!」


「ほほー……これはイジるしかないですねぇ幸さん」


葉菜と幸が「ゲッヘッへ」とお互いの悪い顔を見あいながら悪巧みをする。

夕がそんな2人には目もくれず、教室の入口に目を向ける。


その瞬間、扉が開き、件の遅刻犯が息をきらしながら教室へ入ってきた。


「はあ、はあ……遅刻、しました……」




「へいへい紗愛ー、何やってんのっさ!」


「私は……悲しいよっ!紗愛!」


幸は裏路地のチンピラのように、葉菜は悲劇のヒロインの如く膝から崩れる。

だが息も絶え絶えな私はオーバーな煽りを相手にせずにゆっくり息を整える。


「はーー……やっちゃったなぁ……」




始業式は終わり、今日は授業もないためこれにて下校。

葉菜から5人で遊ぼうと提案されるも、今日は私以外そろってあまり都合がよろしくないらしい。

残念ながら今日は解散、それぞれ自分の帰路へ。

そしてその帰り道。


「葉菜、暇だったら午後から家で遊ばない?」


「いいよー、どうせ暇だしね。紗愛の家久しぶりだ」


軽いノリで、放課後は私の家でのんびり遊ぶことになった。

それぞれの家でお昼ご飯を食べ、遊ぶのは少し余裕を持って2時から。

ひとまず「あとでねー」と別れてから自分の家へ向かった。




「ただいまー」


「おかえり。朝間に合ったの?」


「ぅっ……ギリギリで」


ウソはついていない。

なぜなら私は「間に合った」とは一言も言っていないのだから。

事実はギリギリで「間に合わなかった」。


「お母さーん、午後から葉菜来るから」


「あら、久しぶりね。せっかくだからお菓子でも作ろうかしら。お昼は惣菜パン買ってきてあるから」


リビングの机の上にはパンが4つ。


「どれ食べてもいいの?」


「いいわよ。お母さんのも2つ残しておいてね」


私は手を洗い、食器棚からお皿を取り出して袋の中からチーズパンとベーコンエピを選んでお皿の上に乗せた。

みなさんこんばんは!イロハです!

申し訳ありません!土曜日のうちに投稿できませんでした……。

さらに言えばもともと水曜日投稿の予定だったのに都合で変更致しました……すみませんでした。


もし前話の投稿の後書きにある投稿予定日を終えても投稿されていない場合はその話の後書きを再度

確認していただければ予定日が更新されているかも知れません……。

手間をかけさせてしまって申し訳ないですが、そちらから確認の方お願いします。


本編のお話をしませう。

今回はそもそも書き方を変えてみました。

少しは読みやすくなったでしょうか……?

これまでのぎゅうぎゅう詰めから一転、スマートになるように意識しました。

なれない書き方で多少大変でしたが、今後もこのスタイルでいこうと思います!


それではこの辺りで!また次回よろしくお願いします!


【次回投稿予定日は 6月29日 です】

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