修学旅行 #14
残り時間はあと僅か。
夕は既にノックアウト寸前。
隣をなんとか置いていかれまいと頑張る夕を見やるが、当の本人はその視線に気づかず、一点を見つめながら走っている。
口から魂が半分くらい漏れ出ているのではないかと錯覚しそうな様相だ。
「わあぁー!ちょっと!夕が!葉菜どうしよう!」
「え!?ちょっと夕大丈夫!?紗愛おぶってあげなよ!」
「私ももう限界だよぉ!凜助けてあげ―――――――」
「新城さんと同じ!私も無理よ!中嶺さん出番よ!」
凜に夕の救助を要請するも、要請し終わる前に凜が不可能の意志を提出する。
とはいえ息も絶え絶えの夕を走らせられないと5人で一時停止。
「よっし、私がおんぶするぜ!3人はとりあえず先走ってろ!」
幸が夕の前で屈み、「乗れ」と態度で示す。
私達限界寸前トリオは比較的マシな葉菜を先頭に言われるがまま再度走り出す。
「夕大丈夫か?無理させてごめんな」
自分の背中にくっつき、首に手をまわしてしがみついた夕に一声かけ、しっかり乗ったのを確認すると、
「よし乗ったな?バランス悪かったら言えよ。行くぞ!」
幸達を置いて走り出してしばらく。
時計すら見る暇もなく止まらずに脚を動かし続ける私たちの耳に聞き馴染みのある声が届く。
「うおおおおぉ!追いついたぞ!!」
無論、声の主は幸だ。
「あれだけ食べてあれだけ走って人1人背負って尚あのスピードなんて………何者よ」
一度2人の合流を待つために束の間のストップ。
「はあっ!やっと追いついたー………」
「お疲れ幸!でも休んでる場合じゃないよ!」
合流に気を休めている場合ではないと、葉菜の一言で窮地に立たされていることを思い出した一同は集合場所へと急ぐべく走り出そうとする。
「10、9、8、7…」
と、微量ながら体力を取り戻した夕が幸の背中でなにやら呟きはじめる。
「お?どしたー夕」
「えっ、まさか………」
なにかを察した凜が、長らく確認していなかった現在時刻を左腕の時計で確認する。
「3、2、1……………2時」
全員が各々の時計を確認、そして硬直。
呆然とする私たちの横を、のんびりとした自転車が通過していった。
「先生、凜達の班がまだ帰ってませーん」
「全く、大丈夫なのかしらあの子達…………」
集合時間を3分すぎて。
未だ来ない生徒5人を心配する。
慌てる間近の自分を押さえ込み、集合済みの生徒達に落ち着くよう指示をだすが、それは事実自分への暗示のようなものだ。
「あっ、先生来ました!」
ある生徒の言葉に、駐車場の入口に視線を向けると、そこには心配の種達が疲れ切った顔でこちらへ急いでいる姿があった。
「遅れてすみません!」
みんなのもとへ到着、凜が謝罪の言葉を放つ。
心配そうな表情だった宮井先生は姿を確認したのち、怒り顔になる。
「集合時間は2時だと、栞にも書いてあるはずです!………とにかく列に並びなさい!」
怒れる担任の言葉に従い、整列しているクラスメイトの列後方に並んだ。
「時間が押しているので、さっそくバスに乗りましょう。各自で荷物を持って乗り込んでください」
前列から動き出し、順々にバスの中へ。
私たちも十分な水分補給のあと、荷物を手にバスへ乗ろうとする。瞬間、背後から強烈な威圧感を感じる。
「学校に戻ったらお話しましょう、ね?」
声の主は、言うまでもなく先生。
その表情は、柔らかなベールの裏に隠された赤く光る爆弾のように見えた。
イロハです!おはようございますこんにちは!
ついでにこんばんは!っとーはい。
残りわずかですねー修学旅行。
わずかってなんなんでしょうねー(遠い目)
自分的にはわずかなつもりなんですけど…
5人は結果遅刻でした。残念でした。
幸にはしっかり言わないとですねー。めっ!
雑な締めに入りましょうお疲れさまでした!(?)
また次話よろしくお願いします!




