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鉄の世界に咲く花は  作者: イロハ
一年生
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18/247

修学旅行 #11

ホテルの朝。

朝ごはんの香りの中。

紗愛は座布団に座ったまま半目で箸と茶碗を手に持ち、もそもそと食事を進める様子を葉菜以外の班員が凝視する。

その目は奇異の生物を見るような姿勢だ。

しかしその奇異の生物の隣で葉菜は我関せずといった顔で味噌汁をすすっている。


「ねぇ、永咲さんはなんとも思わないの?」


「んん?何が?」


「いや、何がっていうか………」


「世の中に寝ながら飯食えるやついるんだな」


「紗愛、すごい」


みなが口々に感想をこぼす。

しかしながら紗愛は未だ夢の呪縛から抜けられずにいた。

抜け出そうとする様子は微塵も感じられないが。


「「ごちそう様でした」」 「………したー」


食後の挨拶ができるくらいにはなった紗愛がフラフラと立ち上がる。


「紗愛、どこいく?」


「#!@ー|#.〝/……」


「……え?」


「顔洗ってくる、だってさ」


「永咲さん今の分かるのね…………」


バシャバシャと洗面所から水の音が聞こえる。

やがて若干シャキッとした顔の紗愛が洗面所から戻ってきた。


「あー………おはよーみんな」


「おはよーって、紗愛もう朝ごはんも食ったのに」


「え、私ご飯食べたっけ?」


本気で記憶がない紗愛にもはや畏怖を覚える3人。

凜は衝撃で閉じられない目を赤くさせながら荷物をまとめ始めていた。


「まあ何にせよ、みんなそろそろ着替えないと、ロビーの集合時間遅れるぞ」


「あわ、ほんとだ。紗愛早く着替えよ!」


集合時間までは残り15分。

着替えて荷物をまとめたらちょうどいい時間になるだろう。

一足先に準備を終えた凜は布団の片付けも始めていた。



集合時間。の3分前に全員集合完了。

どこか暗い雰囲気を纏った先生と朝の挨拶をかわし、今日1日の大まかな流れの説明を受ける。

説明と行っても、今日の予定は――――――――


「2日目はホテル付近での自由行動となります。範囲は栞に書いてありますから、決して出ないようにしてください。集合は午後2時にホテルの駐車場です」


手提げカバンやリュックに自由行動用の荷物を移し、残りの大荷物は先にバスの下の荷台に積んでおく。

班員みんなが荷物を積んだ私たち一向は、ホテルの敷地から出る。

目的地は特にきまっていない。

というかあえて決めていない。

その場のノリで遊んだほうが楽しいんじゃないかという幸の案からこうなった。


しばらく適当に歩いていくと、服屋、雑貨屋、オフィスビル、病院、スーパー、学校、ゲームセンター、本屋などなどたくさんの施設がでてきた。


「たくさんあるねー。ねえ夕、どこ行きた………あれ?」


隣を歩いていたはずの夕の姿が見えない。

迷子だろうかと焦ったが、後ろを振り替えると無事発見。

迷子未遂だった夕は、とある建物の窓ガラスに張り付いていた。


「夕どうしたんだ?」


葉菜が声をかけるが返事がない。

反応すらない。

吸盤の如き執念で窓に張り付く夕。その建物は――――――――


「ペットショップかー」


看板には大きくペットショップを主張する文字。

夕の覗く窓の内側にはたくさんの動物。

そんなたくさんの動物中、夕が凝視しているのはハムスター。


「黒森さんはハムスターが好きなの?」


後ろから凜に話しかけられた夕が肩を跳ねさせる。


「ごめん」


一人ペットショップに気を取られていたことを反省しているのだろう。

軽くうつむきなから謝る。


「別に問題ないって。何なら入ってくか?みんなも大丈夫?」


全員一致、問題ないの意思表示として頷く。

夕の顔が上がり、明るい表情になる。


「ありがとう」


意気揚々と店内に入る夕に続き、私たちも店内に入る。


「黒森さんは動物が好きなの?」


「うん。でも、動物飼えない、から………」


「家族が動物苦手とか?」


葉菜が尋ねた時には既に夕の視線はハムスター一直線。

何故かその葉菜の言葉に反応したのは幸。


「あー………えと、そう!家族が動物苦手らしい!ぞ!」


「……?そうなのか。残念だなーせっかく動物好きなのに」


「おお、そ、そうだな!残念だよなー」


「もしよかったら、今度うちに来ない?」


「そういえば葉菜、犬飼ってたね。名前忘れちゃった…」


「コロネだよ!ビーグルの!」


「おお、そりゃ夕も喜ぶな!今度夕といっしょに私もお邪魔していいか?」


「いいよ!そうだ、凜は動物どうなんだ?」


反応なし。

それもそうだろう、凜は店のすみで青ざめた顔をしていた。

その様子から察するに、


「凜、動物苦手なの?」


わたしの問いかけに首を縦に振って返事。


「そうだったのか。悪いな、夕のために」


「気にしなくていいけど………」


細い声で返事をする凜。

よく見たら肩がプルプルと震えていた。


「あはは……私いっしょにいるよ。葉菜と幸は好きに見てきて!」


「そうか!じゃあ私は犬見てくる!」


「私は魚のとこに行くかなー。じゃあ後でな!」





「いやあ…犬はいいですなぁ…」


ガラス越しに柴犬とハイタッチ。

犬のセラピー効果は絶大だと私は信じてるから。

どこぞのマッサージよりよっぽどいいよね!体と心の違いはこの際気にしない方向で。


「しかし、夕はハムスターの前から動かないな…」


いまだハムスターを眺める夕。

夕の小動物的なオーラと何か波長が合うのだろうか。

いや、今は目の前のかわいいかわいいワンちゃん達を楽しもう…!


===============================



「魚っていいよなー………この何も考えてなさそうな顔」


水槽の中を悠々と泳ぐ金魚なりグッピーなりをぼんやりと眺めながら何気に失礼なひとりごとを呟く。

この間の抜けた顔、好きなんだよな。

それよりも…………

「自由に水槽の中を泳いでいる………それでも水槽の中からは出られない………自由ってなんだろうな。私はどうなんだろうな」


っと、そんな現実は今くらい忘れたっていいだろう。今は無心で魚観賞を楽しむとしよう……。

どーも!寝ながら毎朝ご飯食べてますイロハです!


そうなんです、寝ながら食べることができる

ヒューマンは実在するんです。びっくり?


修学旅行1日目に予想を大幅に越える10話も

使いましたが、2日目はそうはならない…かも?

結果はわからないので疑問系にしておきます(苦笑)


内容のお話です。おわかりいただけただろうか。

複数の意味深描写。表現下手なので

探そうとしなくてもわかるとか思ってますか?

ですよね。頑張ります。


さて、今回はこのあたりで!

ありがとうございました!

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