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ブレイブリバース!~二人で魔王倒せるの?会社員なゲーマー勇者と器用貧乏な吟遊詩人が、データ通りじゃないRPG異世界(101周目)を独自ルートで攻略した話~  作者: 鳴海なのか
第1章 初めての街、初めての仲間

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第30話「テオ先生の、魔術講座」【イラスト/タクトVer.3(全身)】


 エイバス近くの森の中。

 俺とテオは、いつもの練習エリアを陣取っていた。


 目標は、『小鬼(こおに)洞穴(ほらあな)』再戦までに【光魔術】の威力を上げること。

 そのヒントとするため、魔術について改めてテオに教えてもらうことにした。


 俺だってかつては高難度の魔術を使いこなしまくっていた。

 だがそれは架空世界(ゲーム)の中での話。

 現実世界(リバース)では勝手が違う。


 ある程度は魔術に慣れた今だからこそ、その違いを詳しく知りたくなったのだ。





「まずは基本から始めるよー」


 笑顔で説明を始めるテオ。

 俺はボードに挟んだ紙にメモを取りつつ、真剣に耳を傾ける。


「そもそも『魔術』ってのは、『精霊』の力を借りて魔力を自由に扱う技のこと。だから上手くイメージさえ伝えられれば、やり方次第で色んな術式を使えるんだ」

「なら、魔術以外のスキルは?」

「直接そのまま魔力を扱う技だね。精霊のサポートがないから、1つ1つのスキルの効果は限られるけど、そのぶん安定した効果を発揮しやすいよ」



 そういや、ゲームでもそういう設定だった。

 あまり意識したことは無かったけど。

 スキルは魔術でもそれ以外でも、ボタン1つで発動できたから。


 だが現実だと、魔術はイメージを固めないと発動できない。

 他のスキルは念じるだけで発動できる。


 この原理の違いは、そのうち時間を作って分析したほうがいいかもしれない。





「……で、次は系統の話。魔術の術式は『生活魔術』『回復魔術』『戦闘魔術』の3つに分けられるんだ。でもこの分類ってさ、ちょっと曖昧なんだよね~」


 これもゲームの設定にあったやつだな。


 例えば火球(ファイアオーブ)は、火の魔力を球形に具現化する術式だ。

 明かりとして使えば『生活魔術』。

 敵にぶつけて攻撃に使えば『戦闘魔術』。

 同じ術式でも、使い方で分類が変わるのである。


「回復魔術はさっき話したから……お次は『生活魔術』について説明するぞっ」




 生活魔術とは日常生活やアイテム生産で使う魔術のことだ。

 例えば、以下のような傾向がある。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【火魔術】:料理や照明など。

【水魔術】:生活用水の確保など。

【風魔術】:空調設備など。

【土魔術】:建設など。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 長年平和だったこの世界(リバース)では最も研究され、そして普及している魔術。

 だから魔導具も、生活魔術関連についてはかなり発達している。

 テオの『ニルルクの究極天幕(アルティマテント)』は、その技術の集大成の1つだろう。



 俺が見たところ、魔導具はゲーム同様、幅広く庶民まで普及していた。


 地球でいう“生活家電――照明・洗濯機・冷蔵庫等――”的な物も充実している。

 その動力源は魔力なので、エネルギー問題なんて関係ない。

 直感的に使える物も多いし、ある意味で地球よりも便利なのかもしれない。


 だが、電話のように『通信機能』を持つ魔導具は全く知られていないようだ。





「そうか……()()()()が広まってないからだな……」


 俺はボソッとつぶやいた。



 ブレリバでは現状、7つの属性魔術スキルが確認されている。


 まずは【光魔術】【闇魔術】。

 これはそれぞれ勇者、魔王のみが持っている魔術スキルだ。


 そして【火魔術】【水魔術】【風魔術】【土魔術】の4つは使い手も多い。

 この世界(リバース)の住民たちの生活にも浸透している。


 だけど残りの1つは――



 ――()()()()()()()()()()みたいなもんだよな。


 思い出した俺は、ニヤリと笑う。



 ある時1人のプレイヤーが偶然『7つ目の属性』を発見。

 それはまさに()()だった。

 新たな属性は、他の6属性とは全く性質が違っていたのだ。


 プレイヤーたちは新属性の魔石を使った魔導具を競うように研究。

 夢のような魔導具を数々作り上げた。


 電話機能を持つ通信系の魔導具が発明されたときは、同時にそれを使って発生するイベントも多数発見されて、話題になったんだよな。



 中でも大きいのは『自由転移扉テレポーテーションドア』の発明だろう。

 あの“どこ○もドア”を元にしていて、1度行った場所なら一瞬で行ける。


 もしも本当に、あれを現実で手に入れることができたなら……。






「……タクト?」


 急に聞こえたテオの声で、俺は現実に引き戻された。



「ど~した~? マヌケな顔になってたぞ?」

「すまん、ちょっと考え事してた! せ、生活魔術って便利だよな!」


 慌ててそう答えると、テオは「そーだな」と笑って返し、そして話を続ける。


「んじゃ、最後は『戦闘魔術』について話すぜっ」




 戦闘魔術は、戦闘時に使う魔術のことだ。

 それぞれの属性魔力を具現化し、攻撃や防御などに使用する。



 攻撃に使う場合は、具現化した物質を、直接敵にぶつけるのが主となる。 

 スキルLVが高いほど扱える魔力量も増え、攻撃威力も上がるのだ。


 どんな形に具現化するかでも威力が変化する。

 例えば同じスキルLVの場合、球形にして具現化する『(オーブ)系』よりも、鋭い矢の形に圧縮して具現化する『(アロー)系』のほうが威力は遥かに高い。


 他には【魔術付与(エンチャント)】スキルで、武器や拳に魔術を纏わせる方法もある。



 防御に使う場合は、盾や鎧のように具現化するのが主である。

 これまたスキルLVが高いほど、防御力も上がる。


 盾のように使うパターンの基本は、『(ウォール)系』だろう。

 火壁(ファイアウォール)水壁(ウォーターウォール)など、地面に直角な真四角の壁を出現させる。

 半球形の壁を発生させる『障壁(バリア)系』などの派生形も多数ある。




「……戦闘魔術で最も重要なのは、()()()()()()()だっ!」


 特に強調するように言ったテオは、属性の相関図を地面に描きながら説明する。


「火は、風に強く、水に弱い。火・土と相殺」

「水は、火に強く、土に弱い。水・風と相殺」

「風は、土に強く、火に弱い。風・水と相殺」

「土は、水に強く、風に弱い。土・火と相殺」


「……ここまではOK?」

「ああ」


 属性の相性はゲームと全く同じ理論。

 俺にとって“おなじみ”のやつだ。


「じゃあここで問題! 小鬼(こおに)洞穴(ほらあな)のボス・ゴブリンリーダーは『土の魔物』、つまり肉体が土属性の魔力でできています。どの属性で攻撃するのが、最もダメージを与えられるでしょーかっ?」

「風属性だな」

「あったりーっ! これでひととおり説明したと思うけど、何か質問あるか?」



 一瞬考えてから答える。



「……今のところ大丈夫。詳しくありがとな。色々参考になったよ」

「またいつでも説明するぜっ」

「助かるよ。じゃ、本題いくか!」


 ここまではあくまで下準備。

 ボス攻略のための具体的な戦力アップは、ここからが本番だ。




お読みいただき、またブックマーク登録や評価等もありがとうございます。



挿絵(By みてみん)

タクトの現段階のイメージイラスト(全身)を描いてみました。

第17話辺りからの『革の軽装鎧』など着用バージョンです。


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