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~解決編~

その日の夜。古岡はモデル撮影のため、撮影現場にいた。

するとマネージャーの柴田が近づいてきて自分に


「美優ちゃん。岡部さんという刑事の方がお話がしたいって」


またか。今度は何の用。そう思うと次第に怒りが湧きながらも、自分は岡部を通した。

本当は追い払いたかったが、そういうわけにはいかなかったからだ。でもまさか通したことで人生を大きく狂わせることになるとは、まだ知らなかった。

岡部が中に入る。自分は少しキレ気味に


「なんですか?私に用って」


「えぇすぐ終わりますし。これで最後です」


その言葉に少し不自然を覚えたが、ホッとした。もうこの刑事に会わなくて済むと。そんな感じになりながら


「そうですか。ではご用件を伺いましょう」


言ったこともない言葉だったが、自分にはこれが精いっぱいだ。自分は思った、絶対に脚本家にはなれないと。

すると岡部は唐突に


「えぇ事件が解決したのでそのご報告です」


意外と早く事件が解決したのねと思いながらも


「あらそう。それで犯人捕まったんですか?」


「いえ。実はその犯人は古岡美優さんあなたです」


意外な言葉に少し驚きを隠しきれなかった。だって自分の殺人は完璧だと思い込んでいたらからだ。少なくとも自分の犯行説は出ないとそう思っていたからだ。自分の隣にいた柴田も驚きを隠せない状況だった。

すると岡部が


「あなたは、先日行われた主演ドラマオーディションに参加されてましたよね」


「えぇ」


少ししか声が出なかった。本当は殺人者としては失格だが、それくらい動揺していたからだ。


「でも実はそのオーディション。完全な不正で行われていたのです。そう、そのドラマの監督があなたにオーディションを合格するように仕向けた。しかしそれを偶然聞いていたんでしょう。石川さんがあなたに声を掛ける。そしてあなたは家まで行き、いや、家まで連れていかれて、石川さんを殺害したのです」


「連れていかれた?そんなのどうやって証明できるのよ」


とりあえず対決しかない。そう思い発した言葉だった。


「はい。マネージャーの柴田さんにお聞きします。オーディションのあと突然駅で降ろしてくれと言われたそうですね。そして当然駅で降ろした」


柴田は少し動揺した声で


「えぇそうです」


「そして古岡さんあなたは、駅で降りた後恐らくどこかで石川さんと待ち合わせをして、石川さんの自宅へと行った。でも恐らく歩いて行ったかもしれない、しかし、徒歩だと駅からは約10キロあります。そんな距離を女性が一人で歩くにはかなりの負担がかかります。そして、ではタクシーです。しかし犯行現場までタクシーで行ってしまってはすぐに自分が犯行したとばれてしまう。それもあなたは免許をお持ちではない。それだとしたら方法は一つ。石川さんの車に乗ったこういう意味です」


自分はとりあえず冷静になろうと思い


「それでも、私が殺したとは限らないわ」


少し強めで言った。すると岡部は冷静に


「あなたは美術の専門資格をお持ちである。恐らくすぐに犯行に使われた壺が偽物とすぐにわかり、それを凶器に使ったんでしょう。そしたら辻褄が合います」


自分は笑顔になった。なぜそんな表情をしたかはいまだに分からないが、余裕のある笑顔だったんだろう。そのまま自分は


「だったら、それで裁判所に突き出してみな?あなたが笑い者になるだけよ」


「いえ、私が笑いものにならない決定的証拠があります。それはこれです」


何やら岡部はストラップの付いたものを手に持つ。しかし物は手に隠れて判別は不可能。しかし自分はそれが何かすぐにわかった。自分は微笑みながら


「それ、すぐにわかったわよ。USBでしょ。それがどうしたのよ」


「今なんと?」


「だから、US…」


一瞬固まった。なぜ固まったかは理解が出来なかったが、とっさに思い出した。これは罠だ、そう思い震える。岡部はここぞとばかりに笑顔になり


「あなた。なぜこれがUSBだと思い込んだんですか?」


「だっ、だってそれは完璧USBでしょ」


しかし岡部が持っていたのは、ただの鍵だった。それを見て動揺を隠しきれずにいた。とっさに出た言葉は


「だって今日の昼来た時に、探し物があるって言ってたじゃん。USB探してるって」


「確かに探してるものがあるとは言いましたが、USBとは一言も言ってません」


今思い出すと確かにそうだ。今は自分で墓穴を掘ったのだ。岡部は畳みかけるように


「あなたは、石川さんを殺害した直後、オーディションの不正を事細かに書いてあるUSBを盗んだ。残念ながらあなたは気づかなかったみたいですけど、USBの写真が残っていました。恐らく盗難防止でしょう。だからこのストラップをわざとあなたに見せたのです。恐らくあなたのカバンに入っているんでしょう。調べればわかります」


確かにあの時に実はUSBの存在も石川はばらしていた。そのため盗んだんだ。まさか写真が残ってるとは思いもしなかった。これが思い込みかと自分を責めたが、負けたと思い


「あなたは優秀みたいね」


「ありがとうございます」


岡部が笑顔で言う。次第に自分は涙を流しながら


「悔しいわね。こんなんで人生棒に振るとは。でもあなたみたいな人に捕まってよかったわ。優秀だもの」


そのまま自分は取り調べというシーンが待っていると思いながら、岡部に連れていかれるのであった。






~最終回終わり~


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