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~成功しない~

~成功しない~


PPPPPP


 目覚ましだ。枕元にある目覚まし時計を止める。すぐに携帯を見る。表示は9月8日。


 爆発から青野さんを助ける。それが最後のミッションだと思った。もう、付き合うまでのルートは確定している。爆発は事故なのかそれとも誰かが仕掛けたのか。調べるしかない。


 とりあえず、出来ることからはじめよう。青野さんを家まで送る。付き合う条件として須藤との電話は回避できない。これは外せない。大体爆発するのは23時だ。ガスによる事故の場合、彼女に事故の注意喚起をするしかない。


 いきなり元栓の確認の話しをするのはおかしい。だとすると、それに近い話しをして、注意を向けさせる必要がある。それでまず回避できると思った。


 だが、爆発は起きた。


 青野さんが帰る時間を遅らせたら当たり前だけれど、「家族を助けて」と言われてタイムリープがはじまった。


 須藤との関係を疑い、電話をせずに23時まで公園にいたが、やはり爆発は起きた。須藤と爆発は関係ないのかもしれない。ただわかったことがある。


 前のハンカチや声をかけるなどで青野さんを助けようとしたときと同じだ。根本を解決しない限り小手先では回避できない。


 行うべき項目は3つ。一つ目はトラックの事故の回避。二つ目は青野さんと付き合い、須藤と別れさせる。そして三つ目が青野さんの家の爆発事故の回避だ。


「夏樹?今日学校休むの?行くの?」


 母親からだ。


「今日学校休むよ」


「わかった。私はもうちょっとしたら出かけるから後よろしくね」


 今回のタイムループは捨てよう。とりあえず、朝から青野さんの家を確認しよう。そう決めた。


 電車に乗り○○駅も越えて移動する。新興住宅街。元々いた住民が土地を切り売りしてできた場所。開発される前は畑だったそうだ。


 傾斜があるため田んぼにはできず、段々畑だった所が開発されていったそうだ。山近くには未だに畑は残っているけれど、手前は山を切り崩して住宅街になっている。


 駅から離れれば離れるほど大きな家が多い。青野さんの家もかなり大きな家だ。2つ街区を離れるとマンションがある。


 ここまで来ると少し古い家もある。このマンションもそうだ。おかげで屋上にいけたのだ。少し先にあるマンションはオートロックなので中に入ることすらできなかった。


 青野さんの家を見る。爆発をしたのは家の裏側だ。小学生なら入るかもしれない小さな路地に体を押し込んでいく。


 壁があるがその奥にお風呂場があるのがわかる。周りを見て誰もいないのを確認する。壁を登るとガス管の所に黒い機械の塊があった。


 赤と青のランプがついている。そして、伸びるアンテナ。僕はこれを見たことがある。9月1日。僕の妹が在籍していた▽▽中学校での爆破予告事件。


 あの時に見た爆弾と同じだ。どうして、この爆弾が青野さんの家にあるのだ。この爆弾は遠隔で爆発する。


 どこかにカメラがあるのか。どこだ。周りを見る。監視カメラなんかどこにだってある。交差点、コンビニ、銀行。ハッキングすればどこだって見ることが可能だ。


 今この瞬間も見られているかもしれない。周りを見る。住宅街の路地裏。ここにはカメラはない。ただ、今この爆弾をどこかにやったとしても解決にならない。


 9月1日の時だって結局爆弾犯は捕まえられなかった。爆弾だけを違う場所に移しただけだ。


 それにおかしい。犯行声明があってもいいくらいなのに。ふいに頭の中に何かがよぎる。


「ああ、なんか今月爆弾騒ぎが合っただろ。ほら、お前も絡んでたアレだ。あの時と同じようなタレコミがあったんだよ。犯行声明もな」


 坂下さんのセリフだ。僕はホテルで犯行声明として書き込みと電話をした。けれど、タレコミって何だ。


 場所を確認していない。何件あるのかも。ひょっとして住宅街に爆弾をしかけたという犯行声明もあったのかもしれない。


 だとしたら、僕が取った行動で警察は二手に割かれて、青野さんの家の爆弾を発見できずにいたのかもしれない。


 僕の行動のせいなのか。壁から落ちてその場に座り込んでしまう。


 足音がする。こんな路地裏に誰かが来るなんてありえない。あり得るとしたら爆弾犯だ。顔見てから僕はタイムリープすることを決めた。


 だが、こっちに来ることなくいきなり工事現場にある銃のような形状で釘を打ちつけるものを乱射された。


 痛い、血だらけだ。まずい、相手の顔も見えないけれど、僕はタイムリープをした。世界が暗転する。



PPPPPP


 目覚ましだ。枕元にある目覚まし時計を止める。すぐに携帯を見る。表示は9月8日。


 行うべき項目は3つ。一つ目はトラックの事故の回避。二つ目は青野さんと付き合い、須藤と別れさせる。そして三つ目が青野さんの家の爆発事故の回避だ。


 爆弾のタレコミがあるというのならばきちんとした住所を警察に告げればいい。善意の第三者だろう。


 そう、僕が青野さんの家の爆弾をどうにかするよりプロが行う方がいいに決まっている。


「夏樹?今日学校休むの?行くの?」


 母親からだ。


「今日学校休むよ」


「わかった。私はもうちょっとしたら出かけるから後よろしくね」


 僕は自転車でホテルに向かう。少し早めに現場に着く。電話を2件するからだ。1件はカエル急便、もう1つは警察だ。


「警察には爆弾らしきものを発見したので確認してほしい」とだけ伝える。タレコミが何時に行われたのかわからないが、後で色んな情報がつながるから夜までにはどうにかなるだろう。


 警察を信じる。それしか選択肢はない。


 ホテルに入り、書き込みを行う。ついでに住宅街についても書き込みを行う。犯行声明も必要だろう。


 そこに爆弾があるのだ。警察が動きやすいように犯行声明を書いておいた。ホテルにいる時間は短い。


 急いで移動を開始する。


 13時54分。


 ○○駅の中央改札に来たら「絡むな危険」のTシャツを着た祝園さんが立っている。横には力なくうなだれている峯島さんがいる。


「早かったね」


 おっとりとした話し方を祝園さんはする。だが、このゆったりして気が抜けた話し方だけれど、真意がいつも読めないのだ。普段から祝園さんは芝居がかった行動を取るからわからない。


「ああ、急いだからな」


 振り返ると僕の後ろに坂下さんが立っている。これもいつも通りだ。いつだってこの時間だ。そして横にはミステリアスな女性。飛鳥さんもいる。


「どうも」


 とりあえずお辞儀をする。


「その女の人誰?彼女?」


 そこもいつも通り。峯島さんがうな垂れて離れて行き、そしてメイド喫茶に向かう。



「みきちゃん。こっち来てよ。彼が噂の天才少年ジャグラーの外塚くん。なんかさ、ちょっとそれっぽいことやってみてよ。後、僕にオムライスね。ちゃんと愛情たっぷりケチャップお願いね」


 祝園さんがそう言ってくる。僕はシュガースティックでジャグリングをする。


 アタッシュケースから出して本格的にやっていいのだけれど、天井が高くないからシュガースティックが一番やりやすい。場所も大切だ。


「流石だね。なんでも身近なもので出来てしまう。でもみきちゃん。外塚くんはねみきちゃんとあんまり年齢変わらないんだよ」


 そのセリフでものすごく睨まれた。


「いいですね。学校にも行かずさぼれる身分なんて」


「今日は用事があって午後は授業ないんだよ」


 毎回だけれど、どう話してもみきちゃんの反応はよくない。実際みきちゃんにどう思われようと僕は関係ないと思っている。僕は引き立て役でしかなく、祝園さんより目立ってはいけない。それはわかる。


「そうそう、この外塚くんはあの有名な風名高校なんだよ。しかもずっと成績トップなんだ。何やってもうまくやるんだよ。まるでね、これから起こることがわかっているかのような行動なんだよ。あ、そうだ。これどうだろう。ボクがね、未来予知をして、みきちゃんがボクをサポートしてテレビに出るの。坂りん。これならいいんじゃない?」


 みきちゃんは首を横に振って去って行った。でも、もう僕を睨んでいなかった。坂下さんが言う。


「そうだな。まあ、未来予知が本当に出来るのならそういうのも面白いかもしれない。


 けれど、よほどの事件を未然に解決しないとテレビでは取り上げないな。それに、役が違う。この飛鳥を預言者にして、祝園がサポート役だ。


 お前が信者のように周りを固めて、耳打ちされて話す。それの方が画になるな。でも、事件があって、誰よりも早く解決ができるのならばだがな」


「何か最近事件があるんですか?」


 今回は事件のことをもっと聞き出す。


「ああ、なんか今月爆弾騒ぎが合っただろ。ほら、お前も絡んでたアレだ。あの時と同じようなタレコミがあったんだよ。

 犯行声明もな。だが、爆弾は一つは見つかったが、もう一つが見つかっていない。情報がないんだ。この爆弾を誰よりも先に発見できたらニュースになるな。

 しかもそれをライブでやる。それが出来たらこいつらを取りあげられるだろうな。まあ、そんな面白いことが起きればの話だ。

 まあ、そういうわけで俺は忙しいんだ。だから、ちょっと局に戻るから。飛鳥のことよろしくな」


 爆弾の一つは見つかったに変わっていた。ということは青野さんの家に合った爆弾は取り除かれたという事か。


 もう一つは僕のでっちあげ。実際に爆弾はない。ということは、青野さんの家の爆破事件は回避できたという事なのだろう。後はこのまま青野さんとあって付き合えばいい。


「どうしたの外塚くん。明るい顔しちゃって。みきちゃんにまだラブラブ注入もしもらっていないのに。まあ、僕が外塚くんの分もラブラブ注入してもらうからいいんだけれどね」


 僕が何も言わないでいるとこう言ってきてくれた。


「もしかして、僕たちのデビューについて?うれしいね。真剣に悩んでくれるなんて。でもね、多分なんとかなると思うんだ。外塚くんはそういう能力持っているでしょ」


 そう言ってオムライスを頬張っている。何かが違う。そうだ。解散になっていない。


「じゃあ、僕はこれからジャグリングをしてきますので。後はお願いしますね」


 僕は時計を見てメイド喫茶を出て行った。これですべての条件をクリアできる。今回でタイムループは終了だ。


 広場に移動し準備をする。16時少し前。ジャグリングをする時間だ。


 開始するのは慣れているカラーボックスからだ。


 徐々に難易度を上げていく。何人かの足が止まり、見てくれる人も出てくる。携帯で僕を撮っているお客さんもいる。


 SNSに上がるのだろう。そこで誰かが「あれって外塚夏樹じゃない?」って書き込みが出る。一度気になって確認したのだ。


 カラーボックスの次はクラブを使用する。少しずつ本数を増やしていく。お辞儀をするたびに拍手をもらう。


 後2分後に青野さんと柚木さんがこの近くを通る。僕に気が付くのはいつだって柚木さんだ。


 だが、2分経っても柚木さんと青野さんは現れなかった。次の電車は10分後だ。僕はちょっと間延びするかもしれないが今までしてきていない新技を行った。でも、10分後も二人は現れなかった。


 これが正解なのか。わからない。とりあえず、周りにお辞儀をしてジャグリングを終了させた。僕の行動の何かがきっかけで二人はここに来なくなった。


 まだ、爆弾処理はニュースになっていない。犯人逮捕になっていないからこういう場合報道規制されることがあると聞いたことがある。


 とりあえず、本当に爆弾が処理されたのかそれだけを確認したいと思い僕は電車に乗り、青野さんの家の近くのマンションの屋上に行く。


 23時。


 爆発は起きなかった。けれど、違う場所で火の手があがる。この場所から離れている場所。前の回ではあんな場所で火の手が上がることはなかった。


 一体何があったというのだ。近くにショッピングモールのジャストコがある。大きな庭がある家。それだけしかわからない。


 ただ、タイムループは失敗したことだけはわかった。そう、世界が暗転して行ったからだ。



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