キミの重みはボクの重み
『Stray cat』の商品は変わり種が多い。
... というかほぼそれだった。
これは目の前にいる変わり者の店主ウィルが100%原因だが。
「ん~、なかなか良さ気なものがないようだね。」
それは変わった物が多いからだ!
一応普通の武器も置いてはいたのだが何か物足りなさを感じたり重くて持てなかったり扱ったことがなかったりといった理由でなかなかしっくりくる武器が見つからないでいた。
闘うための武器を買うと決めたところまではスムーズだったのだが...
「よーし、ここはあれだね!」
背のびをして商品とにらめっこしていたウィルがくるっと振り向いた。
「あれ?」
「オーダーメイド、だよ!」
そう宣言しウィルはウインクを決める。
「でもオーダーメイドって高いんじゃ...」
「お代は結構だよ!」
そう言いウィルはにぱっと笑った。
「いや...それは......」
「えー、ユウハぁ、人の好意は無駄にするべきじゃないと思うなぁ。」
確かに一理あるけど高価な物をタダで貰うということにいささか抵抗がある。
「でもやっぱりタダってのは悪いし、払うよ。」
そう言うとウィルは不満そうに頬を膨らました。
そしてしばらくしてぽんと手を打つ。
「よし、じゃあ、こうしよう。」
「こうするって?」
「出世払いってことで。」
確証もない将来に期待されてしまった。
「あと、どうしてもって言うんならモニターになっておくれ!」
こっちの方が重要だと言わんばかりに強調してウィルが僕に近づく。
「モニター?」
一歩後ろに下がり適度に距離を取りつつそう返す。
「おうともさ!新しく商品を作っても感想を言ってくれる人がいなくてね。お客が買ってくれて初めてその商品がどう見られるのかが分かるってのが今までのことだったんだけどやっぱり物足りなさは抜けなくてさぁ。」
若干嫌な予感がした。
だが、あれだ。この流れで拒否権は使えそうもない。
「あ、そんなに引きつった顔しなくてもだいじょうぶだよ。危険はあんまりないようにするし!」
『あんまり』ってことはないとも限らないってことじゃねぇか!?
ふと先程ウィルに紹介された物を消す魔法弾入りのハンドガンが視界に入る。
例えば...あの銃で宇宙の彼方に消されたり...とか......
嫌な想像が頭の中を過ぎりブルっと身震いをする。
「よし、引き受けよう。」
「ちょっ!?リリハ!?」
なかなかすぐ首を縦に振れないでいるとリリハが横から勝手にそう答えていた。
まるで数日前の立場逆転だ。
あのときは僕がリリハの許可なく勝手に会長さんに協力することに同意した。
もしかしたらあのときリリハはこんな気持ちだったのかもしれない。
もう情に流されて許可なしに勝手にあんなことを言わないようにしようと強く心に決める。
「心配するな。モニターならボクもやるからな。ご主人の重みはボクの重み。本当に危険そうな代物はボクが引き受けるさ。それにそれで武器が手に入るのなら安いものだろう?まさかボク達の懐事情を忘れたわけではあるまい。」
「...おっしゃるとおりです...。...ハイ。」
確かにリリハの言うとおり僕達の懐は寒い。
城を出るときエルさんやエナさんの申し出を断って必要最低限の物しか持ってこなかった。それは金銭も含まれる。
幸い学校内に指導員の補佐や手伝いをして金銭を稼ぐ事が出来るプログラムがあると聞いていたので持っているお金が尽きたらそれに頼ろうと考えていたのだ。
日々生活していくためのお金はまだ余裕があるがさすがにこの店のやけに値の貼った武器を買うほど裕福ではない。
それにオーダーメイドとなれば尚更だ。
「...というわけだ、店主。」
「オッケー!じゃあユウハの了解も得たことだしさっそく作っちゃおう!まずはどんなのにするか決めて、ね。」
ウィルは言いながらくるっとその場で一回転した。
「じゃ、下の工房に行こうか!ささ、こっちこっち!」
「ちょっ!?」
まだ了承したというわけではなかったのだが今更躊躇える雰囲気でもなくなってきた。
ぴょんぴょん跳ねるウィルに手を引かれ店の奥へと連行されていく。
「あ、そうだ。」
店の奥にあった扉を開け下へと続く階段の電気を付ける。
「ウィル、普段はこの恰好でなんやかんやするんだけどさ。」
そう言い膝丈のエプロンドレスの裾を摘む。
「やっぱりサービスとして服を脱いでエプロンだけで作業したほうがいい?」
真剣な眼差しで斜め上の提案をしてくる。
そんなウィルに僕はーー
「それはしなくていい!!」
全力でツッコみ丁重にお断りさせて頂いた。




