第040話「花とモンスターと白と」
リメイク版執筆に時間を取られてどうしてもこっちに割く時間が足りない。
とにかく短いですが出来た分だけ上げます。
貴族長男の名前ないのかよとご指摘いただいたので付けました。
ローブの男から水晶を買った貴族長男、レアル・ゼックナーは騎士ラニーを連れて馬車に乗り込み街の外に出ると、目的地に向かって一直線に馬を走らせた。
「ぼっちゃん! どうかお戻りください! 私だけではダンジョンでぼっちゃんを守りきる自信がありません!」
「心配するなラニー、私にはこれがある」
そう言ってレアルはローブの男から購入した水晶をラニーの前に見せびらかすように出してくる。
「…ですが、たとえそれでモンスターを操れたとしても通常、ダンジョンに居るモンスターの数は10やそこらではありませんよ」
「わかっている。私がそこまで頭が悪い男に見えるのかお前は? 10しか操れぬなら10で全てのダンジョンモンスターを倒せるヤツを従えれば良いだけだ」
「そんな簡単に…、」
「できる! おそらくカナさんが居るダンジョンは街の近くにある冒険者達からフラワーラビリンスと呼ばれているダンジョンだ。なら私が選ぶべきモンスターはアレしかない!」
「アレ?」
頭の中に疑問符を浮かべつつ、ラニーは出発前に屋敷の使用人に渡した手紙が無事にラインズ団長の元に届いてくれていることを祈り続けていた。
早く、早く来てください団長、私ではぼっちゃんを止めきれません!
「ふはははは! 待っていてくださいカナさん! 未来の夫である私が今迎えに行きます!!」
ゾクゥッ!!
突然背中に液体窒素でも流し込まれたかのような猛烈な冷気を感じた華撫は思わず振り返り、ついで周囲を見回した。
「どーした?」
「ん、…なんでもないわ で、いちおう紹介しとくけど、これがあたしのとこのサポート役をやってる、」
「ルート・フィネリアス・ドド・ザインです。ルーとお呼びください」
華撫の前にあるテーブルにちょこんと立っていた黒色のひよこ、ルーは羽を手の様に動かして、深々とお辞儀をして見せた。
「声の感じっていうかなんていうか、男っぽいな」
「はい、私は生物としての分類でみればオスに分類できますので、その認識で間違いありませんよ」
「まじか、」
「華撫ちゃんみたいな美人と一つダンジョンの下で共同生活とかうらやま、ごぼぉ!」
「水橋!?」
いつもの調子で話していた水橋の顔にいきなりスレイのスライムボディが覆いかぶさり、水橋はスレイの体内に取り込まれてしまった!
「水橋様、今の発言はどういう意味ですか?」(^_^♯)
「ぶいばべん!ぶぼでず!ぼべにばずれいがいべばぞれでぶうぶんでず!」
「まったく」
うーわ、冒険者ですら普通に死ねる技を何の躊躇もなくかけるとか、アネイルの時も思ったけど、やっぱりダンジョンモンスターもマスターの命=コアに手を出さない以外であれば、やろうと思えばいろいろマスターに対してできるのかもしれない。今後注意が必要かもな。
りーん、りーん、
ん、鈴の音?
「あ、珍しいな、久々に誰か来た」
「誰か?」
「そう、これ侵入者があった時に鳴る魔導具のアラームだから」
「へー、便利だな」
「まぁでもどうせ薬の調合に使える植物モンスターの素材取りかなんかだと思うけどね、さてどこのおまぬけさんかな?」
華撫は[写し画の水晶]を取り出し、ダンジョン入口を映してその姿勢のまま動かなくなった。
「…どーした?」
「華撫様? いかがされました?」
「…んで、」
「へ? なんて言ったの?」
「なんであの貴族長男がここに居るのよ! しかもやばい! 最悪だわ!!」
「な、なにが最悪なんだ?」
「あの貴族長男! よりにもよってあんなモンスターを連れてくるなんて!」
「あんなモンスター?」
華撫の説明がいまいち要領を得ないので、大地は横から水晶を覗き見た。するとそこには、
「メ゛エ゛エ゛エ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛!!!!!」
筋肉むきむきの人型で頭が大きなヤギのよくわからないモンスターが9体、今にもダンジョンに入り込もうとしていた。
「なんだあれ?」
「ゴートウルス、ヤギの頭と人の四肢をもつ極めて食欲旺盛なモンスターよ、ちなみに好物は植物類で特に植物モンスターには目がないわ」
「あ、やばいなそれ」
華撫のダンジョン、フラワーラビリンスは見た限り、植物モンスターをメインにしたダンジョンだ。今華撫が言った情報が正しいならばあのモンスターたちにはさぞここがご馳走の並んだバイキングに見えていることだろう。
「以前、華撫様のダンジョンにあれと同じものが1体だけ入ってきたことがございますが、その時は倒すまでにダンジョンの第1階層全てと第2階層の半分の植物モンスターが犠牲になりました」
「さっき俺達が下りたのは4階分だから今は4階層か?」
「いえ、あと2階層ありますので、全部で6階層です」
「だとしても厳しくね?」
「っていうか完全不利よ! 前に戦った時よりこっちの数も種類も増えてるけど、それでもあんなのが9体も居るとかどう考えても勝ち目が薄いわよ!!」
「まぁまぁ、華撫さん落ち着けよ、とりあえず戦ってみて強かったら方法を考えようぜ」
「あーもう、あんたはあいつと戦ったことないからそんなお気楽な事が言えるのよ!」
「じゃ、戦ってみればいいのか? セブルティス、ちょっと手を貸してやってくれ」
「畏まりました大地様」
「スレイも行って来い、歓迎してもらって何もしないわけにはいかないからな」
「はい、水橋様」
「ルー! 全階層に戦闘配置の通達を出して!」
「はい、わかりました華撫様」
「あー、ったくどうしてこう次から次に私にばっか面倒事が来るのよ! これが終わったらもう絶対ゆっくりしてやるんだから!」
次回は、
ヤギ? 人? よくわからないモンスターの実力はいかに?




