第032話「貴族会議とダンジョン会議」
すいません。先週は色々やる事が多くてついサボってしまいました。
今後はないように頑張ります。
王都の襲撃騒動から3日、今王城にはモンスター達が倒され、城下町の後始末が終わったのを見計らったかのように方々から各地を納める貴族が集結していた。
そして王城にある謁見の間では、金髪金眼の国王とその左右に控えた護衛の騎士たち、そして大将軍であるゼンニが国王のそばに付き、連日訪れる貴族との面会に立ち会っていた。
「おぉ陛下、ご無事でなによりです。王都が襲撃されたとの報を受けた時は私めはもうこの王国はどうなってしまうのかと心配で…、」
「うむ、国を憂いてくれた事、そして私の身を案じてくれたことに感謝するぞ。まだじっくりと話したいところではあるが、何分と他の地からも卿と同じく駆けつけてくれた者達が居るのでな、まずは皆との謁見を済ませ、それから今後の事について一堂に会して話そうと思う。良いか?」
「陛下がそうおっしゃるのであればわたくしめはそのご意志の通りにいたします。これからの王国についての話し合いが始まるのを楽しみにしております」
「そうか、では、それまでゆっくりと道中の疲れを取るがよい。下がってよろしい」
「は、それでは失礼いたします」
国王の言葉に従って貴族の男が下がり扉が閉じられると、途端に国王は大きく息を吐き、片肘をついて頭を預ける姿勢になった。
「ふー、ゼンニよ、あと何人だ?」
「陛下、騎士たちの前ですぞ」
「構わん、どうせこいつらは若いころからの側近だ、俺の行動や性格など知り尽くしておるわ」
「それでもです。公務の間は王としての威厳を保っていただかなければ、」
「相変わらず頭が固いな、だから嫁さんに何度も逃げられそうにな…、」
「誰か、王妃様を呼んで来い」
「おい! ゼンニ、それは卑怯だぞ! あれはお前以上に頭が固いのだぞ!?」
「人を岩か何かの様に言わないでくださいまし」
「うお! お前いつの間にそこに?」
国王が声のする方を見ると謁見の間の入口には茶褐色の長い髪に青い瞳の貴婦人が傍仕え達とともに立っていた。
「当主達とともに来た奥方たちとのお茶会が一段落しましたのでそのご報告と茶会で得た伝えるべきと判断した情報を持って来たところです」
「そ、そうか、して伝えるべき情報とはなんだ?」
「…その前に、なにかいう事があるんじゃありませんか?」
「へ? いう事?」
「ゼンニ殿ならこういう時なんというかわかりますわよねぇ?」
「へ? ワシ?」
「はぁー、どうしてこう男どもは、」
「王妃様、そのような言葉を使われては、」
「分かっています。…陛下、今夜はじっくり話し合いましょう」
王妃にぎろりと睨まれて、椅子に座りながら国王は後ずさろうとして微妙に体を動かしながらこくこくと頭だけは了承のために動かしていた。
「…では、お茶会で得た情報ですが、最近帝国と商人連合がそれぞれダンジョン産のものと思わしき品を扱う量が増えているそうです。またその中にはこの大陸では見たこともない調度品も多数あるとのこと」
「ふむ、ダンジョン由来の品が増えているのはこちらも把握しておるが、その位であれば騒ぐほどでもあるまい、強力な武器が多数見つかったという情報もないしな、」
「陛下、よくお考えください。なにも国力を強めるのは武力のみではありませんよ?」
「わかっておる。日々の生活の助けとなる魔導具や作るのが容易で飢えを満たす食料となる種など、国を強くするためのに必要なものがそれを形成する総合的なものであることなど今更言われずとも知っておる」
「ならば、今、帝国や商人連合に後れを取る事は看過すべきではありません」
「だが、具体的にどうする? モノにもよるが、王国内にある工房や職人たちを集めてもそうほいほい作れるものでもないのだぞ?」
「簡単です。ダンジョンのモノならダンジョンから取ってくれば良いのです」
「それこそ簡単に行くものか。先日のラリゴ将軍の件はお前も知っていよう?」
「えぇ、知っていますとも、ですがあれは少々指揮に問題があったと言わざる負えませんわ」
「……その話、外では絶対にするなよ、あれでもラリゴ将軍の派閥だった者たちはいまだ再起を伺っておるのだ、いつどんな発言が利用されるかわからん」
「それくらいは十分にわきまえておりますのでご安心を」
国王と王妃、二人の会話が途切れたのを見計らい、ゼンニは一歩前に出て膝まづいて口を開いた。
「陛下、恐れながら発言をご許可願います」
「よい、許そう。 なんだゼンニ?」
「は、確かに王妃様のいう事にも一理あります。そしてラリゴ将軍の件にしてもこのまま放置では国民に対して王国の威信を保つのが難しいかと、」
「…お前はどうしたいのだ?」
「はい、まずダンジョンの品に関しては希少度と数に執着せず、慎重に事を運べば手に入れるのはそう難しい事ではありません。準備を怠らず、万全の態勢で確実に攻略すればそこまで大きな被害なく、得られる物もありましょう。そしてラリゴ将軍の派閥に関してはラリゴ将軍が命を落としたダンジョンを攻略し、向こうにも多少の利益が行くように仕向ければ、しばらくは大人しくなるでしょう。その間に取り込める者は取り込み、抵抗しそうなものは力を削いでいけばよろしいかと、細かい詰めは文官たちに任せて良いでしょう」
「・・・ゼンニよ、お主自分が行きたいだけではあるまいな?」
「はて、何のことやら?」
「ふー、どの道、国内にある他のダンジョンは強力なモンスターが多く攻略するにしても今は動かせる手駒が足りんか、…ゼンニよやれるのか?」
「報告にあった以上の戦力が居るにしても竜の1、2匹までなら無事に戻れる自信はございます」
「そんな事態はこっちから願い下げだがな、」
そういうと国王は自国と他国、王族と貴族、国の今後の行く末について複雑な計算を頭の中でし始め、しばらくの間沈黙が続いた。
「よかろう、なにもせずにいて得るモノがないよりは行動することによって得るモノの方がはるかに良い、貴族達の事は私が説得しよう。ゼンニ、言って来い。城の者ならば誰を使おうと自由だ。ただ、城の守りはおろそかにするなよ?」
「心得ております」
そして翌日の貴族会議では襲撃の件の詳細と今後の国内の防備の見直し、そして帝国と商人連合の動きについて、個々に持っている情報の開示と対策に向けた方針が決まり、そして最後に国王自ら持ち出した議題として先に失敗したダンジョンの再攻略を行う事、そのために各領地からも小規模ではあるが兵が集められ、大将軍の指揮の元、攻略戦を行うことが半ば強制的に決定した。
「ふむ、下準備は上々じゃな、あとは兵たちがダンジョンに向かうまでに使えるものが集まるかどうかじゃな」
ゼンニは兵たちにダンジョン攻略戦に向けた準備の指示を出しながら、先に打っておいた手がうまくいくことを祈っていた。
ところ変わって大地のダンジョン。
「水が出たぞー!」
「やったー!」
何日もかけて試行錯誤しながらポンプの試作品を作り、ようやく掘り当てた水脈から今まさにくみ上げた水第一号が桶に注がれる様子を見て大地と水橋は手を取り合って喜んでいた。
「長かった、めっちゃ長かった」
「これでようやく水道作りに着手できるな」
「つーか、それはしばらく後回しにしようぜ。水道管作りもまだだし、」
「何言ってんだよ大地、俺たちには水洗トイレという壮大な目標があるだろう?」
「別にDPで紙は手に入るし、においを気にしなきゃそこまですぐにほしいもんでもない」
「かー、たく、じゃーいよ。俺だけで水洗トイレ満喫してやるよ」
「てか、お前作り方知ってるのか?」
「バカ、何のための掲示板だよ」
「あ、そっか、職人系の人とかも居たもんな」
「そゆこと、俺らと同じように転生してきてるやつらなら絶対だれかそっち方面充実させたがる奴が出るはずだ」
「どうだろうなぁ~?」
「む、まあ見てろって、お前が掲示板に似たような感じの質問したときは答えてくれた奴が居たんだ。きっとトイレに答えてくれる奴だっているさ」
「期待せずに待ってるよ」
「見てろよ~、ってあれ?」
「ん、どうした?」
「なんか妙なスレが立ってるな。大地、お前もちょっと参加しとけ、これは見といたほうが良いと思う」
「? 一体なんだ?」
水橋に促されるまま大地はコンソールを開き、掲示板を開くと一番上に赤文字で大きくタイトルが書かれたスレがあった。
【近隣のダンジョンマスターは注意!! リントル大陸の三ヵ国動向報告】
タイトルからしてなんだがやばそうな雰囲気がするな。けどまだこのあたりの地名に疎い俺としては何々大陸とか言われても全然わからん。
「水橋、リントル大陸ってどこ?」
「ここ、俺たちが立ってる大陸がリントル大陸」
「マジで? だとしたらやばくね?」
「だから見といたほうが良いって言ってんだよ。とりあえずスレ開いてみ」
「わかった」
スレを開く中には最初に長文で2年分の王国・帝国・商人連合と呼ばれる国や組織の動きとダンジョンとの関係、そして交戦歴が乗っていた。そして少し読み進めると各国の特徴みたいなものも書き込まれていた。
王国・・・・防戦主体、危険と判断したダンジョンの場合のみ攻略隊が結成され、大規模な討伐戦が行われる。他の二国と比べて比較的安全な部類ではあるが、冒険者は普通にダンジョン攻略に来るので立地によっては他よりも危険な場合がある。
帝国・・・・積極的にダンジョンを攻略し、戦利品を獲ようとする傾向にある。最近では魔導具によって魔力を手に入れようと画策している動きも確認されている。また、一部のダンジョンマスターが取り入ろうとして接触したという情報もある。掲示板での情報公開は今後慎重に!
商人連合・・他の二国と比べ、商人としての考えをもつ者が多く、金品さえあれば最悪ダンジョンが攻略されても命は助かる可能性が高い稀有な地域。だが、当然ながら冒険者にはその交渉手段は大抵通用しないので注意が必要。
ここ数日、王国では誰かが王都襲撃をやらかしたせいで王国全体がピリピリとした警戒態勢になっている。ヘタをするといくつかのダンジョンにもとばっちりが行く可能性大。今後、ダンジョンマスター同士が生き残るためにも情報共有は積極的に行っていくべきと考え、このスレを立てた。賛同してくれる者が居たら今後もリントル大陸の動向についてわかったことでスレ立てをお願いする。以上、スレ主のフェアリーマスターより。
「なんかいろいろとめんどくせー事になってるみたいだな」
「これだけまとめてるってことはスレ主はかなりの情報網があるみたいだな」
「なんにせよ、王都襲撃なんてどこのバカだろう?」
「誰だろうなぁ~、ぶほぉ!」
井戸から汲み出した水を飲みながら画面をながていると突然水橋はその水を噴き出した。
「きったねー! 水掛けんじゃねェよ!」
「わ、悪ぃ、ちょっとな、」
「なんなんだよ、ってこれ…」
大地はスレの下の書き込みを見ようとして画面をスクロールさせていくうちに気になる書き込みを見つけた。
42. クラーケンマスター
王都襲撃とかバカ杉www
魔王クラスでもいないとあんなとこ攻め込んでも被害でるだけだろwww
43. オークマスター
確かに、てか誰がやったのか見当つかないのか?
44. バードマンマスター
うちの子がその日王都付近で空の散歩してたら王都から水が噴き出して大量のスライムが出てくるのが見えたって言ってから、怪しいのって王都付近にあったダンジョンの【スライム魔窟】じゃないかな?
45. オークマスター
マジかよ、【スライム魔窟】ってそんなに戦力あるのか?
46. バードマンマスター
いや、少し前に攻略隊に侵攻食らってたはず、前に助けてメール来てた記憶がある。
47. クラーケンマスター
て、ことはその仕返しって事か、頭悪りぃーなー。スライム程度であの国落とせるわけないのに。
「こいつスライムをバカにして、イカ焼きにしてやろうか!」
「落ち着け水橋、そんなことよりこれって多分あれだよな? 井戸掘りの時話してた、」
「うーん、いや、違う。俺は知らない。まったく知らない。断じて知らない!」
「現実逃避すな」
「だって~、認めたら周囲のダンジョンマスター全部敵になりかねねーじゃねーか」
「確かに…、」
「それに俺をかくまってる時点でお前も同罪になるぞ」
「おい、俺を巻き込むな!」
「お前がそう言っても周囲は信じないだろーなー」
「ぐぬぬぬ、」
「よし、この件は絶対に秘密だ。俺が元スライム魔窟のマスターであることもオフレコな」
「バレたら俺はなんにも知らないで通すからな?」
「あぁ、それでいいよ。とりあえず当面自分の戦力が整うまで四面楚歌は避けたい」
「分かったよ。同じきな粉派のよしみだ。黙っててやる」
「さんきゅー、てっそう言われるときな粉もちが食いたくなってきちまったなぁ」
「もち米はまだ栽培に成功してないからどうしても食うならDPだな」
「今日くらいは良いんじゃね?」
「ま、井戸完成記念って事で餅パーティーするならいいか」
「よーし、餅パだ! 餅パ!」
これから待ち受ける困難をまだ知る由もなく大地達はのんびりと餅を食べるのであった。
タイトルで会議とか付けたけどまったく会議らしくできなかった。
次回は、
大地達の元にゼンニの魔の手が迫る?




