第027話「対大型生物戦5」
やっと書けた。最後の方は人によってはヘタレとか微妙とか思われてしまうかも?
追撃の指示を大地から出されたエステラはダンジョン内を高速飛行であっという間に抜け、外に出るのと同時に上空に飛び上がった。
「・・・見つけた」
上空から6体目のスノービッグヘアーをみつけたエステラは目標を目指して一直線に降下し始めた。
「これで終わり、!」
あとは魔力剣を振り切って相手を真っ二つにするだけと思っていたエステラはそこで予想外の状況に直面する。スノービッグヘアーに刀身が当たる寸前、見えない壁にぶつかったかのような衝撃とともにエステラの動きが止まってしまった。
「なかなかお強いですね」
「何者ですか?」
エステラの動きを止めたと思われる存在はローブとフードで顔が見えず、声もどこか人工的な声で地声とは思えない響きだった。
「ただのテイマーですよ。モンスターテイマー」
「テイマー? 人間ですか?」
「種族などどうでも良いでしょう、わたしはただモンスターを手なずけるのが得意というだけですから」
「ならそこの毛玉はあなたの差し金だと?」
「ええ、このあたりで強い個体のモンスターを狩ってくるよう命じていたのですが、どうやらずいぶんな大物が居たみたいですね。他の奴は全滅ですか、」
「この地はマスターのモノです。勝手に奪うなど私が許しません」
「ほう、このあたりをテリトリーにしておられる方がいたのですか、まあ私の知ったことではないですがね」
「そうですね、私もおまえのような存在など知ったことではないですし、お相子ですね。…では、死んでください」
エステラは会話を打ち切り、魔力剣で不可視の壁に連撃を加え始めた。
「おやおや、血の気が多いお人だ、悪いですが、今の状態では勝てそうにないので失礼いたします。いずれまた」
「待ちなさい!」
エステラの連撃で不可視の壁には徐々にヒビが入り始めていたが、完全に打ち破るにはエステラの計算でもあと少しばかり時間がかかりそうだった。そしてその間に一人と一匹は完全に姿をくらませてしまった。
「―――うああぁぁぁぁ! またしても、またしても私はマスターの命令を全うできなかった! こんな、こんな私に存在する価値があるの? 命令を忠実に守ってこそのクリエイトモンスターだと言うのに! あああああああ! なんのために進化までして、こんなの、どうご報告すれば、いや、報告どころか合わせる顔すら、」
エステラはしばらくの間やり場のない怒りと命令を達成できなかった自責の念から、その場で大いに暴れ、それによってその周囲の地形はかなり変わり果てていた。
「どうしよう、もうマスターに合わせる顔もないし、失敗の報告なんて持っていく事も出来ない。このまま遠くに、いや、マスターを裏切って逃げるわけにもいかない…」
暴れているときからずっと考えいたが結局良い考えが浮かばず、エステラは途方に暮れていた。
「うぅ、どうしたらいいの…」
「帰って一緒に祝勝会に出たらいいんじゃね?」
「!」
「よ、お疲れエステラ」
「マスター!?」
大地の姿を確認したエステラは翼を広げて一気に飛び去ろうとした。が、
「エステラ、ストップ!」
大地の命令をクリエイトモンスターであるエステラが無視できるはずもなく、簡単に動きを封じられてしまう。
「別に怒りゃしないから逃げるなって、どうせ[写し画の水晶]であの変な奴の姿は見てたし」
「あう、も、申し訳ありません。進化までしてあのような体たらく、罰はいかようにでも…」
「あのフード野郎なんて言ってた?」
「えっと、自分のことをテイマーだと名乗っていました。この地に強い個体を狩りに来たとも、」
「て、事は今回あのスノービッグヘアー達がまっすぐダンジョンに入ってきたのはこっちに強いモンスター達が居るのが分かったからなのかな? 探知する方法でもあるのかなぁ?」
「私もある程度の距離なら気配と大まかな強さは分かります。それに近い能力を持っているのかもしれません」
「そっか、ならあとは帰ってから考えるか」
「あの、マスター、今度という今度はきちんと罰してください。出ないと私は自分で自分が許せません」
「じゃ、とりあえず地面に降りてじっとしてろ」
「はい、どうぞお好きなように」
大地に言われるままにエステラは地面降り立ち、直立不動で微動だにしなかった。そこに大地はゆっくりと近づき、そのまま正面からエステラをぎゅっと抱きしめてこういった。
「無事に終わってよかった」っと
「マ、マスター? あのこれは一体…、」(//Д//)ハァハァ、
「動くな、今罰の締め付けしてるとこだから、おとなしく技食らっとけ」
「で、ですが、これでは」
「じゃ言い方変えるわ、さっきまでの戦いで大けが負って心配させたからしばらく俺が安心するまでなでさせろ! 文句は言わせねーぞ?」
「も、文句など言いません」
「ならこれからもずっと俺のそばで俺を守れ。勝手に責任感じていなくなったらそれこそ許さねーからな?」
「は、はい、分かりました」♡
あぁ、なんと夢のような、ん、これは…、
大地に抱きしめられ、夢心地だったエステラはある事に気が付いた。今回の戦いの恐怖からいまだに大地の足が少し震えている事に気づいたエステラは改めて思った。マスターが怯える必要などないくらいに強くならなければ、そして絶対に安心だと思っていただけるよう守っていかなければと決意を新たにした。
「少しクリエイトの基本設定極端すぎたかもしれませんね、絶対忠誠だとこうなっちゃうのか…、」
「まぁ、良いじゃない、誰も彼もが英雄的な才覚を持っているわけじゃないんだし、裏切られて自滅されるよりは数が多い方が魔力回収の効率もいいしね」
「でもあれじゃどう見てもヒモと貢ぐ人の共依存に見えるんですけど」
「なら、あんたがどうにかすれば?」
「えぇ~、私だってそんな経験少ないのに…、」
「ていうかあんたに経験なんてあったっけ?」
「…ケンカ売ってんですか?」
「あら~、事実を言っただけじゃない?」
荒地になった中心地で抱き合う二人を遠目に木の上から観察していたひよこ2羽はそのままバトルに突入し、木の根元えと落下していった。
「えー、では、今回の対スノービッグヘアー戦の勝利を祝しまして~」
「「「「「「「「かんぱーい!!!」」」」」」」
戦いが終わり、後始末も一段落したダンジョン内地下空洞では生き残ったモンスターすべてと俺達の祝勝会が執り行われていた。
「あはは、だ~いち~、飲んでる~?」
「アネイル、酒くせぇ」
「らぁ~によ、あたしが飲んじゃ悪いわけ~?」
「悪かないけど、うっとおしい」
「・・・・・・。ううぅやっぱりあたしっていらない娘なのねぇー! 授業の時もちょくちょくいなくなるし、授業以外でもそんなに会いに来てくれないしー!」
「へ? ちょ、それは違、」
「あ、アネイルちゃんが泣いてる!」
「ダンジョンマスターになにかひどい事されたんじゃないか!?」
「おい! ダンジョンマスター、ちょっとこっちこいや!」
や、やべえ、アネイルのそばにはこいつらがセットでいるという事を忘れてた。
「マスターにご用ならまず私に話を通していただけますか?」
と、今度はエステラが大地と親衛隊の間に割って入り、双方とも睨み合いとなる。かと思われたが、以前エステラにぼろ負けした連中だけあって、エステラが前に出るとすんなり引いてくれた。
「アネイル、俺が悪かった。頼むから泣き止んでくれ」
「ひっく、ひっく、私いらない娘じゃない?」
「ああ、むしろ必要だ。お前が魔法を教えてくれるからすごい助かってるよ」
「そ、そうよね。私すごいもんね。お姉ちゃんよりすごいもんね!」
ん、アネイルってお姉さんがいるのか? お姉さんも魔法使いなのかな?
「マスター…、」
「ん、エステラ? どうし…」
「マスタァァァァァ――――――――!!!」
「うぉ! エ、エステラ、首、首が、くるし、し、締まって……」ガクッ・・・・・・。
「あ、申し訳ありません! 【ハイヒール】」
「ぶはっ! し、死ぬかと思った…、一体どうしたんだエステラ?」
「えへへ~マスタ~、一緒に寝ましょうよ~大人な意味で!」
「・・・エステラ、もしかしてお前酔ってるな?」
「は~い~、D様とたっくさんお酒飲んじゃいました~」
Dちゃんとか、たしかにあの体でどこに入ってるんだろうってくらい飲むからなぁ~、あのペースに合わせてたら、多少耐性があってもこうなっちゃうだろうな。というかさっきよくシラフを装えたな。そっちに関心するわ。
「もう、さっきの愛の抱擁で我慢の限界なんです! 今すぐいきましょうー!」
まるで小物でも持つようにひょいと持ち上げられ、空中で一回転して逆お姫様抱っこの態勢になった俺はそのままエステラにお持ち帰りされそうになる。
「わー、ストップエステラ! まだ宴会の途中だから、ね? いい子だから戻りなさい!」
「ブー、マスターのいけず!」
「そ、そういうのはまた後でな」
「後でならいいんですね?」
エステラの顔がずいっと近づき、抱き上げられている俺は逃げ場がない。
「とりあえず、宴会場にもどっ」
「答えてください、マスタァ~、」
「……みんなが寝静まったらな」
「よっしぃ!言質取ったぁぁ!」
あぁ、転生して初めての相手が自分の作ったモンスターとか、どんな初体験だよ。まぁエステラの事は嫌ではないから問題はないのだが、はぁ~、娘みたいに思ってたんだけどな。
その日の宴会は深夜まで続き、モンスター達が寝静まったあともある部屋では別の意味で盛り上がる声が上がり、その部屋の入口付近には聞き耳を立てる数名と2羽の影が明け方ちかくまであった。
次回は、
またちょっと日常+次の話に繋がる展開になるつもりです。




