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ダンジョン経営勉強中。  作者: イマノキ・スギロウ
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第001話「チュートリアル」

次回予告の位置を変更しました。

  みんなは異世界に行けたら何がしたいだろうか?

 勇者になって冒険したり魔王討伐か?

 それともモンスターに生まれ変わって成り上がりストーリーか?

 または魔王とかそれに類する力の持ち主になって俺TEEEEEEか?


  ひとそれぞれやりたい事はあるだろう。

 ちなみに俺こと、(かなめ) 大地(だいち)(22)がなんでそんなことを

 今聞いたかというと、

 

  話は一時間ほど前にさかのぼる。














  コンビニに行こうとして信号無視したトラックにはねられた。

 以上。














  それだけかい! って思ったそこの方、冗談ですよ。

 まだあとちょっと続きがあります。

 

  はねられたあと、なんか死んだという認識だけはできていた俺の前に

 たっぷりの白髭を蓄えたいかにも神様って感じの奴が出てきて、

 こう言ってきたんだよ。


 「お主、実はまだ死ぬ運命ではなかったんじゃが、身体がぐちゃぐちゃだから

 蘇生させてやれそうにない」ってね。


 なんとかならないか聞いたけど、


 「できなくはないが、ミンチよりひでぇやって状態から身体が元に戻ったら

 まわりから気味悪がられたり、実験動物にされるかもしれんぞ?」 


 と返されてたしかにその通りだと納得してしまった。


 「だから代わりに最近人気の異世界転生でもお勧めしようかと思ったんじゃが、

 どうしてもそのまま蘇生の方が良いかな?」


  新聞の勧誘みたいに気軽なノリで異世界転生を勧められるとは

 さすがに想像してなかったがこの際だ、身体が完全にダメになってるなら

 すっぱりと割り切って新しい人生を生きよう。

 そう思って俺は答えた。


 「じゃあ、異世界転生でお願いします」


 「そうか、それじゃあコースを選んでくれ」


  ん? コース?


 「Aコースはスタンダードな異世界転生じゃ。何をしても自由。

  村人として過ごすのも頑張って勇者や英雄を目指すのも自由なコースじゃ」


 ふむふむ。これはよくある転生パターンだな。


 「次にBコース、これは人間種以外の種族にランダムに転生して

 まったく新しい生き方を選びたい人用のコースじゃ。当然強くなればそれだけ

 種族としての格も上がるし、人間の間でよく言われている魔王なんてのも

 このコースからなる人がおるのぉ」


  ほぉ、ランダムってのが少々厳しいとこだけど、成り上がり系の人生、いや

 モンスター生も悪くないな。(ただし雑魚モンスター以外に限る)


 「最後はCコース、このコースは他の二つより特典が多い。転生してから

 いろいろなサポートをワシやワシの眷属がしてくれるのじゃ」


  特典?

 

 「なんに対しての特典なんだ?」


 「あぁそれはの、転生先の世界で多くの魔力を収集して世界形成のための

 費用を捻出するためじゃ。」


 「ひ、費用の捻出?」


 「そうなんじゃ、ワシら神々はそれぞれの世界で魂が溢れそうになったら

 共同で新しい世界を作ってそこに溢れた分の魂を入れて世界のバランスを

 保つのじゃが、そのために必要な魔力を捻出しようと

 呼びかけたら、みんな出し渋っての、

 各世界を統治している神々に支払うように出向いたら

 『うちの魔力がほしければうちの世界のルールに則って取っていけ』

 と言われてしまったのじゃ、とはいえ、神やその眷属がよその世界で

 勝手に動くのはいろいろと制約があって難しくてのぉ、

 だから転生者の中から魔力の取り立てを手伝ってくれる者を

 探そうとしてこのCコースを作ったのじゃ」



 「要約すると家が手狭になったから新しい家作って何人かそこに入れたいのに

 家立てる資金がないってことか?」



 「ほぼ正解じゃな。ついでに言えば異世界転生も相手の世界に魂を送り込むので

 ワシの世界から魂が溢れるのを遅らせるのに役立つのじゃ」


 なんというか、みょーに世知辛い神様事情を聞いてしまった気がする。



 「それでじゃ、Cコースではお主達人間の間で言うえーっと…、そう!ダンジョンを

 経営することになるの」


 !?


 「ちょ、い、今のセリフ、もっかい言ってくれ!」


 「なんじゃ? 耳が遠いのか? ダンジョン経営をすることになるの」


 



  ・・・・・・・・・・、

 

  普通に考えて、Aコースは異世界転生ものの物語によくある

 本人が転生するにあたって手に入れたチート能力を駆使して

 活躍するのが定番だ。 

 しかし、それだと実際力が手に入らなかった時、その人生は必ずしも

 開けるものになるとは限らない。


  また、異種族に転生するBコースも根本的にその部分は同じだ。

 いや、厳密には人間にはない力が確実に得られるだろうが、

 それだって活用出来なければないのと同じだしな。 

 

  それと比べるとダンジョン経営は数少ない作品群の中でも最初から

 確実なチート能力、支配能力、迷宮建築能力、

 と生活に役立つ保障がついている優良物件といえる。

 迷宮だから物件って意味じゃないよ? 念のため。


 「で、お主はどのコースに…、」


 「Cコースでお願いしまっす!」


 「おぉ、やってくれるか、では、詳しいことはワシの眷属が説明する

  手筈になっているのでよろしくの」


 「はい!」


 「では頼むの、成果を上げてくれれば次の転生も多少選択肢を

 用意してやるからの。」


 「その時はよろしくお願いしま~す」


 「では、頑張るのじゃぁ~~~~~~」 


 神様の叫びとともに異世界に送られた俺は薄暗い洞窟の中で目を覚ました。



















  さて、そうして現在に至るのだが、眷属さんの姿、見えないな。

 つーか、何にも見えねぇ。薄暗いじゃなくてほぼ闇だよこれ。

 

  唯一大地のまわりで光を放つコケのようなものがなければ

 大地はいま自分がいるのが洞窟かどうかもわからなかっただろう。


 「…………さ…、………」


 「ん、なんか聞こえる?」





 「…だ……さん、………」

 

  ださん? 出さん? ここから出られないって事?

 



 「…だいちさん、聞こえてますか?」


  おぉう、俺の名前を呼んでたのか。


 「誰だ? 神様の眷属か?」


 「ああ、ようやく通じる波長がわかった。ハイ、そうです。

  自分は眷属のピーポ・プライアス・ポポ・マリネです。

  これからあなたの担当となりますのでどうぞよろしくお願いします」


 「長い名前だな」


 「ですのでPちゃんとでも呼んでください」

 

  一気にかわいらしくなっちゃったよ。


 「わかった。それよりあんたの姿が見えないけど、この暗闇の中にいるのか?」


 「えぇ、大地さんのそばにいるんですが、こう暗いと大地さんのお姿が

  見えなくて」


 「なるほど、ところで詳しい説明は眷属の人から聞けるって神様に聞いたけど…、」


 「あぁ、それでしたらまずは重要なのは『DP』ダンジョンポイントです」


 「ダンジョンポイント?」


 「ハイ、ダンジョンの増設やトラップ・モンスターの設置、そのほか色々な面で

 DPは必須になります」

 

 「そのポイントってどこにあるんだ? スタンプカードでも溜めるの?」


 「大地さん、ウィンドウオープンって頭の中で念じてください」


  ウィンドオープン、


  お、なんか目の前に半透明なコンソールが出てきた。

 なになに、メインメニュー、その下にDPが表示されてる。今は…、3000DPか、 


 「ゲームっぽいな」


 「えぇ、私たち眷属もどんな仕様にしたらあちらの世界から来るあなた達が

 魔力を集めやすいかを検討し、いろいろな案の中から

 ダンジョン運営が一番効率が良いだろうという話になり、

 さらにあちらの世界で人間に普及しているゲームに似た感じなら

 より集めやすいんじゃないかという意見を採用した結果、

 こういう仕様になったのです。」


 「なるほどな~」


 「次はダンジョンコアです。ダンジョン内の動力源であり、

 魔力を集めるのにも使われています」


 「ほぉー、ほんとにダンジョン育成ゲームみたいな仕様なんだな」


 「そうですね。あと、このダンジョンコアは大地さんの新しい心臓も兼ねてるので

 破壊されたらそのままお陀仏です。お気をつけて」


  なんですと!?


 「どういうことだよ!?」


 「いや、私たちからこの世界にできる干渉にも限界があるので、

 こちらの世界にいる強力な存在に対処できるだけの

 力をもたせる為の仕様です」


 あとで問い詰める必要があるなこりゃ、


 「あと、必要な物資は大地さんがほしいと思った物でもっとも希望に合う物がコンソールの購入リストにアップされます。ただし、あまり無茶な物、たとえば、世界を作る魔力を一瞬で集める道具~なんてのはリストには出ませんのでそのおつもりで、まぁ、よっぽどの物でない限り相応のDPと引き換えで購入可能になるのでご安心を」



  なんだかな~、

 コーヒーでも飲んで気持ちを落ち着けたいとこだけど…、なんか飲み物あるかな?

 そう思ってコンソールの購入リストのアイコンをタッチすると

 あったよ、コーヒー。しかもエスプレッソやアメリカン、各種ブレンドに

 某メーカーの缶コーヒーまで、律儀にホット・アイスのアイコンも完備していた。


  とりあえず10DPの首領の虹色コーヒーにしとこう。

 そういえば、そもそも俺これ買いにコンビニ行こうとしてはねられたんだった。

 自分の死の原因となったコーヒーの味は

 いつもとかわらない虹色味だった。

 

 


 

 

  次回予告


  さあ、はじまりました、ダンジョン運営。

 ダンジョンマスター大地とPちゃんの試行錯誤が今スタートする!


  次回 ファーストミッション   お暇なときにでもお読みください。

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