第002話「ファーストミッション」
続きを考えるのって思っていたより時間がかかりますね。
「大地さん、ではダンジョンの増設をやってみましょう」
「やってみましょうって、まず何をするんだ?」
「では、とりあえずこの暗い洞窟をもう少し明るくしましょう」
「どうやって?」
「コンソールの購入リストの上にダンジョンという項目がありますから
それを押してください」
あ、ほんとだ。
ファイルの付箋分けみたいな形でダンジョン・食料・雑貨・その他って分けてある。
「このヒカリゴケってのでいいのか?」
「えぇ、とりあえずはそれを設置して明かりを確保しましょう」
十平方メートル設置で1DPか、とりあえず等間隔で十か所ほど設置しよう。
コンソールを操作して設置画面が出るとこの洞窟の全体像が移った。
どうやら少し曲がりくねっているだけで全体は一本道の様だ。ちょうど
洞窟の終点に俺と思われる光点が表示されている。
ヒカリゴケの設置によって多少明るくなった洞窟内は
ごつごつとした岩と土だけで他には何もない。
Pちゃんどこだ?
「大地さん、こっち、こっちです」
声のする方を見ると………、ひよこ?
黄色でもふもふしてそうな羽毛のちっこい鳥がパタパタと飛んでいた。
「え、君がPちゃんなのか?」
「そうですよ、ようやく大地さんの顔が見えました。
スキルの【千里眼】使っても真っ暗じゃさすがに見えないですからね」
どうみてもひよこじゃん、というかスキルもあるのか…、
転生ものによくある特技・能力ありの異世界みたいだな。
ならレベルもあったりして…、
「まぁ、スキルについてはまたあとで、では次のステップです」
「ダンジョンの形を変えたりすんのか?」
「あー、さきに言わないで下さいよ。一応この説明も私たちにとっては
仕事なんですから、きちんと仕事しないと査定に響くんですよ~。
今給料減ったら私困っちゃうんです」
神に仕えてるのに給料制なのかよ。
てか給料何に使うんだよと突っ込みたかったが
またPちゃんに愚痴られそうなので大地は黙っていることにした。
「とにかく、いつ攻め込まれて大丈夫なようにダンジョンを攻めにくい形に
変えてみましょう」
Pちゃんにそう言われ、さっきのダンジョン操作の画面からさっそく
俺はダンジョンの形を組み換え始めた。
感覚としては通路や部屋毎のブロックをパズルみたいに設置して
好きな形にできる様だ。
現状の通路だけでは形を変えるにも限界があるので通路一メートル
10DPを100m分、1000DPで購入し、即席の迷路もどきにしておく。
あとはトラップかな?
「Pちゃん。罠ってある?」
「購入リストに表示されているハズです。一部条件を満たさないと
使用できない罠もありますのでご注意を」
リストを開くと落とし穴とつり天井、あと大岩が転がってくるトラップがあった。
「んじゃ基本ってことで落とし穴を六つ程セットするか」
トラップを入口含め六つ全部設置し終わるとPちゃんが
次にやることを教えてくれた。
「あとは…、大地さん、ダンジョンコアは設置と内蔵、どっちが良いですか?」
「設置はともかく内蔵って?」
「簡単に言えばダンジョンに置いとくか大地さんと融合したままにするかを
選べるって事です」
「それぞれの利点ってあるの?」
「設置はその場所に置いておくことでたとえ大地さんが殺されても
コアさえ無事なら復活が可能です。コアの周りをガチガチに固めれば
そうそう破壊もされないでしょう」
復活についてはまぁ、当然そうだろうな。
じゃないと自分の心臓ともいえるものを外に設置するメリットがない。
「内蔵はコアが大地さんの中にあるので基本的には普通の人間の状態と
大差有りません。殺されれば普通に死にますし、コアが体にあるので
ダンジョンからそう遠くまで離れることも出来なくなります」
おいおい、内蔵だとデメリットの方が多いんじゃ、ん、でも待てよ?
「Pちゃん、内蔵だとコアの力かなんかが使えたりするのか?」
「お、大地さん良いところに気がつきましたね。そうです。
大地さんはもともとコアと繋がっているので当然その魔力を使えますが、
設置だと離れている分、ロスが発生するのです。しかし、内蔵なら
そのロスもなく、軽く見ても2倍から2.5倍ほどのパワーアップが
可能になるのです」
で、代わりに復活機能がなくなると。
「ここまでで何かわからない事はないですか?」
「ん、大丈夫。一つ聞きたいんだけど、一度決めると
設置から内蔵に変更とかその逆とかってできない?」
「いえ、DPを消費することになりますが、いつでも変更は可能ですよ。
ついでに言うと設置の状態で場所を変えるのにはDPは必要ありません」
「そうか、じゃとりあえず設置で」
「了解しました。ではコンソールのメインメニューからマスター設定を選び、
コアのアイコンを設置にして決定を押してください」
「はいよ」
Pちゃんに言われるままコンソールからマスター設定を開き、設定を完了した。
設定を完了し、コアを設置して一息ついた俺はおにぎりを食っていた。
どっから出したかって?
当然購入リストからだ。コーヒーがあるなら何か食い物もあるだろうと
リストを開いておにぎりを頭に思い浮かべたところ、
出てくる出てくる。
定番のしゃけや梅干し、昆布におかかにツナマヨ、さらに天むすなんて
きっちり揚げたてです。なんてコメントが載ってやがった。
おにぎり一つ10DPで三個食ったから合計30DP
落とし穴が50DP六つで計300DP
さらにさっきの缶コーヒー10DPにヒカリゴケが合計で10DP、
最後に通路分1000DPだから
全部で1350DPか、残りは1650DPだな。
食事が終わったのと同時に頭の上でくつろいでいた
Pちゃんが話しかけてきた。
「大地さん。ファーストミッション達成です」
「へ? ファーストミッションってなんだ。」
「ゲームでいう最初のボーナスがもらえるあれですよ」
ああ、そういう事か、ネトゲやソシャゲでよくある次の行動用の
活動資金とかアイテムが手に入るあれか。
「なにかもらえるのか?」
「当然です。ファーストミッション終了ボーナスは5000DPです」
「けっこうもらえるな」
「これを使ってダンジョンをより堅固にしてたくさん魔力を集めて下さい」
「あ、そういえばDPや魔力ってどうやって集めるんだ?」
「DPはコアの影響圏に入った侵入者や地脈から吸い上げた魔力を数字に換算して
それがそのまま大地さんの物になります。
こちらが徴収する魔力はコアの機能で自動的に割り振られるので大地さんが何か
する事はありません。言ってしまえば分母が大きければそれだけこちらの
取り分も増えるのでたくさんDPを集めて下さい」
「ということはたくさんの侵入者を入れると魔力が多く集まるのか」
「侵入者の保有魔力によっても大分違いますけどね。ちなみに侵入者、
特にこの世界の人間はこっちの神からダンジョンの主は神に仇名す
悪魔や邪神信者だと信じ込まされているのでガチで殺しにきますね」
うわーその情報できればききたくなかったぁーでも聞いといて良かったー。
つーかそこまでして魔力渡したくないのかここの神は。
「そういや地脈って今は吸い上げてるのか?」
「マスター設定で現在の魔力産出量が確認できるのでそちらを見てください」
どれどれ、
現在の魔力産出量 地脈分 1時間/0.01DP
「少な!」
「始めはこんなもんですよ」
「どうやれば増えるんだ?」
「地脈の場合は部屋の数を増やしたり階層を増やしたりですね。
ダンジョンのサイズ=ゲットできる魔力量に繋がります」
よし、とりあえず 1時間/1~3DPくらいにはしたい。
食費くらいは稼げるようにしないとな。
それから洞窟内に合計四つの部屋を増設したら漸く1時間/1DPになった。
ちなみに10畳間くらいの部屋一つで100DPがかかり、4つ合計で400DPになった。やろうと思えばまだ設置はできたが、今後の事を考えて今回はひとまず増設はここまでにした。
お次は周辺の状況確認だな。
ダンジョンを強化するのもそうだが、周りの状況を把握しないと
命に係わる場合もあるだろうし。
でも外に出るのも少し怖いな。よし。
「Pちゃんの千里眼ってどこでも見れるのか?」
「見れますよ~、スキル【千里眼】は伊達じゃないですよ~」
「んじゃあ、この洞窟の周りってどうなってるの?」
「この周辺ですと、洞窟は山のふもとにあって、そばにはおおきな湖があります。
あとは周りに森が広がっていて一番近い人里でも10キロ以上離れてますね」
そうか、ならすぐには侵入者が来ることはないな。
とにかく向こうがガチで殺しにくるならこっちも覚悟を決めて
ダンジョンを強化していく方法をいろいろと考えないとな。
てそうだ、強化ならまっさきにやらないといけない事があった。
俺はコンソールを開いて目的のものを探す。
お、あった。モンスター購入、これがないとダンジョン運営は始まらない。
て、なんか項目がいっぱいある。
購入にガチャにクリエイト、あとの項目はブロックがかかってて読めないな。
てことはまずはこの三つか、どれが良いんだ?
「Pちゃん、どれが良いと思う?」
「そうですねぇ、購入は相応のDPがあれば必要なモンスターが確実に、
ガチャはギャンブルですが、当たれば強いモンスターも手に入ります。
クリエイトは完全に自分で作れるのでもっとも大地さんがもとめる要素を
満たせますが、消費するDPは他二つと圧倒的な差があります。」
それぞれメリット・デメリットは当然あるか。
「クリエイトってDPはどのくらいかかるんだ?」
「基本作成に1000DP、さらに能力を付け足していくのにも相応のDPが
かかりますね、ちなみに購入なんかで
一番安いゴブリンやスライムは10DPです」
たっか!
たった一体で並みのモンスター100体分のDPかよ。
「ただ、その分能力は強力です。よそのダンジョンだと
延々一体のクリエイトモンスターを強化したおかげでそのダンジョンのある
大陸ではそのモンスターが大魔王なんて呼ばれてますし」
「へー、DPさえあればいくらでも強くできるのか」
「では、大地さん、どうしますか?」
「クリエイトやってみるわ」
「え? いいんですか? 最初から1000DPも使っちゃうときついかも
しれませんよ」
「とりあえずクリエイトがどんくらいのもんなのか知っときたいしな、」
「分かりました。では初めてなので手順を説明しながら作ってみましょう」
「おう、頼むわ」
それから俺はクリエイトを起動させ、Pちゃんと一緒に
丸一日かけて納得がいくまでモンスター作成を続ける事となった。
次回予告
ついに登場する新キャラクター、
クリエイトに理想を追い求めるダンジョンマスター大地!
次回 初めまして、ますたー お暇なときにお読みください。




