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Synthetic School  作者: 南雲 楼
三章 魔法、浸透
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5

 久炉が気になったのは冒頭の監視カメラ、という言葉だった。自分たちは監視されているのだろうか。それがあり得ないことではないと思わせるほどにこの学校は閉鎖的だ。


 携帯は学校から貸し出されたメールと電話、その他メモやスケジュール帳くらいしか昨日のない旧型のもの。

 パソコンは専用の回線につなぐことができるが、インターネットの閲覧はできても書き込みやファイルのアップロードはできない。情報を外に出さないことが徹底されている。



「ああ、監視カメラは玄関と裏口だけよ。男子生徒が入ってこないように監視しているの。一、二階の窓は全部格子付きだし、そこの二か所だけ監視しておけば入ってこれないでしょ?」


 坂下は取り繕うように言う。そして、カメラのことは他の生徒には言わないように、と念を押された。生徒が日常生活の場に疑念を抱き、ストレスを与えないようにとの配慮だろう。

 久炉も他の生徒に吹聴しようとは思わなかった。

 そもそもこの学校で監視されてない可能性の方が低い。出入り口となりかねない二か所だけ、ということのほうが意外なくらいだ。


「まあ、カメラはいいとして、広瀬さんがコンビニで食べ物買い込んで、それで部屋に引きこもってる可能性があるってことですか」


「そうなの。それでさすがにもう食べ物もないと思うし、声をかけても返事もないから心配になって……。ドアも開かないしね」


 姿が確認されているということは、魔法を試して、怪我をしたり万が一のことが起きたりしたということはないのか。

 そう考え着くも、すぐにそれを撤回する。まだその時は魔法を使っていなかっただけかもしれない。考えれば考えるほど、彼女が何をしているかも、無事なのかもわからない。


「たしかに、心配っすね」


「だから生徒会の人に様子を見てきてもらえないかなって。もしかしたら何か大人には言えない事情があるのかもしれないし。無事だったら部屋から出てくれるように説得してほしいの。このまま学校に行かなかったら大変なことになるし……」


 確かに、と坂下の言葉に頷く。知らない生徒のところに一人で行くのは少し辛い物があるし、他の生徒会のメンバーを連れて行くか。

 広瀬梳玖の部屋の合鍵を受け取る。ついているタグで部屋番号を確認すると七〇五号室と、久炉と花火の隣の部屋だった。


 そういえば、と食事の時の席順を思い出す。部屋番号ごとに割り振られた場所でとるのだが、他のテーブルと比べて人が少なかった。何らかの事情で後で食べるのかと思っていたが、元から食堂に来ていなかったようだ。


「とりあえず、今から行ってきます」


「助かるわ。何かあったらすぐに管理人室に連絡してね」


 坂下はそういうと、一息つき、踵を返して去って行った。他の仕事があるのだろう。携帯で時間を確認する。もうすぐ浴場が解放される時間になる。衣琉と名月を連れて行くなら急がないと。早足で冷たい廊下を進んだ。



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