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Synthetic School  作者: 南雲 楼
二章 生徒会、募集
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8 会計

 昼食後、久炉は教室で生徒会の登録用紙を眺めていた。会長職の自分の名前以外に、書記の欄が埋まっている。


 衣琉と共に昼食をとりながら相談した結果、彼女の役職は書記に決まった。副会長と会計以外ならば何でも構わないとのことだったため、庶務より優先度の高い書記職を頼むことにした。


 ちなみに、朝、衣琉がいきなり姿を消したのは彼女の魔法だった。

 魔法を発動しながら記した術式……という名の“名前”の文字列を出入り口として、亜空間に侵入し、高速で移動を行う、という日常生活ではある程度便利だが、戦闘能力は皆無の魔法らしい。

 魔法の名前は【綺羅星(きらぼし)】というようだ。


 昨日、校内に侵入して教室に術式を書いたペンを仕込んでおき、遅刻に対応したらしい。準備のいいことだ。これなら彼女が遅刻することは寝坊でもしない限りないだろう。


 そういった生活にも使える魔法が少し羨ましくも感じた。【炎天】を日常で使ったら火事が起きる。



 登録用紙を折り畳み、ファイルにしまう。いきなり役員が一人決まった。どうなることかと思っていたが、予想外に好調だ。

 まずは副会長と会計を早急に、それから少し余裕をもって庶務を探す。脳内で今後のプランが組み立てていく。


「しし失礼します!」


 教室の出入り口で無駄に大きな声が響く。休憩時間特有の賑やかだった教室は静まり返る。

 ちらりと視線を向けると、黒縁のメガネをかけた背の高めの男子生徒がいた。他の教室に入るときに大声で挨拶をしなくてもいいだろう。中学と違って教室に教員は滅多にいない。彼から視線を外す。


 しかし、足音は確実に自分に迫っていて、机の隣で止まる。視線をずらすと先ほどの男子生徒がいた。おい、マジかよ、用事あるの俺かよ。マスクの下で苦笑いが漏れた。



「あの! 生徒会の! 相崎さんですか!」


 教室にいる生徒たちの視線が自分と男子生徒に集まる。一言一言がとにかく大きい。少し耳が痛い。せめて十歩下がって話してほしい。


「あ、あー、そうだけど? とりあえず十歩ほど……」


「生徒会のチラシを見てきました! 僕も生徒会に入りたいです! 生徒会で学校のために働きたいです! 【霹靂(へきれき)】という雷の魔法が使えます! 一応戦えます! だから生徒会に入れてください!」


 久炉の言葉は最早叫び声と呼んだ方が相応しい大声に遮られた。だが、言葉の内容は、願ってもないものだ。



「マジで!? 生徒会入ってくれんの?」


「マジです! やりたいです! お願いします!」


「あー、入ってくれるのは嬉しいんだけどさ、もう少し声のボリューム落とせないか?」


 男子生徒は我に返ったような表情になり、目を泳がせる。


「す、すみませんでした! 僕! 話そうとするとつい声が大きくなっちゃうんです! 不快にさせていたらすみません!」


「だからボリューム落とせって言ってんだろうがよ! 耳痛いんだよさっきから!」


 謝罪するも声の音量は変わらない。声が大きすぎたからか隣のクラスからも野次馬が集まっていて、視線が痛い。顔を赤くしている男子生徒の目には少し涙が浮かんでいた。


 言い過ぎたか。ゆっくり話そうにも人の眼が刺さる。久炉は軽く息を吐くと登録用紙の入ったファイルと筆記用具を持つと男子生徒を連れて教室を出た。



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