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影姫の暴走奇譚  作者: 綴何
本編
44/71

第四十三章


「マリアンジェラぁー!」

「義兄様・・、でなくてお姉さま?」

 フリッフリのかわいいドレスを着たミケーレに抱きしめられる、後ろでケリーのなんともいえない表情があった。

「仕方あるまい、ミケーレ様は次期王候補・・軽々と城を出られないのに・・お前のところに行きたいというから、カモフラージュをしたのだ・・。別に、断じて!女の私よりも女らしいからと落ち込んでいないぞ!!!」

「落ち込んでたんだ」

 なんて分かりやすい・・。

「会いたかったよマリアンジェラ・・酷いことはされなかったかい?」

「えぇ、平気・・思っていた以上にいい人たちばかりで・・あ」

 ポロ・・涙が出た。

「あ、ああ、マリ・・どこか怪我でもしたの?!」

「してなっ・・っ」

 涙がこぼれる。嬉しいのか悲しいのか懐かしいのか寂しいのか分からない・・複雑な心が泣いている。ココの人も好きだけれど、向こうの人々のことも確かに好きだった。

 どちらも好きなのに、戦争でどちらかが傷つかなければならない・・どうしてだろう

「お嬢様はお戻りになられたばかりです。休まれては如何ですか」

 シーヴァーに手を引かれ頷く。

「ごめんね、せっかく来てくれたのに」

「いいよ、また来るから」

「これません」

「・・・・また」

 部屋に下がっていく。

 懐かしい部屋、ちっとも変わっていなかった。

「マリアンジェラ」

 シーヴァーが優しく抱きしめる。

「あのね・・私、シーヴァーが好き・・ダイスキ」

「私もです」

 口付けをされそうになり手で押さえる。

「でも、向こうの人たちのことも好きなの」

「・・それはウィルシア・シーアのことですか」

「ウィルも好きだけど、向こうに居るステラもダイスキだし、・・シーア家も好きなの」

「此方の方々よりもですか」

「ドッチも同じぐらい好きなの」

 涙が止まらない。区切ることのできない想い

「―――っ」

 シーヴァーは抱きしめると唇を繋ぎ、床に倒した。

「私は浅ましい男です・・貴方の口からそんなこと聞きたくない。貴方の中が私で満たされていなければ満足できない」

「シーヴァー・・ぁっ」

「できれば貴方と繋がりたい、だけどそんなことをすれば理性を失い、貴方を食い殺してしまう。私は生粋のドラゴンだから」

 シーヴァーの傷ついたお面が外され紅い瞳がマリアンジェラを映した。

「私が恐ろしいですか?」

 マリアンジェラは首を振った。そして自分からシーヴァーにキスをした。好きなのに、こんなにも好きなのに・・ハッキリしない。雲を掴むようなこの気持・・。何故か不安で堪らない。

「死んでもいいから、抱いて」

 貴方が好きだから・・不安

「好きなの・・シーヴァーが好き」

 不安だから、死んでもいいから、抱いて欲しい。むしろ、貴方の腕の中デ死ねるなら、本望

「マリアンジェラ」

 抱擁が一層強くなった。

 どちらも好きだから、靡かせないで欲しい・・これは私の我侭・・。

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