第四十三章
「マリアンジェラぁー!」
「義兄様・・、でなくてお姉さま?」
フリッフリのかわいいドレスを着たミケーレに抱きしめられる、後ろでケリーのなんともいえない表情があった。
「仕方あるまい、ミケーレ様は次期王候補・・軽々と城を出られないのに・・お前のところに行きたいというから、カモフラージュをしたのだ・・。別に、断じて!女の私よりも女らしいからと落ち込んでいないぞ!!!」
「落ち込んでたんだ」
なんて分かりやすい・・。
「会いたかったよマリアンジェラ・・酷いことはされなかったかい?」
「えぇ、平気・・思っていた以上にいい人たちばかりで・・あ」
ポロ・・涙が出た。
「あ、ああ、マリ・・どこか怪我でもしたの?!」
「してなっ・・っ」
涙がこぼれる。嬉しいのか悲しいのか懐かしいのか寂しいのか分からない・・複雑な心が泣いている。ココの人も好きだけれど、向こうの人々のことも確かに好きだった。
どちらも好きなのに、戦争でどちらかが傷つかなければならない・・どうしてだろう
「お嬢様はお戻りになられたばかりです。休まれては如何ですか」
シーヴァーに手を引かれ頷く。
「ごめんね、せっかく来てくれたのに」
「いいよ、また来るから」
「これません」
「・・・・また」
部屋に下がっていく。
懐かしい部屋、ちっとも変わっていなかった。
「マリアンジェラ」
シーヴァーが優しく抱きしめる。
「あのね・・私、シーヴァーが好き・・ダイスキ」
「私もです」
口付けをされそうになり手で押さえる。
「でも、向こうの人たちのことも好きなの」
「・・それはウィルシア・シーアのことですか」
「ウィルも好きだけど、向こうに居るステラもダイスキだし、・・シーア家も好きなの」
「此方の方々よりもですか」
「ドッチも同じぐらい好きなの」
涙が止まらない。区切ることのできない想い
「―――っ」
シーヴァーは抱きしめると唇を繋ぎ、床に倒した。
「私は浅ましい男です・・貴方の口からそんなこと聞きたくない。貴方の中が私で満たされていなければ満足できない」
「シーヴァー・・ぁっ」
「できれば貴方と繋がりたい、だけどそんなことをすれば理性を失い、貴方を食い殺してしまう。私は生粋のドラゴンだから」
シーヴァーの傷ついたお面が外され紅い瞳がマリアンジェラを映した。
「私が恐ろしいですか?」
マリアンジェラは首を振った。そして自分からシーヴァーにキスをした。好きなのに、こんなにも好きなのに・・ハッキリしない。雲を掴むようなこの気持・・。何故か不安で堪らない。
「死んでもいいから、抱いて」
貴方が好きだから・・不安
「好きなの・・シーヴァーが好き」
不安だから、死んでもいいから、抱いて欲しい。むしろ、貴方の腕の中デ死ねるなら、本望
「マリアンジェラ」
抱擁が一層強くなった。
どちらも好きだから、靡かせないで欲しい・・これは私の我侭・・。