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結局俺は不信のまんま  作者: ◾️
第一章 黒髪黒瞳の憂鬱
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第十三話 奴隷決闘大会 二回戦

俺が一回戦でブロを下したあと、次の試合では第二貴族のダムと第9貴族のニックの試合が始まった。別に大した試合ではなく、普通の魔法の撃ち合いでダムが勝利した。ニックは魔法の攻撃の攻撃で死亡した。三回戦は第7貴族のサルテと第8貴族のダグラスの試合。結果は目に見えていたようにサルテの完勝。ダグラスは何もできないまま敗北し、死亡した。その後の第3貴族のポルケ対第6貴族セルドの試合はさっきポルケの勝利で終わった。セルドは死にはしなかったが重傷で治療を受けている。モーロンはシードスタートだから一試合目は無し。と、観客達の思い通りに試合が進行している。



「俺を除けばな。しっかし、あの貴族さん達は何がしたくてこんな事やってるんだか…。」



脳裏で微かに嫌な記憶がよぎるが、すぐ忘れる。

観客にしても主催者どもにしてもどんだけ血が見たいんだよ。血が見たいなら魔獣を狩りに行けっての。態々人の血を見る必要があんのかよ。



「どんだけ考えても一緒だよなー。現に誰かが死んだ時なんて熱狂の渦だったしな。」



皮肉を言っていると、五月蝿い実況が進行を始めた。次は自分の試合。相手はダム、さっきの試合ではひたすら風魔法を放ってただけ。強いかと言われたら、どちらかと言ったら弱いの部類に入るだろう。それもこの大会の参加者の中で。



俺は観客どもに睨みながら入場する。出て来てすぐにブーイングの嵐だったがあまり気にしない。

どうせ俺が誤って一回戦勝ったと思ってるからだろう。それならこっちはもう一回勝ってやる。殺したりはしないがな。



「お前がブロを倒したやつかサ!面白そうじゃねぇかサ!ここで息の根止めてやるサ!」



闘技場の真ん中で俺は目が点になった。俺の対戦相手って巫山戯てんのかな?それともこれが普通?なんかずっと頭から離れないんだけど!



「ごめん、もう一回言って!よく聞こえなかったんだ悪い。」


「はぁ?何言ってるサ!?俺がお前を殺してやるって言ったんだサ!」


「待って!これ駄目!!面白すぎる!なんだよ「サ」って!ハハハハハ!!語尾に「サ」がつく奴初めて見た!もっと他のあるだろ!」


「もう頭に来たサ!本気で殺してやるサ!!」


「わかったって!!もうやめて!お腹痛い!」


「それでは始め!!」



どっかの貴族がゴングを鳴らす。すると、ダムは魔法を展開して水の魔法で攻撃してくる。初めは多弾の水の弾。それらの威力はそこそこ高く、後ろの壁は穴だらけである。弾を撃ち終えた後ダムは勢いよく走って来る。武器は持たず、魔法で作る気配はない。剣の間合いよりは少し遠い距離で魔法を発動させる。魔法陣が変形したのは人間のような腕。その手には三叉の矛が握られている。

ダムはその手を自らの手のように操り、三叉の矛で攻撃して来る。



「チッ!ポセイドンかネプチューンだな。流石『ダム』、水魔法は神様レベルか!」



俺は矛の攻撃を上手く避けながら、観察する。数秒考えわかった事を素早く纏める。あいつの弱点は3つ。一つはあの魔法を発動している間他の魔法は使えない。二つ、腕だけって事だから完全な技ではない。そして三つ、ダムの腕の動きと魔法で作られた腕の動きとの間に僅かな時間差がある。



このまま行けばジリ貧だ。観察は終わりにして決着をつけよう。



「よっ!・・よし。そろそろ最後だ。来な。」



「ハァハァ…。なんで当たらねぇサ。クソッ!オラァァァァァァァ!!!」



「それじゃあ遅いな。テメェは唯のデカイ武器振り回してる子供と一緒さ。技がねぇ。手本見してやるよ。」



俺はあいつが振りかぶっている隙に足技で距離を縮める。あいつの手が俺に触れそうになるが、矛は飛んでこない。その一瞬で俺は顎、溝内に一発ずつ殴る。奴が怯み魔法が中断されたのを横目で確認しながら、後頭部に手を当てダムの顔を俺の膝に直撃させる。



「これが技だ。それも初歩のな。俺は殺人は嫌いだ。だからお前は殺さない。安心して眠れ。」



そこで試合は終了し、実況がまた喚き出す。


俺はそれを聞き流しながら場外へと立ち去る。その時、客の一人が大声でこう言った。



「テメェは何で殺さねぇんだ!俺らは血を待ってるんだよ!テメェら見たいなら薄汚い血をな!」



その声に周りの奴らはそーだとか殺せ!だとか乗ってくる。



俺は別に言い返す気もなかった。けど、勝手に口が動いた。



「あ?それならテメェらが殺れよ!自分だけ安全な場所で何を言ってやがる!そんなに血が見たいなら俺を殺してみろよ!俺は逃げも隠れもしないぜ!・・・おい!どうした?降りてこいよ!!血が見たいんだろ??降りて来る勇気もできない奴が高みの見物で踏ん反りかえっんじゃねぇよ!!」




観客全員が顔を強張らせてライを見やる。貴族の人間は難しい顔をしたり、笑顔の奴がいたり、驚いた顔など十人十色である。



その中でライは一人気分よさげに歩いた。そこからは少し空気が変わった状況で試合が進行した。

ライの試合の後はモーロン対ポルケの試合でこれもまたモーロンの瞬殺で終わった。ポルケも少しは頑張ったが力の差が歴然だった。そしてサルテは順番上シードとなり、次のステージに駒を進める。



「さーて、今回の大会は人数が奇数なので決勝戦は三つ巴の戦いになりましたーー!!」



いきなりの実況の言葉にも観客は声を上げる。誰も驚いたりしないのか不思議だが今は置いておく。


三つ巴。それはリングに3人の選手が入り争う。多分ここでは協力を組んだり、二対一の戦いに持ち込めば殆どの確率で生き残れる。が、俺はそんな事できないのでここは二人を倒す策を考える。



そして、少し時間が経ち試合の時間になる。俺はリングに登り、周りの反応を見る。想像通り凄い嫌われようだ。応援の声もちらほら聞こえるが殆どがブーイング。まるで中学の時に逆戻りしているようだ。その後から登って来る二人に対しては大きな声援を上げる。本当に人間って単純だよな。だから嫌いなんだよ。



「はぁ…。やっぱりテメェらかよ。初めの内に予想はしてたが当たるとはな。」


「ほぅ。お主もか中々良い目利きをしてあるな。」


「そう見たいだな。俺もそんな喋り方する奴を勘で当てれるなんてな。」


「お主にはいくつか聞きたいことがあるが、それは後にするわい。今は試合に集中じゃ。」



「で?お前の方は何か言うことはないのか?」


「俺か…。そうだな…。テメェら調子こいてるんなら殺すぞ?」



雰囲気が初めと終わりで変わる。今は一触即発の危機、誰が何と言おうとも多分この中でだれかは死ぬだろう。



「では始めます。」



イリスによってゴングは鳴らされる。




3人は一気に中央へと飛び込んだ。



さて、今回はダムさんの紹介です。

結構強い設定です。


名前 ダム

性別 男

身長 180

髪、瞳の色 青、紫

得意な魔法 水魔法

その他 ライに敗北してから少し顔が変わったらしい。本人は喜んでいる模様。

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