馬車職人ガードン
僕は父の紹介状を持って馬車職人のガードンさんの元を訪れていた。
「おう。お前さんがバレルんとこの息子か。なにやら面白いもんを見せてくれるらしいじゃねえか。」
「はい。僕はディル ライズといいます。今回は僕の考えた新しい人力車について意見をお聞きしたいと思いガードンさんの元にお邪魔したのです。」
そうして僕は父の紹介状と三輪自転車の設計図をわたした。
「うーん。全体としちゃあ悪くない。むしろ子供がこれだけのことを全部一人で考えたってのが驚きだな。」
僕は一瞬ドキリとしたがガードンさんの話はまだ終わらない。
「まぁ。誰かの盗作って訳でもなさそうだし、案外子供の自由な発想はバカにならないからな。…で、問題点だが、この設計図には材質の指定が鉄と木材と一部に動物の素材ということになっているが木材や動物の種類にまでは言及してない。坊主がそんなことに気がつかないとは思えない。さては、錬金術を勉強していても机の上だけで現物をみることは少ないんじゃないか?」
これだけの情報でそこまで推理するこのおっさんに本当にただの職人か?というツッコミを入れたくなる。実際僕には現物の知識なんて本で読んだ程度のものだ。
「はい。これからは実物に触れるような勉強をします。それでこの素材はどうしましょうか?」
「そうだなー。坊主はモンスター退治の経験はあるか?」
そうガードンさんに問われる。
「剣とかを使って戦ったりはしてないです。殺虫の燻煙を焚いて倉庫の害虫モンスターを退治したことはあります。」
「じゃあ素材を取るためにモンスターを倒したり、解体したことはないんだな。」
「ええ、まだそういうことはさせてもらえなかったので。…もしかしてモンスターの素材を使ってこの車を作るんですか?」
「ああ。坊主はあまり材
料費を高くしたくないようだが、安くしたいってもこれだけの物だと庶民に使えるもんにはならねぇよ。」
「はい。でも
「まあ、今回俺が考えている素材はレッサートレント。堅いか足の遅いやつだ。まあ他の職人たちにもどんなものが必要になるか聞いて回って、どうやって素材を手にいれるかというのも考えてみるといい。」
「はい。では次の職人さんのところに行ってみます。」
「おう。材料がそろったら車輪部分の設計図を詳細にして持ってこい。車輪はうちで組み上げてやる。」
なるほど。父の紹介状は作業の分担についても書かれていたらしい。よく考えれば一人で作れる物でもなかったな。
「はい。ありがとうございます。またお願いします。」
さて、次は道具の鍛冶職人ウォレフさんだ。