6 ちがい
惑星セイレンの宇宙港レイシで、2日ほど停泊となった。
ルイがアンドロイドにさえアンドロイドか疑われるという事が先々で起こり、最後は怒る気にもならず「人間です」と、言うようになったのが、かわいそうで笑えてしまった。
出港日になるとルイは直にシュガーソルト号に乗り込み、ユージンとシオが搬入の受け取りに回る。
小さいながらも、スーパーマーケットは普通に存在していたので、何買ったら良いかわからないと言う3人を置いて、シシンとガブリエルは2人で買物にやってきたのだった。
「人間の従業員がいて飲食店があるんだからあると思ってました」
「衛星店舗だから小さかったけど」
搬入リストに無かったものを購入し、シシンとガブリエルは買物袋を下げて町を歩く。
「・・・あの人たち農場プラント作れるんでしょうか・・・食材にあんまり興味ない感じなのに」
「そこは運営管理側みたいだから」
「そういうものですかねぇ」
「・・・君は、違うの?」
「?」
少し考えて、シシンはガブリエルの言葉の意味を考える。
「実家では自給自足と檀家からのお布施の生活だったんです。田んぼや畑を耕して、できたものでご飯作って。そういう生活イメージだったからがこういう所で本当に出来るのか不安なのかな」
衛星港の都市は、月よりも人工的でそれがシシンを気がかりらしい。
「ここまで来たら帰れないが、大丈夫か?」
「それはわかってるんですけど・・・あの人たちの時たまある、テキトーな、まあいいかやっちまえ精神が・・・ポジティブなのは良いと思うんですが大丈夫?!って思ったり」
「そういうタイプが外宇宙に適合して繁殖したんじゃないかな。地球圏にも居ないわけじゃないが、ここがそういう環境なら慣れるしかない」
「はやく慣れてしまいたいです」
買物を終えて、出港準備のシュガーソルト号に向うと、搬入手続をしていたシオが気がついて手を振っる。
大きな保冷バッグを積んだ代車を押している。
「生鮮食料品届いてるぞ」
格納庫に入庫とはならず、手渡しで渡されるようだ。
「手伝います」
「助かるよオートメーションの農場で、野菜や鶏肉、卵、魚をセイレンで育てているんだそうだ。驚いたよ。目線が違うことは発見になる」
シオは感心したようだった。
食堂奥のキッチンスペースに荷物を置いて、シオはシシンが冷蔵庫や戸棚に荷物をしまっていくのを見ていた。
ガブリエルは3人分の紅茶を淹れる。
「シオさんは今まで料理したことはないんですか?」
「ないな。3食支給の会社?暮らしだったし、誰かの作るのもあんまり見たことがないんだ」
「ユージンさんとルイさんも?」
「ユージンは食堂付きの造船工場育ちで、ルイは食事に興味のないセレブ家庭みたいなかんじ?」
考えたら、家と職場と学校が同じ場所にあったため、子供の頃もオトホシの学校で食事をしているようなものだった。
「・・・コッチの惑星の人たち全員そうじゃ無いですよね?」
「多分、たまたま俺達が炊事力低いだけだと思う」
食堂や飲食店があることを考えたら料理をする人は居るのだ。
セイランの衛星港を出発した次の日の昼が第1回シシン食堂である。
「おまたせしました。玉ねぎスープとドレスドオムライスです。手が込んでるわけじゃないですが、見た目は頑張りました」
丸ごとの玉ねぎが入ったコンソメスープに焦がしチーズが乗っている、玉ねぎスープ。
丸く盛り付けられたドライカレーに、表面がとろりとした捻れた布のように焼かれた玉子特徴のドレスドオムライス。ケチャップで名前を書いてあげた。
「ドライカレーはレーションのです。玉子焼いて、調味料のコンソメと塩コショウしただけですけど」
「ボク、オムライスって生まれて初めてかも」
「オレも頼んだこと無い」
「同じく」
まさかのはじめましてオムライス。
「おいしかった。また何か作って」
好評はモチベーションをあげる。
やることができて気も紛れ、自己肯定感もあがる。
楽しいついでに、ガブリエルに教えられ、レーション含む食材の発注も任されることになり、気がつけば若干の気鬱を伴った宇宙酔いもなくなっていたのだった。




