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星間航路の旅人  作者: 水縹
旅の終わりに
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4 ほよう

セイレンまで70光年。


MELROSEライン最長でおよそ3日の道程。


気が緩み過ぎないように、定例朝会を開催予定だが毎日はネタが無くなるので、開催は2日目の朝9時とした。


「・・・はぁ」


食事時にシシンは箸が進まないようで、ため息をついているのに、通りかかったユージンが声をかけた。


「どうかした?」


「すみません。なんか入ってかなくて」


「レーション苦手?」


「かもです。加工品がつらいのか、宇宙船が辛いのか分かんないんですけど」


「もしかして料理できる?」


「はい。ある程度」


「設備あるんだけど、材料無いんだよね。ボク達、炊事しないから」


食堂の奥にあるカバーを外すと、簡易キッチンがあった。


電磁調理機IHクッキングヒーターと小さめの水道。扉のついた調味料入れもあるが空っぽだ。


「おぉ」


「好きに使って。後は、トレーニングルーム行こ」


トレーニングルームに連れ出したのは、身体を動かせば腹も減る・・・というわけではなかった。


「ここレクリエーションルームでね」


ユージンは部屋の調整を始める。


「こっち来て」


シシンを呼ぶと、部屋の調整パネルを見せる。


「ボタンは今5種類」


辺りが青空が抜ける開放的な草原に変わった。


風の音や匂いまでする。


「こんな感じで、疑似環境なら映せるから、ストレス感じたら使って。自分の持ってるデータ入れることも可能。ここから読み込ませられるから」


映像リスト

①青空の草原

②水面

③満開の花畑

④銀河

⑤闇に火の玉


「この⑤って」


ユージンが⑤を押すと、一寸先も見えない闇に、ぼっと炎が浮かぶ。


「これ、ホラー的な?」


「この部屋のFAIRY・・・ナノマシンに火の玉を映してるんだ。花畑と草原の蝶とかも同じ。座禅もここでやれば雰囲気あるでしょ」


「最初の青空お願いします」


ぱっと明るくなり、足元の草原は歩けば花が咲く。

時折緑の匂いの風が吹く、明るい日差しの草原。


「じゃあ、これも貸してあげるごゆっくり」


「ありがとうございます」


手渡されたものは、人を駄目にするクッションソファ。


シシンはソファに身体を預けると、包みこまれるような心地よさ。


ぽかぽかの日差しと心地よい風、そして時折聞こえる鳥のさえずり。


寝不足だったわけじゃなかったが、目を閉じると眠ってしまった。


       ―――――――――


「ガブリエルは身体に何か違和感ない?」


「特には」


シオに聞かれて、ガブリエルは即答した。


むしろ仕事をしてない分寝不足とストレスが無くなって快調である。


「シシンが宇宙酔いみたいだからどうかなって」


「元々、ラグランジュポイントの他衛星に行くこともあったので、地球から来て3、4年の彼より慣れてるのかも」


「衛星環境っての作業系?システム系?」


「両方。ところで時々見る、これは?」


無重力でも重力下でも直径3センチほどの黒っぽい丸い物体が浮いてることがある。


「何って、FAIRYの巣だけど。あぁ、大分黒くなってるから、次で取り換えないと」


「フェアリー?」


「宇宙船内の埃とか吸着する掃除ナノマシン。この巣からナノマシンが放出されて戻ってるらしい・・・ナノサイズだから見えないけど」


「掃除マシーン」


「巣は元々透明なんだけど黒くなると変え時のサイン」


「これはどこでも?」


「これは宇宙船内用。オレも詳しいわけじゃないけど、ナノマシンは医療用とか、環境用にも使ってたはず。興味あるならって、端末ある?」


「月面のが使えるなら」


出てきた月製のモバイル端末に、シオは眉毛を寄せ声を張った。


「・・・ルイー!」


「はーい」


遠くで声がする。おそらく艦橋の方向だ。


「詳しい人に聞こう。艦橋でなんかやってるみたいだ」


呼ばれたルイは、艦橋から出てきたところで落ち合い、食堂で話しを聞いて月のモバイルをチェックする。


結果は月製製品ではこちらの情報にはアクセス出来ないようだった。


「俺の仕事で使ってたので良ければあげるけど」


ガブリエルはありがたく、ルイのジエル製の端末を譲り受けた。


「キーボード・・・」


「流行りだよ。ペラペラのタッチパネルがどうにも押したか分からないってカチャカチャ音の出るモデルなってるんだ。月製はホログラム画面に平面キーボードなんだ」


「画面が見づらい触った気がしないって評判だけど、畳むとこうだから軽くて」


「丸める収納。へぇ。月の方が未来っぽい・・・とりあえずオトホシの簡単なシステムはここ見て。衛星環境関係のこちらの情報だとジエル出版の衛星環境士の資格とか必要かも」


「助かる」


明るい食堂でレクチャーを受けそのまま没頭し始めたガブリエル。


「丁度いいや。シオくんメールチェックしようか?」


「・・・はい」


ルイに引きずられ、シオは艦橋に連行されていった。


「シオくん。面倒くさいの?それとも機械苦手?」


「・・・両方?」


あきれた視線を感じつつも、その系統が得意なら砲撃手にならなかったんです。


シオは久しぶりに過去に思いをはせてみた。


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