5 むげんのごと
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【RUの宇宙旅行】
だよ☆
こわい話知ってる?
双子惑星があったんだって
でも、そのうち1つが事故で爆発してしまて・・・
それ以来その空域を通ると
通信にノイズがはしり
電気系統にトラブル
哀しげな音が響いて
方向を見失う
行けば呪われる空域になっちゃったんだって
コワイ話聞いちゃったから
惑星ジエルでパワーストーン買って帰ろうかな✰
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サラサラと顔を隠すようにいつも下ろしているやさしい金色の髪を後で括り結び、ルイは個人の端末で作業をしている。
髪はショート巻毛で目隠し系の前髪で、結び九曜紋の結び部分のイメージ。
髪色は銀ぽい水色系のグラデーション。
結び九曜の真ん中イメージの濃紺ベレー帽被せて。
服は白のフリルブラウスに赤のボウタイ。紺のサスペンダーかぼちゃパンツ、アーガイル柄のライン靴下とブーツ・・・。
「違う・・・〈RU〉つられて盛り過ぎた」
下はこのままで、上は作業服ジャケットで、切り替えはブルーグレー。
「よし」
ルイは艦橋に戻ると、寛ぐように席に座ったシオが本を読んでいた。
「シオくん」
「ルイ、どうした?」
「例のやつ第二弾と、九曜を送ったから確認してほしいんだけど。九曜にプレゼントだよ」
『ありがとうございます』
「アバター作ったんだ・・・シオくん、ちょっと貸して。ここをこうして」
設定をすると、画面の端にその少年は現れた。
ゆらゆら微妙に動いている。
「手を挙げて」
『言ってる意味がわかりません』
「そうか・・・コレが手を挙げる」
端末を操作し、画面の少年の手を挙げる動作をしてみせる。
「で、音声は口を動かす。こういう感じ。はい、やってみて。自己紹介」
『九曜です。よろしくお願いします』
アバターの言葉とは合っていないが、口を動かし手を挙げた。
「よし」
満足そうにルイは自席に戻り、再び自分の端末を操作する。
「良さそうなゲームのキャラやアニメ保存しておいたから動作の学習しようね」
『わかりました』
シオは素でニッコニコのルイを呆気にとられた。
いつも長めの金髪を下ろしているのは、なんだかんだ顔を隠している感じはしていたが、髪を結んで趣味全開で自然に綻ぶ表情はちょっと可愛いさえある。
「なに?」
視線に、気がついたのかルイはシオを見た。
「楽しそうだと思って」
「見かけに合わないとか言われるけど」
スタイリッシュで人間味を感じさせないルックスのせいか、ギャップを否定されることが多かったルイは、スルリとヘアゴムを解く。
「好きなんだ。こういうの作るの。親父にも否定されたしね。あの仕事人間は、自分に出来ることはオレも出来ると思ってるし、こーゆーのに理解無いから」
「そうか」
ニューミヤ親子も色々あるらしい。
「さっ、気分転換に食事するけど、一緒にどう?」
「そうするか。後は頼んだ九曜」
『かしこまりました』
ついでにレクレーションルームを覗くと、汗だくのユージンが艶のある黒いカーペットの上で片手腕立て伏せをしていた。
「機材買ったんじゃ無かったのおおお」
ユージンに近づいたルイは、黒いカーペットに入った途端に崩れるように倒れた。
「コレだよ。敷くだけで惑星アールでトレーニング出来る。重力カーペット!凄くない?!」
「大丈夫かルイ」
起き上がれないルイを、シオはカーペットから助け出した。
ズシッと重力を感じたが、ルイを抱えて耐えられる筋力はある。
「っだいじょうぶ。びっくりした。ユージン・・・お前、凄いな・・・筋肉」
「そう?」
服を着ていていつもは見えてないが、全身なかなかに、バッキバキの筋肉だ。
「これから飯にするけど、来るか?」
「シャワー浴びてからいく」
タオルで汗を拭き、ドリンクを飲みながら立つ後ろ姿のシルエットが雄々しいことこの上ない。
「頭打ってないか?その身長で倒れたらあの世に行ってもおかしくない」
「打ちはしなかったけど、あそこまで力のない自分にびっくりした、シオくん俺の事持ち上げたよね」
「メリクリウスでお世話になってた時、トレーニングちょっと付き合ってたからな。ルイはこう・・・華奢?」
「・・・その言葉のチョイスやめて下さい」