9
無事、手術を終えためぐみ、眠る彼女のそばには山下がいた。
やがてめぐみが目をあけると最初に、山下を探した
そして、見つけて安心したのか、めぐみの第一声は
「やましたさん、おなかすいた・・・」だった。
一方、優香も移植手術を無事終え、まだ寝ていた。
やがて、奥山と野本が見舞いにやってきて、めぐみを見て驚いた。
あの時、山下さんと一緒にデートをしていた男がそこにいたからだった。
しばらく、躊躇した奥山だったが、
「あなた、飯塚さん?よね・・・」
「はい。・・」と返事をしていると山下が戻ってきた。
奥山は山下を見て、しばらく考え、
「あなたが、朝一の美少年?・・・・」とめぐみに言った。
「ごめんなさい・・・」
「何、謝っているのよ・・・何か?」と奥山は言おうとしたが野本がいるのを思い出し、
「別に、いいわよ。まぁ、よかったわ。元気そうで」
「ところで・・・今日は。お二人そろって・・」
「今日は、私の誕生日なの・・・」と野本の方を見る
「それで野本さん・・・いつもと違うのね・・・」
「めぐみこそ・・・」と突っ込んだのは、奥山だった。
「じゃぁ、早く行ってきなよ・・・」
奥山と野本が立ち去ろうとしたとき
「これで、貸し借りなしね・・・」と奥山は耳もとでささやいて
片手をあげて、出て行った。
数日後、予定よりめぐみは一日遅れて、退院した。
優香の経過も良好だった。
そして、めぐみは、久しぶりに朝のジョギングに出た。
横には、山下が着いてきていた。
いつものコースで島内がおはようと声を掛けてきた。
めぐみは、いつものように「おはようございます。」と挨拶をして
「ジョン元気だったか。久しぶりだなぁ」と犬とじゃれだした。
「めぐみちゃんも元気そうで何よりだ・・・」と島内は優しく声を掛けた。
「はい、ご心配かけました。」と答えるめぐみ
「いやいや、こちらこそありがとう」と島内が言うと
「ごほん」とせきをした山下・・・
「お~、わすれてた~」と島内は、山下を見て
「おはよ・・・ところで、お前、ジョンにやいてるんだろう・・」
「そんなこと・・・なにを、馬鹿なことを・・・・」とあせる山下
「今度は、4人で会えるといいですね。」とめぐみが聞くと
「もうすぐだよ。・・・」という島内
「あっ、そろそろ時間だ・・・じゃ、ジョンまたな、島内さんも・・・」
二人は、走り去っていった。