巨大化する『猫の国』と、焦る権力者たちにゃ!!
圧倒的な文明的繁栄を背景に、猫の国が確立した「養殖技術」や「牧畜技術」、そして「猫豆の循環生産」は、本来であれば冷害の直撃を受けて停滞するはずだったこの地に、数百年分の進化をもたらしていた。毎日、富を乗せた巨大なキャラバンが押し寄せ、町長の金庫には金貨が山のように積み上がっていった。
この異常なまでの大発展に対し、大陸の中心に君臨する巨大王都の宰相たちは、国家存亡をかけた深刻かつ切実な危機感を募らせていた。王都は軍事力で領土を広げ、豪華絢爛な石造りの建築物を並べ立てているが、その食料供給は冷害の煽りを受けて崩壊寸前であり、民は家畜を屠殺しては食いつなぐだけの、綱渡りのような脆弱な社会システムの上で震えていたのだ。王都の文明は、人口の増大という負荷に対してあまりに脆弱であり、真の持続可能性を失っていた。
「軍を動かし、どれだけ領土を広げても、肝心の民の腹を満たす作物が育たん。我が国の文明は、人口に対してあまりに脆弱だ……。辺境のあの小さな町に、我らが喉から手が出るほど欲しい『安定』と『技術』がすべて集約されているというのか!」
豪華絢爛だが、どこか冷たく殺伐とした会議室で、宰相が苦々しく声を上げる。彼らにとって、猫の国が確立した「養殖技術」や「牧畜の最適化」、そして「猫豆による栄養供給の循環」こそが、国家の崩壊を食い止め、民の飢えを癒すための最後の救済であり、王都が再び繁栄するための鍵だった。
「辺境の『猫の国』を力ずくで潰すには、先の軍勢が一瞬で消し飛ばされたという不可解な前例がある……。ならば、何としてもあの町を、我が王都的支配下へと法や権力の力で引き入れ、その無限に湧き出る食料利権と畜産技術、さらにはシルクの生産ラインをすべて国庫へ吸収せねばならん!」
王都の巨大な権力が、ついにこの窮地を打開するため、猫の国を丸ごと呑み込み、その技術を搾取しようと動き出した。彼らは信じていた。自分たちこそが世界の中心であり、辺境の知識など高圧的な態度で接すれば容易く手に入るものだと。しかし、その慢心という名の暗い影が、王都という巨大な船の喫水線を、誰にも気づかれぬうちに静かに沈め始めていることを、宰相たちはまだ知る由もなかったのである。




