小麦粉の雪と、見習い騎士の特等席にゃ!
ある朝、駐屯地の食糧調達の任務を任された見習い騎士レオが、いつものようにパン屋の門を叩いた。
「すみません、騎士団用の猫豆パンをいただきに――」
ガラッと扉を開けた瞬間、レオの目に飛び込んできたのは、小麦粉の袋を運ぼうとしてバランスを崩し、全身白い粉まみれになって「あちゃー……」と座り込んでいるニナの姿だった。
「だ、大丈夫ですか!?」
慌てて駆け寄り、手を差し伸べるレオ。ニナは顔を上げてレオの顔を見つめると、恥ずかしそうに頬を赤らめながらも、いつものニッコニコの笑顔を浮かべた。
「ありがとうございます! ちょっとドジっちゃいました。……あ、あなたが、あのシロちゃん(キラ)と一緒に暮らしてるレオさんですか?」
「え、あ、はい! そうです! よくご存じですね?」
「もちろんです! この町の猫ちゃんたちが、みんなレオさんの話をしてくれるんですよ。『とっても優しくて、猫に理解がある良い騎士さんなんだよ』って」
「そ、そうですか……いやあ、そんなに褒められると照れますね」
「ふふ、本当ですよ! あ、そうだ。今日は焼きたての猫豆パン、少し多めに入れておきますね。レオさん、いつも頑張ってますもん!」
(……ほう。少年、なかなかやるな。猫たちから既に良好な評価を得ているとは)
(みゃう! ニナはレオのことをすごく尊敬してるみたいですの。お兄ちゃん、この二人、なんだか見てるこっちがむず痒くなりますの!)
店の隅の特等席で、キラは毛並みを整えながらニヤリとし、りなは前足で顔を覆いながらも、その様子を嬉しそうに眺めている。
「ニナさん、ありがとうございます。あの、もし良ければ……また明日も、パンをもらいに来てもいいですか?」
「はい! もちろんですよ、レオさん! いつでも待ってます!」
二人の弾んだ声を聞きながら、キラとりなは窓辺から柔らかい眼差しで、未来の家族になりそうな二人の様子を見守るのだった。




