世界の理の覚醒、そしてレオの『耳』にゃ!
だが、物語はここで終わらない。
数千匹もの猫たちがキラの精霊としての力に導かれ、この町で穏やかに暮らしていること。そして、そんな猫たちを街の住人全員が「守るべき聖なる家族」として心から敬い、愛していること。
その膨大な感謝と信頼の想いが、キラの内に流れる力と激しく共鳴した。
その瞬間、まるでこの世界の根底にある大きな歯車が、本来あるべき場所へとかみ合ったような音が響いた。
(カチッ……)
世界を司る『理』が、例外的な奇跡を呼び覚ましたのだ。
その夜、見習い騎士レオの部屋。
訓練を終えてクタクタになって帰ってきたレオは、キラが作ってくれた猫豆と川魚の極上スープを飲み干し、ふぅ、と息を吐いてキラのフワフワな白い体を優しく撫でた。
「シロ、りな、いつもありがとうな。お前たちがこの町をどれだけ救ってくれているか、俺には分かっているよ。だけど……たまに、お前たちが何を考えているのか、本当の言葉で話せたらいいのになって思うんだ」
レオが愛おしそうに目を細めた、その瞬間。キラの周囲の大気が青白く美しい光を放ち、その光の粒子が、レオの耳へと吸い込まれていく。
(……おい少年、聞こえるか?)
それは、森の深淵のように落ち着き払った、しかし確かな意志を感じさせる深い男の声だった。
「え……?」
レオは弾かれたように目を見開いた。今、確かに頭の中に、慈しみと知性が同居した、凛とした男の声が直接響いたのだ。




