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隣国からの呼び名――『猫の町』にゃ!
冷害で周囲の領地が未だにあえぐ中、キラの統べるこの町だけは、文字通り「富の源泉」と化していた。
大量の猫豆と上質な干し魚、精度の高い肉や野菜が他国へも輸出され、町には莫大な富が流れ込み始める。
他国の者たちや旅人たちが、この町に足を踏み入れるたびに、彼らはその異様な、しかし最高に平和な光景に目を見張った。
「おい、見ろよ……。あの広大な豆畑で、何百匹もの猫たちが一列になって種を植えているぞ……!?」
「市場の魚屋の店先に、猫が座って品定めをしている……! 人間たちがみんな、猫に頭を下げて感謝しているぞ!」
いつしか周囲の国々や、王都の人間たちは、この奇跡の繁栄を遂げた地を、畏敬と憧れを込めて『猫の町』、あるいは『猫の国』と呼ぶようになっていた。




