小さな嫉妬と、ネットワークの掟にゃ!
キラがりなを庇護しているという噂は、すぐに猫耳ネットワークのボス猫の耳にも入った。
「総大将、最近お気に入りの黒猫のガキがいるって本当ですか? あんな弱そうな奴、俺たちのシマの足手まといになりやしませんかね……」
ボス猫が少し心配そうに、あるいはキラの関心を奪われたことに少し嫉妬するように尋ねてきた。
だが、キラの瞳がスッと冷徹な光へと切り替わる。その瞬間、周囲の大気がピシッと張り詰め、気圧がわずかに低下した。
「にゃ〜お(ボス、勘違いするな。りなは俺の不可侵領域だ。ネットワークの総力を挙げて、彼女の周囲に危険がないか24時間体制で監視しろ。いいな?)」
触れもしていないのに、大気の圧力だけでボス猫の背中の毛が逆立つ。総大将の底知れない能力の操作、迅速で徹底的な過保護ぶりに、ボス猫はガタガタと震え上がった。
「へ、へいっ! 滅相もねえ! りな様の身の安全は、俺たちが命に代えても守ります!」
「にゃん(分かればよろしい)」
一瞬で元のフワフワで愛くるしい白猫に戻ったキラは、レオから貰った上質な干し肉を再び肉球で咥え、りなの待つ路地裏へとトコトコと歩き出した。
キラのなかで、りなの存在は単なる「気になる野良猫」から、徐々に「この異世界で自分が後ろ盾となって守り抜くべき、大切な存在」へと、確実にシフトし始めていた。




