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神様! TRPGの世界にPL-私-を突っ込まないでください! ~ルルブ知識と夢回想イベントだけで1万の軍勢を10万に勝たせろなんて無謀じゃないですか!?~  作者: mizuchi_0307
『仮面』の裏側

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神様。RP(ロールプレイ)はこんな感じでいかがです?

 ああもうっ! 私だって状況がヤバいってのは何となくわかるし、リディアさんがしたいこともわかるからその作戦は乗る一択! だからリディアさんの要求通り、ゲルド支部長の能力を上手く使った神託を見たことにする……けど、上手くいける? 私の神託って誤魔化してる話は次の通り。


 1つ目。帝国兵が10万の兵で進軍している。帝国兵視点。


 2つ目。118年のゼーレンが襲撃された事件。


 3つ目。クリスタに攻めてくる王国をサイラスさんが稲妻で追い払った事件。


 これに加えて神託があります、はカイさんに問い詰められる可能性がある。昨日の今日でさらに増えました、は微妙……実際に起きた3つ目から、まだ話してない4つ目の話で本当に見たのか、とセシリアさんが一瞬不審がるぐらいには。だから4つ目のリディアさんの話は、伏せるべき話。内容的にも私がリディアさんを信頼してる理由にはなり得るけど、当のリディアさんが完全否定してくるだろう内容だし、なにより、今回入れなければいけない内容を入れ込めるような話でもない。

 だから、ゲルド支部長の話を無理なく組み込むためには2つ目の神託と説明した中に上手く入れ込むのがいいと思う。実際はどうなんだろう? トーマスさんの夢の中ではトーマスさんが錯乱してたから余り状況が拾えてない。この事件の中でゲルド支部長が戦ってる確証さえあればここに入れることができる……思い出せ……実際のところ、私の最大の武器って記憶力だろ、私……!


『いや、お前はすぐにゲルド支部長を呼べ! ここは俺達が持たせる!』


 そういえば、こんなセリフあったな……呼ばなければいけないような所に、支部長はいた……この言葉ってそういうことだよね。でもその後、すぐにリディアさんが助けに来ている……つまり、ゲルド支部長ってリディアさんとは別行動で指示は出していたことにならない? ……今までの話を聞く限り、ゲルド支部長は防衛に対して物凄く責任を背負いこんでる人。そんな人が自分だけ現場に出ずに指示だけ飛ばすかな? ……いや、ない。入れるべきは、やっぱりここだ!


「えっと、ザメックさん! ……ですよね?」


 まずは慎重にザメックさんに話しかけた。何せ初対面だもん。


「おお! お嬢さんがセシリア殿が言ってた保護された女の子ですな! ミコ殿でしたかな? 何でも、夢で面白いものを見るとか! ぜひ原理を教えて欲しいのですぞ!」


「ザメック。今はそういう状況じゃないだろう。まあ、僕のことを見た、という話も聞いたし少し興味はあるけどね。今ではない。」


 あ、あはは……トーマスさんありがとうございます……貴方視点を見たんですよ……なんていえませんしねぇ……私もその方が助かります。今度お話するまでには上手く脚本を書いておきますので……それまでは何卒……


「むむ……感覚とか、夢の内容とか、絶対に教えて欲しいのですぞ! それはさておき、なんですかな?」


 少し残念そうな表情を一瞬見せたけどすぐに、技術者の顔に戻るザメックさん。……内容は部分的に嘘ついてるから話せないんだよね……と苦笑しつつ、少しずつ本題へと近づいていく内容を聞いていく。


「えっとですね。さっき魔石を搭載した航空ユニットをドカンとぶつけるからヤバいってお話でしたよね?」


「そうですぞ。衝突エネルギーによるダメージは当然のことながら着弾した後の爆発が魔力で発生するのなら殊更なのですぞ。」


「逆に言うと、衝突エネルギーだけなら大丈夫なんですか?」


「むむ……正確には計算しないとわからないですが、それだけでも不味そうではあるのですぞ。まあ、出力を上げる方法があるから、衝突だけなら何とかできる見込みはあるのですが。」


 出力を上げる方法がある? 魔力防壁システムだから魔力を供給する方法は一応あるってことなのかな。……いや、あるか。多分、強化人間の魔力を使えば少しぐらいはっていう意味合いな気がする……でもそこまでは、発想がいってるってことは……リディアさんの話してたことをそのまま使うまでもないかも。


「えっと。私のイメージの掴み方が間違ってたらごめんなさい。魔力防壁システムのエネルギー源って魔力ですよね? ゲルド支部長が使ってる剣とか、リディアさんの手甲の盾とかと同じような感じですよね?」


 私は私が見たことを織り交ぜた。ゲルド支部長の剣は知らない。だけどリディアさんの手甲の盾はトーマスさんの夢で見ている。リディアさんの夢の中でもこの手甲が魔力で動作しているものなのはわかってる。リディアさんの説明だと剣は多分同じ仕組みだから……


「む? そうですぞ。しかしよく知っているですな。」


「118年の様子は見てますから。」


 こう答えて、問い詰められたら、リディアさんの手甲の話を前面に押し出してしまえばいい。こっちは自信もって答えられることだから。


「ああ、なるほどな。戦ってるのをみてるんなら、その頃から支部長もリディアも使ってるもんな。」


 よしっ! カイさんが納得した! これで行ける! しかもゲルド支部長が戦ってるのもほぼ確定したようなものじゃん! カイさんありがとう!!


「なら、相手の魔石から魔力を奪う事さえできれば、衝突エネルギーも含めて何とか相殺できませんかね……?」


「はぁ? 相手から魔力を奪う? んなこと出来たら苦労しねぇーだろ……?」


「理論的には筋は通ってる。しかし、現実性はないね。」


 カイさんとトーマスさんがそんなことは不可能だ、と言わんばかりに呆れた顔を見せる中、


「ホッ……!? ふむむ……普通ならば、現実的ではないですが……ゼーレンに限って言えばそれは面白い発想ですな!! ほうほう、もう少し話すですぞ!!」


 ザメックさんだけが目を丸くし、興奮したように私に続きを要求し始めた。


「お、おい、ザメック……どういうことだ?」


 えーっと。こんなもんでいいですか、リディアさん? 私が視線で合図を送ると、リディアさんが一瞬ウインクして、一言。


「ゼーレンに限って言えば、ってことは~ つまり支部長だね?」


「そうですぞ、リディア嬢! ゲルド支部長は放出された魔力を自分のものとして使うことができるのですぞ! 条件は一応あるのですが、原理自体は支部長が強化人間となり、能力を行使できるようになってから研究させてもらっているので解明できているのですぞ! だから、それを応用して防壁システムを組み直せば対応できるのですぞ!」


「ま、マジかよ!?」


 え、ザメックさん凄くない? いや、まあ、私から見ればザメックさんは王国から追われるぐらいには凄い人だというのが裏付けされただけなんだけども。


「ですが問題はあるのですぞ。改修するのに3日間はかかるのですぞ。この時間を稼ぐのをどうするかなのですぞ。もう発射台は作り始めてるわけですから、時間は3日もないと見るのが定石ですぞ……」


 3日!? え、見積りだすのも早くないですか!?


「ザメック博士。その。私が口を出すのはと思いますが。3日はいささか早すぎませんか?」


 やはりその点はセシリアさんも気になったようで口を挟み始めた。するとザメックさんはふむふむと理解を示しながら丁寧に説明を始めた。


「既存の城壁のシステムの改修だけですからな。具体的には必要な魔石の調達と魔力ケーブルの配線直し、あとは城壁自体に魔石を砕いて作った魔道インクを使った魔法陣の描写だけですぞ。どうですかな?」


 そう言われたセシリアさんは天井を見上げながら1つ1つ指折り確認を始めた。


「魔石の調達は戦時として普段から備蓄はありますよね。ケーブル配線の直し……これは配線図を配って全員で手分けすれば3日というのには納得感はあります。魔法陣の描写も大きさ次第ではありますが……全部並行してできれば、確かに……」


「配備に関しては我々防衛隊の指揮系統を信じろ。」


「これは失礼いたしました!」


「いや、不安になるのは仕方がないさ。3日か……結構長いな。もう近くまで来てるんだろ?」


 そう言ったカイさんに対して、リディアさんが手をポンと叩いて明るく反応した。


「それに関してはさ、良い方法があるんだよね。」


「なんだよ、リディア。」


 反応したカイさんに対してちょっと悪い笑顔を見せるリディアさん……


「あのさ。2つ以上作戦を実行してる時に、1つの作戦が上手くいったらもう1つの作戦は確実に成功させるためにじっくりやろうと思わない?」


「……まあ、なるな。」


「それやるの!」


「どういうことだい、リディア。」


「……まさか……」


 リディアさんの思い付きのような一言で一気に混乱するカイさんとトーマスさん。一方、リディアさんの企みに察しがついてしまった様子のセシリアさん。

 ……つまり、リディアさんが提示しようとしている内容というのは、スパイとかそういう類の人が良く提案するような案なんですね……?

 セシリアさんの反応でそれを察してしまう私もどうかと思う……


「リディア。それについては説明を求めるわ。」


 あ、エリアーナさんがこっちを見てる……声の感じが、さっきまでと違って平坦だから、薬が効いてきたのかな。目も、さっきまでと違ってどこか虚ろに見える。いや、感情を感じない、なのかな……? さっきまでがギラギラしてたからその対比でそう見えるだけかもしれない。


「ああ、ごめんごめん。あのさ、敵の作戦がさ、多分本命は崖上っぽいのまでは突き止めてたんだよね。その上で、囮みたいにゼーレンの城壁前に陣を立てる作戦があるみたいで。それで支部長に『敵が近くまで来てる』って簡単に報告したんだよ。」


「なるほど。確かに敵が近くまで来ていることに違いないわね。つまり。貴方の作戦はこう。相手と正々堂々とゼーレンの城壁前の軍勢と戦う。崖上は見てみないふり。こうすることでじっくり崖上の作戦を実行させる。」


「そう!」


「理にはかなってる。ただ、それで3日間稼げるかどうかは賭け。ただ、一度正々堂々と戦うのはあり。その手ごたえで考えるべきね。」


 う、うーん。実際にそうだよね……リディアさんは大丈夫と思って言ったことなんだろうけど……改修に3日必要なこと、これを稼げる自信がリディアさんはあるというけど本当に大丈夫かは別問題……


「それは大丈夫だと思うよ。正面任された隊長さんはさ、割と話が分かりそうな人だから……一度ドーンとぶつかる時にさ、主力で行こうよ! そうすれば嫌になって上層部ともめてくれるだろうから少し時間稼げるし!」


 あの~ リディアさん。それは私もちょっと理解が追い付きません……というか、理解が追い付けないことが多くてそろそろ不審がられますよ? そう心の中で突っ込んでいると、やっぱりカイさんも理解できなかったようで



「話が分かりそうな人だから嫌になって上層部ともめる? どういうことだよ?」


 解説をきちんと求めてくれた。助かる。


「え? カイさ、相手の方が戦う理由があるって思いながら戦うの嫌でしょ? 相手の正面に来る隊長さんもそういう人っぽいんだよね。カイだったらそういう人、どう相手にすればいいか得意だよね?」


「得意っていう言い方なんだよ。まあ、相手がそもそも嫌がってるのか……そういうことならまあ……武人なんだな?」


「多分。」


 その多分、を聞いてカイさんはうーんと腕組みをして考え込んだ。

 少しして、カイさんは顔をあげてリディアさんに答えた。


「……んなら戦場できちんと剣交えて話すか。そっちの方が早え。」


「野蛮だね。」


 その回答を即座にトーマスさんがぶった切った。うん。私もちょっと野蛮だと思う。でも私は戦場に出ないし、戦場の流儀ってのがあるなら、それに倣えばいいんじゃないとも思うからカイさんの現場判断が正しいとリディアさんが思ったんなら、いいんじゃないかなって思っちゃった。……ここで少し、引っかかった。

 なんか今日の私。リディアさんの意見に引っ張られすぎてない? 神託の影響? まさか。


「うるせぇーな。戦う理由が理屈にさせられてる人間にはな、それより上の理屈背負ってる人間がぶつかってぶっ壊した方が早えんだよ。」


 そのカイさんの言葉にまたトーマスさんがぼやこうとした次の瞬間だった。


「みんなで方針を決めてくれるのは助かる。わかった。支部長が戻り次第、私から全員の総意として決定したことを伝えるわ。」


 エリアーナさんが少しふらつきながらもベッドから起き上がる。そして背筋を伸ばして立った。その様子を見て、その場にいた全員がエリアーナさんの方へと体を向けた。


「ザメック。先ほどの防壁システムの改修。すぐに取り掛かりなさい。」


「わかったですぞ! 徹夜してでもやってみせるのですぞ!」


「カイ、出撃準備を。正面に敵が現れ次第、貴方を中心に出るから入念に。」


「おう。わかった。」


「トーマス。リディアが掴んだ情報はその隊長を使いつぶすために嘘を吹き込まれた可能性もある。他の方向からの奇襲がないかを警戒させなさい。もっとも。ゼーレンの地形的に難しいとは思うから正面が囮作戦の本命であり、偽る必要性すらないとは思うけれど。」


「わかったよ。指示は出しておこう。」


「セシリア。万が一、城門突破する敵兵がいた場合に市街戦になるのを避けるため、ダリルに臨戦態勢を取るように伝えて。ただ、過度な反応をするほどでもない……動くのは貴方の小隊規模で動かすこと。貴方の小隊に第二区画の防衛主導権を一時的に付与します。ダリルと相談をしながら、これを使って上手く動くこと。良いわね。」


「かしこまりました。しかし、本当に私でよろしいのですか?」


「今回の作戦、貴方がいなければ考案すらされなかった。この任務での貴方の動き次第で、貴方には重要な役目を与えてもよい。その試金石にさせて欲しい。」


「そういう事でしたら……謹んでお受けいたします。」


「あれ? エリアーナ。第二区画は私……」


「貴方が担当の第二区画は崖上の連中の動向を観察させつつ、ザメックを手伝わせなさい。第四区画を万が一の多方面への対応任務に回す以上、ザメックの援護は第二区画の人間が適任。一番そうした土木作業も慣れてる。」


「いや、まあ、わかるけど。私は?」


「貴方には個別指示。いったんここで待機。」


「え? 今、指示頂戴よ?」


「だめ。貴方はここで待機。後で指示を出すわ。以上。指示通りに各自行動を。」


 ふてくされるリディアさんを置いて、全員が個別に動き始める……うん? よく考えたら私も待機になってないこれ!?


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