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第28話 陰日向者は悪友にすがりつきたい

《七夕祭りから3日後の 7月10日 黎明高校》


「ふぁ~、(眠い。最近はろくに眠れん。それもこれもアイツ等のせいだ)」



(光~、今日も一緒に居てあげるわ.。だから今日という今日は私と……)


(させないわよ。葵さん。そんなの高校生ではまだ早いもの)


(は、離しなさいっ! 彩葉ちゃん。元はといえば彩葉ちゃんが私と光のロマンチックな夜を邪魔したのが悪いんでしょう?)


(あんな一方的な行為。弱った光君を襲って◯◯◯しようとしただけじゃない。そして、これから貴女が行おうとしてる事も七夕祭りの時のそれでしょう? 親友が目の前で変態《葵》さんに変な事をされていれば止めるのは当然な事だと思うのだけど? 違うかしら?)


(ぐにゅぬぬっ! そ、そんな言い方しなくても良いじゃない。私だって自分の気持ちが抑えきれなくなって暴走しちゃったのに)


(そんな事よりお前等っ! 夜中に何つう格好で俺の部屋にやって来たんだよ? 恥ずかしくないのか?)


(恥ずかしい? 何を言ってるのよ。これはランジェリー、アンタに見せる為に着てきたのよ。光~)

(恥ずかしい? 何を言ってるのかしら? これはランジェリー。ちゃんとした女の子様の寝巻きよ。光君)


(い、いいから。パジャマでもTシャツで着て部屋に帰れ。つうか葵はそんな下着持ってなかったろう? それに彩葉。お前。神社の巫女のくになんつうエロい下着着けてんだ……くぅぅ! そんな姿見せられたらまともに夜も眠れ……ウッ!)


(あー、光~! 大丈夫? また鼻血出てるじゃない……七夕祭りの続きする?)

(光君。誘惑に負けては駄目よ。今の葵さんは何かに取り憑かれているの。しっかり誘惑に打ち勝ちなさい)


(……俺に抱き付くな2人と……適切な距離を取って。さっさと寝ろ……)



 あの七夕祭り以来。俺達3人の変な関係が誕生してしまった。


 秋月神社の展望台の一件以来。暴走し始めた幼馴染みの葵が夜な夜も俺の部屋に来るようになり。


 その暴走を止める為に秋月神社の管理者の娘にして俺の親友の彩葉いろはが葵の部屋に住むようになった。


 そして、俺はあの2人が夜も夜もハレンチな姿でやって来る為、夜は興奮してまともに眠れなくなっている。


「はぁ~、このままじゃあ色々と不味い。葵とどこかで一線を越えかねんし。それに巻き込んで親友を毒牙にかけてしまうかもしれん」


「ほう? 珍しいではないか。あのビッチギャルの事でそれ程にお前が悩んでいるとはな。我が親友たる汐崎 光よ」


 この声は……俺の悪友。五月女さおとめ喜一きいちか。なんか久しぶりに会話する気がするな。


「……喜一きいちか。何かようか? まさか昔みたいに連日女の子を紹介してやるとか? 勘弁しろよ。今、葵の奴がそんな光景見たりでもしたら夜ガン詰めされるんだからな」


「む? 何をそんなに警戒しておるのだ? 我はただ苦しそうな顔をしている貴様に話しかけただけだぞ?……ふむ。何やら疲れきった顔をしておるな。光よ」


 ……コイツ。振る舞いは大馬鹿なんだけど。人の状態を見る眼は本当に本物なんだよな。


 本人いわく〖女の子達をずっとでてたらしてたら観察眼に開眼したわ〗とか言ってたけど。どんな忍者の世界の住人だよ。たくっ!


「…………相当疲れているようだな。どれ。今日は家にでも遊びに来ぬか? 我が妹も久しぶりに光に会いたがっておるしな」


 いつもの演技がかった口調ではない。俺を純粋に心配してれる声だった。


 喜一きいちはいつもそうだ。俺が落ち込んでいる時に直ぐにやって来て励ましたり。冗談を言って俺を気遣ってくれる良い奴だ。


「でもな。俺、着替えてとか学校に持って来てないぞ。それなのにいきなり泊まって行けだなんて無理だろう」


「ハハハ! 何を言っておる。我が家は貧乏ながらに旅館経営を営んでおる。部屋や服など腐る程置いたあるわ」


 あー、そういえば喜一の家って結構でかい老舗しにせの旅館だったんだよな。


 しかし本人は貧乏ながらとか言っているが……絶対に嘘だよな。昔から羽振り良いの変わってないし。


「まあ、泊まって行くまではしなくとも我が実家で温泉と馳走は食って行けよ。親友……本当に疲れ切った顔をしておる。何かに取り憑かれてる様だぞ。光よ。何か罰が当たる様な事をしたのではないか? ん? 心当たりはないのか?」


「罰当たりな事?……」


 俺は最近の事や秋月神社での葵とのハレンチなやり取りの数々を走馬灯の様に思い出し。鼻血を吹き出しそうになった。


「……思い当たる事が有りすぎて数え切れん」


「ふむ。ならばそれだな。夏は妖怪や悪霊に出くわしやすいと聞く。とくに夏祭りなど人が集まる場所にはな。とくにここ黎明市は神聖な場所たる秋月神社がある。もしもそんな場所で七夕祭りの日に如何いかがわしい事などしておれば織姫様の怒りを買うかもしれんな」


 喜一きいちはスマホを操作するとこの黎明市の伝承記録があるページを俺に見せて来た。


「……七夕祭りにもしも彦星と織姫の交わりを邪魔した場合。邪魔した者に天罰が下るだろう?……邪魔した者に天罰なのか? ハレンチな行為をしそうになった方じゃなくて?」


 普通こういう天罰というやつは可笑しな行動をおかした奴等に行くもんじゃないのか?


「その土地の地域によるだろうな。日本には八百万やおよろず。数百万の神が住んでおる。それ程の神々がいれば考え方も多種多様だろうに……光の話から推測するに七夕祭りの日に何かあったようだな」


「いや。それはだな……喜一」


「何も述べずとも良い良い。どうせあのギャルビッチもどきが元凶なのだろう? 我が親友たる光を害をなすギャルビッチの?」


 ……喜一の顔が邪悪な表情になっている。葵とコイツの間に本当に何があったんだろうか? どんだけ嫌い合ってんだよ。コイツ等。


「……にわかにには信じがたいが。思い当たる節が有りすぎる。しかし喜一に見せてもらった黎明伝承を読むと俺とあと1人は取り憑かれていないんだよな。そうすると後から来たアイツが何かに取り憑かれてるって事になるのか?」


「ふむ。怪談ではよくある話の落ちだな。周りが可笑おかしい者ばかりかと思っていたら物語の主人公が実は可笑しい元凶だったという落ちだ……名前は聞かぬが。その元凶からは少し距離を取った方が良いぞ。光よ。我の憶測だが七夕祭りの日に出来なかった行為を最後まで完遂せぬとずっと近くに張り付いているのではないか?」


「……ずっと近くに張り付いている?」


 喜一のその言葉を聞いて思い出したのは彼女の言葉だった。


〖……まだ。居るのかしら? 仕方ないわ。今日から暫く葵さんの家に泊まって貴方達を監視するわね。秋月神社の今後の為にも〗


〖〖はい? 俺(私)達の監視? 何で?〗〗


〖不純が起きらないか見る為よ。覚悟しなさい。光君。フフフ〗


 七夕祭りが終わった次の朝、俺は別に普段と何も変わっていなかった。葵も暴走気味だったが普段の活発的な葵で。彩葉は……普段とは全く違う喋り方方だった様な?


「あの時に葵から出ていった何かがそのままアイツに乗り移ったのか? それでそのまま俺と葵の側に居座ってる?」


「ほうほう。思い当たる節の元凶が何たるかが分かってきたのだな。ならば対処法もより簡単になっていくわ」


「対処法? そんなもんがあるのか? 喜一」


「うむ。我が旅館は神聖な旅館でもあってな。温泉は古くから、みそぎ湯垢離ゆごり等と言うものもある……その清めし身体の状態で取り憑かれてる者に近付けばえるのではないか? その眠れぬ元凶とやらを?」


 ……現在。何ともオカルト的でぶっ飛んだ話をされている。普段の俺ならそんなの信じるわけもなく聞き流すんだが。


 実際に夜な夜な変な奴等は俺を訪ねて珍騒動を起こしてくる。たしか七夕祭りの日俺と葵は相当罰当たりな事をしただろうし。いや、つうかしたな……それに巻き込む形で親友の彩葉が変なのに取り憑かれてるなんて知ったら。


 対処しなければならないんだよな……つうか本当にオカルトチックだな。


 ここ黎明市はたしかに秋月神社や早乙女旅館みたいなパワースポット的な場所が多いがまさか本当に取り憑かれてるとかそういう話になるとは思わなかった。


 これも俺が軽率な行動で秋月神社の展望台で葵に今までの疎遠になっていた事を謝ろうとしたのが原因だしな。


 ここは喜一の誘いを受け入れ温泉で身体を清めて彩葉の前に立って見るとするかな。


「決めた。今日は喜一の家に温泉入りに行くわ」


「ほうっ! それは英断だな。我が家族も久しぶりに光に会えるとなると喜ぶであろうよ。フハハハハ!」


 喜一は笑いながら手に持っていた扇子せんすを広げ高笑いをし始めた……どこの悪代官だよ。お前は。



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