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第25話 七夕の夜は幼馴染み同士で

 午前中。七宮ショッピングモールで葵の着物の着付けに必要な帯を買った後帰宅し解散した。


 その後俺は午後からは織姫家で葵の誕生日パーティーに参加し。葵は汐崎家と織姫家の家族から沢山の誕生日プレゼントを貰っていた。


 これは汐崎家と織姫家の決まりごとみたいなもので。どちらかの家族の誕生日の際は両家揃って誕生日パーティーを開くんだが。


 俺と葵は疎遠だった2年間。どちらの誕生日パーティーもなにかと理由をつけて欠席していた。


 思春期特有の気まずさだろうか? そんな意味不明な理由でお互いに距離を置いていたんだ。


 それを知ってか知らずか。俺達のお互いの家族も俺と葵については。この疎遠になっていた2年間になにも言っては来なかったな……


《織姫家》


「は~い! 出来たわよ。葵ちゃん。素敵よ~! 可愛いわ。これでなびかない男の子なんていないわね」


「ありがとう。優奈お姉ちゃん……どう? 似合ってるかな? 光」


 別の部屋で優奈姉さんに浴衣の着付けをしてもらっていた様だ。恥ずかしいそうな表情で俺を見詰める葵。可愛らしい。


 自分の部屋で浴衣に着替えて葵が浴衣に着替えて終えるのを待ってた。


「あ、ああっ! 凄く似合ってる。さっき買った青色の帯もな」


「エヘヘ//// 本当に?! ありがとう。光~!」


 明るい金髪に黄色の向日葵ひまわり刺繍ししゅうが施された浴衣ゆかたに青色の帯がマッチして、普段から可愛い葵の魅力を更に引き出している。


 あのその姿を見て俺はドキドキしていた。高校2年生になって本当に大人びてきたこの娘に俺は最近ずっと振り回されているな。


「フフフ。良いわね。その光君の反応。ほらほら。もう夕方だし2人で秋月神社に行ってきなさいな。急いだ。急いだ。行ってらっしゃいね。2人共~」


 優奈姉さんは俺と葵の背中を押すと玄関口へと向かわせた。


「は。はいっ! 優奈お姉ちゃん……じゃあ行こっか。光」


「だな。短冊を飾りに秋月神社の七夕祭りに……葵」


《秋月神社》


 物心付く頃にはお互いの両親に連れられてこの神社に来ていたのを今でも良く覚えている。


 小学校高学年になった頃からは葵と2人きりで来る様になった秋月神社に。


 2年前のあの夏の日までは毎年のようにここへと来ていたんだよな。


 そして、また話すようになったこの夏の日。二年ぶりに葵と2人きりでこの神社へと訪れる事になるなんて思いもしなかったな。


「なんか。久しぶりよね。2人でここに来るの」


「それは俺も思ってた……二年振りの秋月神社か」


「……うん。2年も光との大切な時間を無駄にしちゃったわ」


 葵はそう言うと迷子にならない様にと握って繋いでいた右手に力を込めた。


 その込められた力は俺の右手に伝わり。葵は俺と疎遠になった事を後悔しているんだと伝わって来た。


「でもまた一緒に来れただろう? 過去を惜しむんじゃなくて明日を見ようぜ。葵」


「何それ? 誰の受け入れよ?」


「朝、テレビで見た朝ドラの主人公が言ってた台詞だな」


「………おバカ。ネタバレしないでよ。少し光の言葉に感動してたのに……光は本当におバカさんなんだから。女の子の情緒じょうちょとかちゃんと考えなさいよね。そんなんじゃモテないわよ」


 それを聞いた葵はクスッと笑うと俺のオデコに手を乗せた。チョップのつもりなんだろうか?


「自覚してるつうの。葵にも毎日、顔が悪いって言われてるしな。俺はモテないことぐらいな」


「は、はぁー? アンタ。本当にそう思ってるの? そんな無自覚じゃあ。そのうち本当に肉食系女子に美味しく食べられちゃうわよ」


「いや。七宮さんはどう見ても肉食系女子じゃないだろう。あんなおしとやか女の子がさ」


「だ、誰が雪乃ゆきのの話しなんて言ったのよ。私はアンタの貞操ていそうの心配をしてあげてるの。この朴念仁ぼくねんじん。アンタ。まだ雪乃の本性に気づいてないわけ?」


 葵の奴は何を怒り始めてんだ? 肉食系女子なんて常に隣に居るだろう。葵と言うなの肉食系女子がな……それに七宮さんは清楚可憐だろうに。

 

「それよりは早く秋月神社の境内けいだいにある笹竹ささたけに短冊を飾りに行こうぜ。花火もそろそろ始まる頃だしさ。急がないとな」


「あっ! ちょっと待ってよっ! 何でそんなに急ぐのよ。屋台は? りんご飴食べましょうよ」


「いや。境内に行くのが先だ。じゃないと間に合わないかもしれないからな」


「……間に合わない? 何それ?」


 俺は葵の右手を強く引っ張ると秋月神社の境内へと歩き出した。


《秋月神社 境内》


「ちょっとっ! ここ関係者意外立ち入り禁止ってなってるわよ? 入っちゃって良いわけ?」


「ああ。許可はもらってる。それにこっちから入った方が笹竹が飾ってある場所に早くつけるからな」


 無理矢理連れて来られたせいか葵は少し不機嫌気味だ。だが。そんな事よりも今はあの場所を目指して急がなければならないんだ。


 そして、少し進んだ場所に入ると奥に七夕祭り様に用意された巨大な笹竹ささたけが飾られている部屋へと辿たどり着いた。


「……許可って誰のよ?」


「ん? ああ、それはだな……」


「それは私よ。織姫さん」


「へ?……てっ! キャアア!! 誰?……てっ! 彩葉いろはちゃんじゃない? 何でここに? それに何で巫女服なんて着てるのよ」


 笹の葉を持ち巫女服衣装に身を包んだ秋月 彩葉がスゥーと俺達の前に現れた。いや。俺は彩葉が最初っから待機してある事を知っていたから驚きはしなくったが。


「何でって。ここは私の実家だもの」


「彩葉ちゃんの実家?……あっ! 秋月神社の秋月って……」


「そう。うちの家が管理しているのよ。それよりも。はい。短冊とペンよ……2人分あるからこれに願い事を書くと良いわ。それと光君。預かってた物を返すわね」


 彩葉は俺と葵に笹竹に結ぶ為の短冊とペンを渡して来た。それにプラスして俺には大きなリュックも。


「サンキュー、彩葉。助かった」


「ええ。じゃあ約束通りに後日。ディスティニーでフルーツジャンボパフェを奢りなさいね。約束よ」


「あ、ああ……お前もあの超カロリーのパフェを食えるのか? 凄いな」


 俺は数日前。とあるお願いとある物を彩葉にお願いしていた。それを時間内通りに取りに来る為に急いでここへとやって来たわけだ。


「……短冊とペンは分かるけど。何よその大荷物は? 何入ってるのよ?」


「まだ。秘密だ。それよりも短冊に願い事書こうぜ。日付が変わる前にさ。葵」


「まだ秘密?……変な光ね。でもそうね。願い事ちゃんと書かないと織姫と彦星ひこぼしがちゃんと会えないものね」


「そうだな。今日の夜は……七夕の日は織姫と彦星が一年に一度会える特別な日だからな」


 俺はそう言うと短冊に今年の願い事を書き始めた。


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