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第24話 陰日向者のドン引き

「光が私のあそこに付いたクリームなめるから店員さん起こられちゃったじゃい」


「おいっ! 変な言い回しで言うのは止めろ。葵。卑猥ひわいに聞こえるだろうが。ただお前の鼻に付いたクリームを俺が手で取ってなめただけだろう」


「まだ恋人でもないのになんでそんな事するのよ。アホ。2年前のみたいな事を平気でしちゃうなんて。本当に光は昔から恥ずかしい事を私に平気でするんだからっ! もうっ! そういう所本当に昔と変わらないんだから」


「済まん。悪かった。葵」


「ふっふんっ! 分かればい良いのよ。分かれば……」


 はぅあ?! な、なによ。その雨に濡れな子犬みたいな目は? そ、そんな目で見られたらどんな女の子でもイチコロで落ちちゃうじゃない。光っ! 


「……そろそろ。店出るか。昼過ぎまでに浴衣の帯買わないといけないし。家に帰って夜の準備もあるしな。行こうか」


「え、ええ。分かったわ。会計は別々で良いわよね? 光」


 さっきのフルーツジャンボパフェ。何気なにげに結構高かったのよね。それを2つも食べちゃったから今月のお小遣いピンチだし。


「いや。もう先に払っといたぞ。それよりも早く帯買いに行こう。午後は織姫家で葵の誕生パーティー開いてくれるんだろう? 間に合わなくなるぞ」


 光は店の出口を指差すと立ち上がって歩き始めた。


「へ? 払ってくれたの? いつの間に」


「葵がカロリー摂取に夢中になってる時だ」


「だ、誰が夢中になってるですってっ! 誰がっ!……でも奢ってくれてありがとう。光」


「いや。別に大量にあるヘイヘイぽいだから気にするな」


 うぅ~、この出来る男は行動が早いのよ。行動が。私には優しいし、顔も綺麗だし、身体もスラッとして引き締まってる。


 私が最近、過度なスキンシップをしても怒んないし。うぅ~//// 光~! なんでそんなに良い男の子に成長してるのよ~!


 それになんでそんなにポイント持ってるのよ。私のドストライクで財力まで持ってるなんてどこのチートよ。チーターよ。


 ……でも光みたいに何かアルバイトでも始めようかしら? 流石に貢がれるだけの女なんて恥ずかしいもの。そうだ光に聞いてみようかしら。


「ね、ねえ? 光。私も光みたいにアルバイトをしてお小遣い稼ごうかなとか思ってるんだけど。何が良いと思う?」


「葵がバイト?……何のバイトをやるつもり何だ? (まさかパパ活やら援助何チャラじゃないだろうか? いや。葵は結構頭の中天然お花畑の所があるから。悪いギャルの知り合いに騙される可能性も無きにしもあらずなんだよな)」


「ん~……ファミレスのウェイトレスとか洋服の店員さんとかの接客業とか? 後はファション系かお化粧関係のアルバイトも気になってるかも~」


「………葵が接客業? (おいおい。そんなのめちゃくちゃ可愛いお前がナンパされて美味しく頂かられるだろうがっ! 葵の事だから誘われれば断り切れずそのままどこかのカラオケ店で……喰われる)」


 なんか光の奴。私を見て百面相ひゃくめんそうしてるですけど。これって絶体私の事を小馬鹿にしてある時にする顔なんですけど。


「ねえ? 光はどうすれば良いと思う?」


「葵はファション系のバイトもしてみたいんだよな?」


「うん。そういうのなら私自身の勉強にもなるのよね。だからいちを興味はあるわ」


 それで私が可愛くなれば光がもっと褒めてくれるしね。一石二鳥よっ!


「確か有栖川の専属カメラマンの霞鬼かきさんが有栖川の専属スタッフのバイトを探していたんだよな」


「へ? カレンの? それって何のアルバイトなの?」


「メイク係だな……今度有栖川と霞鬼さんに合った時にでも葵がそのバイトをできないか相談してみるか」


 ……何? この急展開。そんなこと普通起こる?


「えっと……良いの? 素人の私がそんなアルバイトしちゃって?」


「ん~? 良いじゃないか? 別に。有栖川も仕事中に話しやすい友達が居てくれた方が安心するだろうしな。俺も葵が近くでバイトしてくれていれば監…安心出来るしな」


 光の奴。さっき私を監視出来るしとか言いそうになってなかったかしら? 気のせいかしら?


「そ、そうっ! そうね。確かに光やカレンが近くに居てくれれば私も変なトラブルとかに巻き込まれないでアルバイト出来るわね。ありがとう。光。アンタにアルバイトの件お願いするわ」


 私がトップアイドルのカレンのメイク係のアルバイト? なんでそんな超展開に発展するのよ。葵ちゃんビックリよっ!


「ああ、任せろっと。そう話している間に付いたな呉服店。あんまり来ない場所だから探すのに時間掛かったな。葵。入ろうか。浴衣用の帯買うんだろう?」


「え? ええ。そうね。光にお任せるわ。うんっ!」


 私はアルバイトの事で頭がいっぱいになっていて光の話がや全く届いていなかったから曖昧な返事を光にしてしまったわ。


「……なんで帯選びまで俺が決めるんだよ」


 光はちょっと呆れた冷たい目線で私を見詰めていてるわ……少し興奮しちゃうからその目っ!ゾクゾクするから止めて光~! 


《呉服店 雅》


「いらっしゃいませ……あら? お若いカップルさん達ですね。白無垢しろむくのレンタルですか? 最近はウェディングドレスが主流なんであまり着る方々がいないんですよ」


 呉服店に入ると物腰が柔らかそうな二十代後半位の着物きものを着た女の人が私達に話しかけて来た。


 ていうか。白無垢しろむくって何の事かしら?


「いえ。結婚衣装のレンタルじゃなくて。夏の浴衣用の帯を買いに着たんです」


「なっ?! 結婚衣装のレンタル?!

何それ? ていうか。なんで白無垢しろむくが結婚衣装のレンタルの事だって光は知ってるのよ」


「……たまに調べるんだよ。たまにな。近い将来そういう事があるかもしれないだろう?……色々とさ」


 光は恥ずかしそうな顔で私の方を一瞬見たわ。何この反応……もしかして光。私と将来そんな関係になる事を考えて色々と調べているって事なの? 気、気が早すぎるわよっ! 光~、幾ら中3まで一緒にお風呂に入ってたからって気が~!


「ウフフ。仲宜しいんですね。羨ましいです。夏の浴衣の色は色ですか? 写真か何かございましたら。それに合う帯を幾つか持ってきますので見せて来ますよ」


「写真ですか。葵。そういえば。さっき家から出る前に浴衣を羽織はおっって着れるか試して写真とか撮ってたよな? 店員さんに浴衣の写真見せてあげてくれよ」


「う、うん。分かったわ。光」


 私はスマホを取り出すと。画像アプリの中にあるストレージを開いて、朝撮ったばかりの画像欄がぞうらんをタスクし始めたわ。


 その仕草しぐさを光は私のスマホをボーッと見詰めながら見ていた。いつもの光の癖ね。暇な時は私を見詰めてくれているの。ていうか。いつも私だけを見ていなさい。光。


「(暇だな……午後は葵の誕生パーティーで夜は葵と秋月神社で七夕祭りか。今日は葵とずっと一緒か。いや、最近は常にずっと一緒にいるな。さっきからスクロールしている写真にも葵とのツーショットばかり写って……)……写って?……葵。何だその俺が丸裸で寝てる写真は? それになんで葵の方は制服で俺に股がってるんだ?」


「へ? な、何よ? 何か変な写真あったかしら?」


 まじゅいっ! 間違えて葵ちゃん秘蔵コレクションのストレージを開いていたわ。


 これは長年に渡って私が少しずつ集めていた。光成長記録画像。本人には絶体見られるわけにはいかないのに。迂闊うかつだったわ。


「こ、これは最近撮り始めたの。光の寝顔を撮り始めた写真なだけよっ! ほらっ! 見なさいよっ! 最近の写真ばかりでしょう?」


 私は慌てて光成長記録写真を古い写真がある下の方へとスクロールして、光へと見せた。


「ちょっと待て……なんで俺の中3や高1の頃によく着ていた寝間着まで写ってるんだ? そして、なんでお前は何も付けてない状態で俺の上に股がって嬉しそうな顔で自撮りしてんだ?……葵。お前まさか疎遠になってた頃も俺が寝ている間に俺の部屋に侵入して変な写真を撮ってたのか?」


「……店員さん。夏の浴衣こんな色なんですけど。これと合う色の帯選んでくれますか~」


 私は光の全ての言葉を無視して店員さんに家で試しに着ていた着物の写真を見せたわ。


「は、はい。こちらの色ですね。少々お待ち下さいね……(最近のお若い男女って進んでるのね。たくましいわ)」


 店員さんは微笑ましげに私達を交互に見詰めて店の奥へと入って行ったわ。


「お、おい。葵。俺の話を無視するな。お前。まさか小さい頃からずっと俺の部屋に侵入して写真たか撮ってたのか? いや。それどころか疎遠になってる間もずっと撮ってたのか?」


「……ノーコメントよ」


 そう。光のその質問には絶対に応えられない。それに応えれば光は私にドン引きする未来しか待っていないわ。


「昔から首元に何かに噛まれたあととかあったんだよ。それももしかしてお前が?」


「…………ノーコメントよ」


 そうね。あの日とかあの日は欲望に耐えきれなかったわ。


「昔から起きたらパンツ一丁の時があったが。もしかしてそれもお前の仕業か?」


「………………ノーコメントよ」


 そうね。日々、光の身体に何かないか身体チェックは欠かさなかったわね。勿論、一線は越えてないからセーフね。


「夏場は良くシーツがずぶ濡れだったのもお前が俺にくっ付いて添い寝してたからか?」


「…………………ノーコメントよ」


 そうね。昔から良く光を抱き枕にして寝るのが私のアイデンティティーだったわ。勿論、一線は越えてないから安心しなさい。


「葵……お前」


 光がドン引きした表情で私を見詰めているわ……わ、分かってるわ。幾ら幼馴染みの関係だってそこまでしたらドン引きされるくらい。


 で、でも自分の欲望には耐えられない。織姫 葵はそういう女の子なんだものっ! 仕方ないわ。


「な、何かしら? 光」


「スマホの中に眠る俺の寝てる写真を全て消すんだ。そうすればこの話しはオバサン《葵のお母さん》には黙っておいといてやる」


「嫌よ。それに無理よ。長年の夜な夜なの連写撮影で何百万枚もある私の大切なコレクションよ。絶対に消さないんだから。これは私と光の大切な思い出の成長記録なんだから。消さないったら消さないわ」


「……何百万枚? 葵。お前どんだけ俺の部屋侵入して来たんだ?」


 私は涙ながらに訴える。私の大切な写真コレクションを消せだなんて。そんな不条理許されるわけがないわ。


 光はおもむろに私に近づき始めた。


「な、なによっ! 文句あるの? 私はそれくらい光の事が……」


「お、おいっ! 何するんだっ! 葵。なんでいきなり抱き付いてっ! ここお店の中だぞっ!」


 私は自分の本能に従って光の両肩に両手を乗せたわ。こうなったらやけよ。ここで光の全てを頂いて。強制ハッピーエンドに持ち込んで……


「お、御客様。仲良くされるのは宜しいことですが店内なのでお止めください……浴衣の帯お持ちしました」


「は、はいっ! 失礼しました。店員さん。葵、暴走するな。落ち着け。ハウス。そして、選べどの帯が良いかな。ほれ。選べっ! じゃないとお前をらしめるぞ」


「ふぎゅっ! ひ、光。な、何するのよ。なんで私の顔を片手で抑えるのよっ!……あ、青色の帯っ! 私、青色が好きだし。あの浴衣には青色が似合うってママも言ってたから青色でお願いします。店員さん。これでお願いします」


 光は私を抑え込むと。強制的にどの帯が良いか選ばせたわ。こんなのDVよ。絶対に責任とらせるんだからね。光~!


「青色ですか。うんうん。そうですねさっきの写真ともマッチしてますし。彼氏さんもこちらで宜しいですか?」


「彼氏さん……は、はい。彼女《葵》がそれで良いならそれでお願いします。(葵の奴。やっぱり白色じゃなくて青色が好きなんだな。良くはいてる下着も青色が多い。やっぱり青色なのか)……じゃあ支払いはこれで」


 て、店員さんの彼氏発言は完全スルーなの? それで良いの? 光?


「はい。畏まりました。ありがとうございます。包装しますので少々お待ち下さい」


 店員さんはカウンターで私が選んだ帯を高そうな箱に梱包して包装までし始めた。


「ね、ねえ? 光。あれって結構高いんじゃないの? 大丈夫? 私お金払えるかな?」


「……お金はさっき払ったから良い。それと葵。あの写真の件だけどな」


「な、何? 写真なら一生懸命消さないからね。私の部屋のパソコンにも保存してあるし。USBにもコピーだってしてあるんだから」


「そんなに頑丈にしてんのかよ……」


「ひ、光? ど、どうしたのよ。いったい?」


 光は私の耳元に顔を寄せると────


「……俺意外の奴にそんな事やったら本当に捕まるから止めとけよな。葵……幼馴染みで可愛いから許すけど。あんまりお痛は止めとけよ」


 そう言って私の頭を優しく撫でてくれた。


「ひ、光…う、うん。わ、私。光意外には絶対にやらないわ。約束する」


「そうか……なら良かった」


 そして、光はなんでか安堵した表情で私のほほを撫でくれた。

 

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