No.2の実力
「ユニークジョブが機能していない…」
この世界でいくら傷を負っても、現実世界の体に影響が無ければ痛みはない。それでも、私は立ち上がる事ができなかった。ユニークジョブの事に浮かれて、自分が如何に軽率な考えに至ったかを、今の一撃で痛感させられた…
「そう。今のでわかったやろけど、ユニークジョブはポンポン使える品やない。」
観客席からフィールドへと降り立ったジョーカーはゆっくりと身構えた。彼女の元に猛突進してくるモンスター…
「ええか。よう見とけ…」
左手足を少し前にし、右手足を少し引いた状態で構えるジョーカー。素人目から見ても綺麗な体勢…思わず見入ってしまう。すると突然、ジョーカーの頭上に光が発生し、そこから、チャリンと音を立てて、500円玉程の大きさをした金色のコインが落ちてきた。
クルリクルリと回転しているコインが、ジョーカーの右手、手元で静止する。突進してくるモンスターをじっと見つめ、タイミングを見計っている様子だったジョーカーがついに動き出した。
引いた右手をコインめがけ、風を切るような速さで振り抜いた。ジョーカーは右手がコインに当たるタイミングで腕を左へひねり、更なる力を加える。レーザーのような光と共にコインが宙をかけねけた…
モンスターに直撃するコイン。そのコインは衝突と同時に爆発を起こし、モンスターのかげは跡形もなく消え去っていた。
「これがユニークジョブを極めた者の力ってやつやな。ちなみに今ので全力の50%には届かんかなって感じやけど…。どうや!すごいやろ。」
ジョーカーは未だ立ち上がれずにいる私に対し、笑みを浮かべて自慢げにしてる。
「うちのユニークジョブは〈 会社員型 代表取締役社長 〉ていうモンで、自分の体力を規定値まで削ることで、それと同じ分だけの確定ダメージを与えるってもんや。もちろん、体力が多いのも特徴やから、安心せい!まぁこれ自体は全ての会社員型のジョブに備わってるんやけど、私の場合は規定値の数値が桁違いで、大体のプレイヤー、モンスターは1発で仕留めることができるといった感じや。」
その頃やっと立ち上がれた私は、フラフラしながら、ジョーカーの元まで歩いた。
「どうすれば…どうすれば、そんな風に力を発揮できるようになるんですか!?」
私に与えられた時間は1週間、時間を無駄にはできない。
「ええか。ユニークジョブはあんたを選んだだけで、別に認めたわけやない。つまり、ユニークジョブの要望を満たせるほど、プレイヤー自身が向上すること。これが絶対条件や。ユニークジョブがあんたを認めた時、初めてそのチンプンカンプンな文字が本来の姿を表すって感じやね。ロマン溢れるやろ!」
ユニークジョブに認めてもらうプレイヤーになる。簡単には理解出来なかったが、プレイヤー自身が向上することが絶対条件…この言葉が私の頭の中でループ再生された。
ピンポーン
どうやら、ジョーカーにメッセージが届いたらしい。
「すまんな。ちょっと席を外す。」
そう言い残してジョーカーは外に行ってしまった。
頭の中で、ブツブツと声に出して、私は精一杯、
思考を重ねた…
「うぅぅ…わかんないよ…」
私が頭を抱えて悩んでいると、こちらにジッと目を向けているプレイヤーが目に入った。
「いやぁ〜知らない人に変なところ見られた〜」
私は思わず、頭を抱えたまま、今度は振り回す。
恥ずかしさで、穴があった入りたいという気分だ…
未だこっちを見続けているプレイヤーに声をかけてみた。
「あの。何か御用ですか?」
それを聞いたそのプレイヤーは、こちらへと小走りでやってきたかと思うと、私の顔にグイッと自分の顔を近ずけてこう答えた。
「…………何も。」
相手が相手なら、「何もないんかい!」とツッコミを入れるところだったが、さすがにここは自重した。
「ところで君〜。ここらでジョーカーって人見かけなかった?」
「見ましたと言うより、さっきまで一緒にいましたけど…あなた、どちら様ですか?」
しばらく顎に右手を添えて、考える仕草をとった後、彼女は口を開いた。
「……私ですか?私は………私です!!」
自信満々にふんぞりかえってるいる彼女に、心の中で「いや、誰ぇぇ〜!!?」とツッコミを入れる。あくまで心の中で留めておいた。
「あら?ご存じない?私ですよ私」
さっぱりわからない…いったい誰なのだろう…
「あぁ思い出しました!」
このままでは場の空気が悪くなると判断した私は、どうにかごまかそうとその方法を模索していた。
「気づいていただけましたか!」
実際はさっぱりなのだが、とりあえず頷く
少しの間を置いて、彼女は再び口を開いた
「そうです。私が最強のプレイヤーです。」
突然の告白に今度はうなづくことができなかった…
次の回でガッツリ戦闘シーンを描きたいと思います!
始めから出ずっぱりだった緋花莉の出番はしばらくなさそうです。
私はアクセス数をこまめにチェックする方なのですが、いつも予想以上にアクセス数が増えていて、大変嬉しく思っています。
これからも少しでも多くの方に読んで、楽しんでいただけるように邁進していきますのでよろしくお願いします。
美恵 匠




