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9/10

誰が相手でも負けたくない…!

「いっ今、何て…」

この人がこの世界で最強…もしかしてこの人が1位の人なの…?


「どうしたのですか。キョトンとされて…もしかして、私のことをご存知でない…?」

絶賛パニック中の私は、全力で頷く。一瞬時間が止まり、気まずい空気が流れた。


「そうですか…ご存知でない…」

少し悲しそうな、悔しそうな表情を浮かべ、地面を見つめていた彼女は立ち直ったかのようにバッと顔をあげ、

「いいでしょう。知らなかったら覚えてもらうのみ!」

腰に左手を添え、ビシッと右人差し指をこちらに向けた。


「私の名前はシマイチ。本名は言えません!この世界で私は最強…完全無欠のトップS級ランカーです!このトップは上部とかじゃなくて、頂上のことを指してますから、お間違いのなきように…」

シマイチはまるで貴族かのように軽いお辞儀をした。私も慌てて、見様見真似でお辞儀を返す。


お辞儀を終えた彼女が険しい表情で再び話し始めた。

「そのご様子だと、あなたはもしかして、ビギナーの方ね。いいわ。あなた、私にちょっとボコされなさい。」

右の拳を左掌にパンッパンッと打ち付けながら続ける。

「ちょっと今、約束をすっぽかされて、フラストレーションが溜まってるのよね…」


いやいやいや、こっちはたった今、モンスターにボコボコにされたばかりなんですけど…

必死に逃げ道を考える。


「何をボサッとしてるの。行くわよ!」

「いや!ちょっと待ってくださいよぉ〜!」

「問答無用!!」


シマイチの右拳が私の顔面に吸い込まれるようにヒットする予定だったが、実際は違った。


私はシマイチの右拳を左腕ではらうと、相手の腹部に隙ができたため、今度は私がそこに狙いを定めて右拳を打ち込む。これに瞬時に反応したシマイチが、私の拳が届くよりも先に空中で体を一回転させ、左足の蹴りを繰り出してくる。何とか左腕でガードできたものの横からの衝撃に耐えられず、私の体は吹っ飛ばされ、地面を転がった。


「あなた、ビギナーじゃなかったの?なかなかの反応速度ね。」


シマイチはそう言っているが、私が何かをしている訳では無い。これでは語弊があるため、詳しく説明すると今の一連の流れで、私の意識は一切の介入も許されなかった。よく、体が勝手になどというが、まさにそれだ。


再びシマイチがこちらへ飛びかかってくる。この幾度なく突進してくるスタイルが1位の戦い方なのだろうか。意外と単純なおかげで、ギリギリではあるものの全ての攻撃を防御もしくは回避することができた。


「思っていた以上にやりますね。正直、舐めてました。」

「私もこんなにやれるとは思ってなかったです…」

しかし、私にはもう余裕がなかった。


仮想世界での出来事が現実世界に直結するように、現実世界での出来事は仮想世界に直結する。この疲労感は元の体が限界に来ているためだろう。日頃、運動を避けていたツケがこんなところで回ってくるとわ…


そんな私をよそにシマイチは十分な余裕を残しているように見えた。感じではおそらく、ジョブの力を借りずに戦っているのだろう。いくら1位が相手とは言え、私は悔しかった…誰が相手でも負けたくない…!。グッと右手に力を込め、握り拳を作る。


バチバチッバチバチバチッ

突如、私の右手に電気のよなエフェクトが現れた。もしかして、ジョブスキル…?


こちらの異変に気づいているのか、いないのか、シマイチの攻撃が再開された。私は右手のエフェクトの意味がわからないまま、必死で守備に徹する。先ほどと同様に体勝手にやっていることだが…


数手やりあった後に、シマイチの右拳が始めと似たような形で私の顔面に飛んできた。それをまた、左腕ではらうと、腹部に隙ができた。シマイチがわざとこの状況を作ったかにも思えたが、その考えは体を動かさないし、動かせない。


すると、右手が今度ははっきりと勝手に動いた。自分の体であるはずなのに、あまりの素早い動きに少し驚く。動いた右手は固く握られており、自分で開くことができない。その瞬間に電気のエフェクトが右拳を包み込む。右手の親指が勝手にたち、グッドサインのようになった。


BOOOOOOOOOOON


私の右手から放たれたのは電気ショックらしきもの。これがシマイチの腹部を直撃した。相手のHPバーが一挙に70%程減少し、シマイチはよろめき、驚いたような顔を見せた。実際、1番驚いているのは私自身なのだが…


「今のはなんなの…こんな一撃、S級ランカーでもない限りありえない。」


私も困惑していたが、それを吹き飛ばすように私の右腕に激痛がはしる…


「はいはぁい。そこまでにしとき〜。これ以上はユメたんの体がもたんわ。」

やっと戻ってきたジョーカーがその場を制す。ジョーカーが私の元にやってきた。


「オーバーアタック。限界値以上の衝撃が加わった時に発生する現象。通常なら、仮想世界でのダメージをプラグスーツが守ってくれる。しかし、それにも限度があって、あまりにも衝撃が大きい場合は人体への影響もありえるってことやな。今の攻撃は相手より、自分への負荷が大きすぎた。」

そう言って私の肩に手を置いた。


「骨折まではいかんでも、数日は痛むかもやね。特訓、1週間の約束やったけど、一旦休止や。回復したら再開しような。それまでにうちが完璧な強化メニューを考えてくるわ!」

私は仕方なく頷く。


「この子は一旦何者なの…?」

落ち着いたシマイチがジョーカーに問いた。


「シマイっちゃ〜ん。すまんかったね。急に呼び出したりして、あんたにこの子を会わせたかったんよ。」

「………と言うと?」

ジョーカーは何を言っているのだろう。シマイチに私をを会わせたいなんて、どういう風の吹き回しか…


「ええか。こいつは1週間で私が鍛え上げる。まぁ一旦中止やけどな。後々はS級ランカーまで上り詰めて、首位争いのできる逸材にする。こいつにはその素……」


ジョーカーの言葉に耳を傾けていたが、疲労と痛みからか、私の意識はスッと消えていった…


1日置いての投稿になってしまいました。新着を待ってくれていた方々、すみません。


申し訳ないないのですが、これからも投稿がない日が結構あると思います。

その分、面白くなるように頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。


私事ですが、最近。ブクマ登録をしてくださる方が増えていて、とても嬉しく思っています。


ご意見、ご感想、お待ちしております。


美恵 匠

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